2022年、あけましておめでとうございます。
昨年も新型コロナの影響でなかなか外出できず、本業への影響を考えるとなかなか酒場にも出入りできない状態が続きました。
コロナに関しては本業にもテイスターの仕事にも影響が大きく、いろいろ書きたいこともありますが、ちょっと良くないことを書いてしまいそうなので、そのうちどこかでお会いしたら聞いてください笑
昨年に続き人が集まるイベントもありませんでしたので、仕事として取り組ませていただいているウイスキーガロアの集まりやステイホームでのテイスティングの仕事以外ではほとんどウイスキー関連でのお仲間達と接点が持てない状態でした。
私は酒販を生業にしない愛好家出身のテイスターですので、本来は市場のトレンドや海外での面白いニューリリースに関しては押さえておきたいところですが、ネットの情報に疎いこともあり、そのあたりの情報は主に愛好家の集まるバーやイベントで入手していたんですよね。。。そしてやっぱり情報だけでなく、私のポリシーとしては飲んでナンボなので、それができないのが特に痛手でした。
ブームに伴う価格の高騰も進んでおり、飲まずにスペックだけで良さげなものを次々買えるほどの経済的余裕もなく、自宅でストックを開けて飲むことが増えました。
そこでしみじみと感じたのは、古いお酒は劣化してくるということです。
もちろん魅力的な経年変化と捉えるか劣化と捉えるかは個人の感覚に寄りますが、私の愛した60年代蒸留のモルトが、ボトリングの早い加水のものからどんどん私の愛せないニュアンスを伴うようになってきていることは間違いありません。
もはや黄金時代の伝説的なモルト達も、その本質は残しつつもその評価を受けた頃とは異なる香味になりつつあるのかもしれません。人間と同じく永続的でないからこそ美しいとも思えますが、寂しさもありますね。。。
今年の初モルトは、先日思い切って開けた60年代ボウモアを飲んで少しがっかりしたこともあって、無性に飲みたくなったJISさん向けの90年代ボウモアにしました。
抜け感などの劣化要素はもちろんなく、青臭さや紙っぽさもなく、煙さに全く負けずに共演するみずみずしいトロピカルフルーツを堪能できました。やはり個人的には、トロピカルを楽しむお酒にはこうあって欲しいものです。
そしてそのあとに飲んだのがオフィシャルのダルユーイン1980、34年熟成で、これはゆっくり飲んでボトル開栓後4年経過したのですが、ここにきてメロンのような妖艶なニュアンスがはっきり出てきました。
もちろん蒸留所の個性というより抜け感に伴って出てきたピアレス的なフレーバーだと思いますが、もともと高度数とチルフィルの影響もあるのか、露骨なヘタレ感やオフフレーバーの出現は感じません。
非常に美味しく1杯の満足度の高いモルトでしたが良くも悪くも少し樽の主張が強く、杯は進まないタイプだったのですが、それがかなり抜けていました。そしてボディはまだありましたがピークアウトしているのが明白で、あとは抜けていくだけという状態でした。
そのため、結局残り3分の1は1か月程度で飲み切ってしまいました。
前述した未開栓ボトルの経年劣化のお話も含め、これだけの期間真剣に飲んでいても、モルトの飲み頃って難しいなと改めて感じた出来事でした。
ひとりの飲み手として、これからも経験値と勉強が必要ですね。
久し振りに飲みながら書いたためか、話が逸れてしまいましたね。強引に戻します。
昨年も書きましたが、人間の生活が変わっても、ウイスキーそのものの魅力は変わりません。
私も与えられた環境下で仕事として、趣味として楽しんでいきたいと思います。
今年こそは気軽に飲みに出られる世の中になり、愛好家の皆さんと酒場やイベントでたくさんお話ができるように祈っております。
どこかでお会いできたら、ぜひお声をお掛け下さい。
今年も宜しくお願い致します。
T.Matsuki
#ダルユーイン (DAILUAINE) #ボウモア (BOWMORE)