飲めると思っていませんでした。心から感謝です。
バルヴェニー BALVENIE 1937-1987 50yo OB 42%
香りは長熟グレーンのような強いウッディネスと樹液、オイル、バニラ、煮詰め過ぎたアプリコットティー、クリーミーな杏仁豆腐、奥から淡くオールドピートと腐葉土、滋味深くリッチ。
飲むと滑らかな口当たりから芳醇に広がる、アプリコットジャムと樹液、優しいコクのある甘味と引き締めるウッディネスとそのタンニン、キャラメリゼしたナッツ、オールドピートと淡く腐葉土、後半から余韻はココナッツミルクが長く残る。
【Very Good, Interesting】
1987年にボトリングされたバルヴェニー1937、なんとオフィシャルの50年です。
かなり有名なボトルなのですが私は飲んだことがなく、超高額化してますからもう飲む機会はないと諦めていたボトルでした。
それが歩古ホールさんの10周年記念で満を持して開栓されました。当時だって高かったでしょうに、こんなボトルを買っていた寺家さんに感服です。
周年初日で開栓後時間が経っていなかったこともあり、注いでいただいた最初は非常に硬く、樽感ばかりが前面にでていたのですが、奥からいろんなものが出てくるような雰囲気がプンプンしていました。
なので、最後の機会だと思い切ってたっぷり注いでもらい、かなりの時間をかけていただきました。
期待通り、時間と共に長い眠りから覚めるように多彩な要素が湧き出し、ウッディネスが支配的でなくなりました。
特に味わいにおいては、50年も樽の中にいたとは思えないような過熟感のなさに驚きました。
また、保存状態が良かったのか、長熟の安定感なのか、ボトリングから約30年が経過しているのに強いオールド感や劣化要素は感じられませんでした。
香りにおいてはウッディネスと共に煮詰まった紅茶や濃縮フルーツ、そして非常にクリーミーな杏仁豆腐を強く感じたのが印象的でした。
飲むと恐らく加水ではなくカスクストレングスの度数落ちと思われる凝縮感があるのですが、抜けた感じはありません。
濃縮フルーツや樹液は香り同様に強く感じ、穏やかなコクのある甘味に伴う渋味は思っていた以上に強くなく、味わいを引き締める程度だったのも好印象でした。
後半から余韻にかけてココナッツミルクやココナッツパウダーをかけたドーナツのようなニュアンスが強く感じられたのも興味深かったです。
また、香りにも味わいにも古いピート感と腐葉土のようなアーシーさがあり、それらが深く厚い香味を作り出しているようにも思いました。
いやはや、独特の香味を持つ旨いモルトでしたし、それが長い眠りからゆっくり目を覚ますように広がってくる過程を楽しめたのは非常に良い経験になりました。
出会えたことに心から感謝です。
このボトルは、高田馬場の歩古ホールさんの10周年で開栓されました。
#バルヴェニー (BALVENIE)