山崎白秋さんからいただいたテイスティングノートを掲載します。
モルトの会、テイスティングノート
2012.11.25 スタンドバーにて
今月のお題は、「グレンロッシー」である。
グレンロッシー、マイナーな蒸留所というわけではなく、かといって誰でも知っているメジャーどころとも言えない。また、素晴らしく美味いモルトを飲んだ記憶もないが、これはいただけないというモルトにも出会った事も無い、まさに中堅蒸留所である。
さてこの蒸留所、シェリー樽を多用しているというイメージがあるが、今回も5本のうち2本がシェリー樽であり、その使い方はさり気なく個性を生かす通好みの物であった。やはりシェリーを得意としているのかもしれない。
しかし中堅といえども、セラーには眠っているものである。今回出来の良いモルトがずいぶんとあった、特にNo.3は久しぶりのお気に入りの一本だ。これが次回も続けば中堅から脱却できるのではないだろうか。
さて、そんなモルト5本を紹介しよう。
*** [No.1] リキッドサン グレンロッシー リフィルシェリーホッグスヘッド 1/132 1975-2011 36年 48.3% ***
(香り) まずドライと感じられる。次いでハッカが香る。フルーツを抑えたスタイルは北ハイランドモルトか。少々のエステリーとかすかなピート。 しだいに香りが濃くなってくる、深みのある香りが素晴らしい。ややタクアンの香りがするところが残念。
(味) まずフルーティーで、次にピリッとスパイシー。じっくり味わっていると、押し出しの強くない熟成感が出てくる。熟成感はウッディな含み香から来るものである。
*** [No.2] ダンカンテイラー ディメンションズ グレンロッシー 12/292 1992-2012 cask no.981 19年 51.2% ***
(香り) 花のような香り、たいへん上品なものだ。ただし香りはそれほど強くなく、ドライと感じる。しだいにエステリーな香りが乗ってくる。
(味) 深みのある味わい。フルーティではあるがドライ。通常深みのある味わいにはドライとは書かないが、そう感じた不思議なモルトである。
*** [No.3] ゴードンアンドマクファイル グレンロッシー オーク cask no.1813 1978-2011 55.9% ***
(香り) トップノートは甘さとエステリー、すぐさま酸味がバランスする。奥にはハッカの香りも。しだいに深々と香るようになり、ウッディな熟成感やバニラをしっかりと認識する。
(味) ウッディでたいへん深みがある。フルーティでありながら、苦味やコクを感じさせる複雑な味わい。たいへんうまいモルトである。
*** [No.4] ブラッカダー リミテッドエディション グレンロッシー オーク cask no.1365 89/160 1980-1996 64.5% ***
(香り) 花のような香りが心地よい。ドライと感じられるのは香りの立ちが遅いせいなのか。アルコール感が強い。
(味) やはりアルコール感が強い。基本的にドライではあるが、うまみも感じられる。
*** [No.5] リキッドサン グレンロッシー シェリーバット 1984-2010 25年 60% ***
(香り) トースティでかつエステリー、うまみを感じさせる香り。色からするとシェリー樽熟成だが、焦げたゴムは感じられない。
(味) 赤ワインを連想させる味わい、うまみが強い。味でも焦げたゴムを感じることは無い。