山崎白秋さんからいただいたテイスティングノートを掲載します。
モルトの会、テイスティングノート
2007.04.22 スタンドバーにて
今月のお題は、「ロングモーン」である。
1998年にモルト会が開催されて以来8年が過ぎ、今回通算100回目となる記念すべきイベントとなった。
通常サーブされるモルト5本は、何がしかのテイスティングがスタンドバーにてなされている。ところが今回のロングモーンでは、直前に開封されぶっつけ本番でモルト会となったとのこと。このことからもこの蒸留所に寄せる信頼が厚いといえるのではないか。
もちろんモルト会100回記念にふさわしいモルト5本が揃ったのは言うまでも無い。
さて、今回の5本を紹介しよう。
*** [No.1] キングスバリー ロングモーン 1967 45.9% ***
(香り) すばらしく上品でフルーティー、トロピカルフルーツの盛り合わせである。奥には軽くピートを感じる。わずかな硫黄香が感じ取れるが、リフィルシェリー由来のものかもしれない。しばらくすれば、長熟を感じさせるウッディーな香りが立ってくる。
(味) 素晴らしくウッディーでフルーティー。意外にも甘味は少なくドライである。
1時間ほど経つとアルコールがとんだせいか、明らかに濁ってくる、それだけ香りや旨みの成分が多いということだろう。
*** [No.2] ダンカンテイラー ロングモーン 1973-2006 32年 48.5% ***
(香り) やや軽いが上品なフルーツ香が次々と湧き出てくる。まさにフルーツの饗宴である、明るくハイピッチな香りだ。また甘さを予感させる香りも感じる。
しばらくすればフルーツは濃さを増し、熟したプラムとなる。
(味) 爽やか、かつフルーティーといえば月並みだが、じつに気持ちのよい爽やかさなのだ。樽由来のビターな味わい。甘味は少ない。最後にブドウで満たされる。
*** [No.3] SMWS 7.35 1968-2006 38年 49.8% ***
(香り) まず赤いのに驚かされる。トップノートは濃いフルーツ香、極めて濃い。奥にはやや醤油の香り、嫌味なものではなくコクを感じさせる種類のものだ。
しだいに爽やかなエステリーが顔を出す。さらに時間を経れば、熟成由来のキャラメル香がひろがる。奥には「いがいが」としたごく軽いピートとシェリー由来の香ばしさ。
(味) 重いシェリー味、シェリー酒が入っているような味わい。これだけシェリーの個性がありながらこげたゴムは無い。
ドライフルーツに上乗せされた苦み、渋みが実にうまい。味は極めて複雑でいくらでも飲んでいられる。
*** [No.4] 土屋守シングルカスクコレクション ロングモーン 69/143 1969-2000 30年 53% ***
(香り) 極めてフルーティーだがアルコール感も感じられる。しだいにまったりとした濃いエステル香がキャラメルとともに広がってくる。軽いピート香とウッディーな香り。いつまでも突き抜けるフルーツ香は終わらない。すばらしい香りである。
(味) フルーツとウッディーが交互に攻めて来て美味さに打ちのめされる。わずかなシェリー樽の個性。甘味とビターのバランスもすばらしく、フィニッシュはいつまでも終わらない。
*** [No.5] ウイスキーエクスチェンジ ロングモーン シェリー cask no.28 1970-2006 36年 56.1% ***
(香り) きわめてフルーティー、何種類ものフルーツが織り成すシンフォニー。甘い香りと極めて上品かつ濃いエステル香。酸味がバランスし、重ったるさを感じさせない。
(味) ウッディーかつウッディー、複雑な樽の含み香である。ほろ苦さ、甘味、酸味がめくるめくようにあらわれる。さまざまなフルーツと樽の含み香がグラスから開放され、口の中で嬉々として踊りまくる。
#Tasting Note