山崎白秋さんからいただいたテイスティングノートを掲載します。
モルトの会、テイスティングノート
2007.05.27 スタンドバーにて
今月のお題は、「グレンリベット」である。
言わずとしれた、ビッグネームの中のビッグネームである。ベースとしてはバーボン樽を使用し、きわめてフルーティー、というのがオフィシャルボトルの印象である。ところがボトラーズものとなるとこれがあてはまらない。特に長熟になるとシェリー樽のきわめてこってりしたものが多くみられる。
今回の5本もまったく正体不明で、最後にオフィシャルの12年が出されるまでは蒸留所を判断する糸口さえつかめなかった次第である。
さて、今回の5本を紹介しよう。
*** [No.1] スコッチモルトセールス グレンリベット 1979 26年 49.1% ***
(香り) フルーティーかつ甘い香り、フルーツをともなう軽めのエステリー。わずかに麦芽由来の風味とトースティな印象。ハイピッチな酸味が心地よい。
しだいに熟成が開いてきて、1時間がすぎてもなおキャラメル香をともなうまったりとした熟成香がすばらしく発散する。
(味) 素晴らしくウッディーでフルーティー。きわめて濃い味。シェリー樽熟成ではないモルトでこれほどこってりしたものはめずらしい。
心地よいにがみが長熟を主張する、ひとこと「うまい長熟モルト」と言ってしまおう。グラスからいつまでもバニラの残り香が消えることは無い。
*** [No.2] SMWS 2.60 グレンリベット 1988-2005 16年 56.7% ***
(香り) フルーティーかつ爽やかなミントが香る。酸味をともないアンズの個性。上品ではあるがやや物足りない。
(味) ドライ、追って酸味の味わい。フィニッシュはハッカ。加水すればフルーツがひらいてくる。
*** [No.3] SMWS 2.62 グレンリベット 16年 57.8% ***
(香り) ワイン樽あるいはブランデー樽で熟成されたような香り。しだいにまったりと包み込まれるような印象となる。
しばらくすればフルーティーでエステリーが開いてくる。奥にはかすかな荒さがあり、いまひとつの熟成がほしいところである。
さらに時を経ればキャラメルや梅の香りも感じられるようになり、きわめて複雑な香りと言える。
(味) アルコール感がありドライである。やや砂糖水。香りからくる味わいは感じられない。
*** [No.4] シグナトリー グレンリベット 238/384 1976-2005 28年 57.5% ***
(香り) トップノートはミント、次に爽やかなフルーティーが広がる。しばらくグラスをまわしていると、まったりとした香りが広がってくる。軽い酸味もありバランスがよい。
さらに時間がたてばウッディな熟成香に満たされる。
(味) 意外にドライでアルコール感を伴う。やはりミント、ハッカが感じられる。
*** [No.5] キングスバリー グレンリベット シェリー 622/698 1971 51.1% ***
(香り) 濃いシェリー香、ただしこげたゴムは無い。しばらくすると上品なエステル香が感じられるようになる。さらにブドウ系のフルーツが色濃く香る。十分に時間を取るとキャラメルの香りも感じられる。
(味) 口にふくむとまず醤油の個性。そのあとカカオマス。ややえぐみが感じられる、シェリーの個性はあるが、それほど強いものではない。ただしイオウは感じられる。
甘さもほどほどに感じられ、ほぼビッグボディ。
#Tasting Note