2種類のワインが目の前に出され「さあ、どちらが高いワインでしょう?」と聞かれ、自信を持って答えられる人はどのくらいいるのだろうか? 芸能人がワインを飲み比べ「どちらが高いか」を当てるテレビ番組があるが、ソムリエであれば簡単に当てることができるはず。そこで2008年に全日本最優秀ソムリエコンクールで優勝した、森覚(もり・さとる)氏に高級ワインの見極め方を教えてもらった。
赤ワインが注がれたグラスが2つ――。2つとも同じ産地だが、1つは1本1万円以上、もう1つは3000円ほどのワイン。どちらが高いワインかを当てるために、記者はワインのニオイを嗅ごうとしたところ「いきなりワインのニオイを嗅いではいけません。まずはワインの色を見てください」と、森氏からダメ出しを食らってしまった。
「2つとも産地と原料が同じであれば、『濃い色のワインが高い』ということになります。なぜならブドウの皮を果汁に漬け込む時間が長い方が色は濃くなり、その分コストがかかってワインの価格が高くなるのです」
しかしテーブルの上にワインが置かれた状態だと、どちらの方が「濃い色か」を判断するのは難しい。そこでワイングラスを明るいところ(例えば部屋の電球など)に向けると、色の違いが出るということで記者も試してみた。しかし「少し色が違うかな」といった感じだったため、この段階で「こちらのワインが高い」と断言することはできなかった。
フルーツ以外のニオイを嗅ぎ分ける
ワインを目で見たら、次のステップはニオイをかぐこと。「まず出されたワインのニオイを嗅いでください。そしてグラスを回し、もう一度ニオイを嗅いでください。グラスを回す前と回した後では、ワインのニオイが違っています。グラスを回した後にニオイを嗅いで、フルーツ以外の香りがすれば、それは高いワインなのです」
そこで記者もニオイを嗅いでみたものの、正直言って「よく分からなかった」。やはり素人にはワインの香りだけで、「高いか、安いか」を判断することは難しいようだ。
ソムリエはワインを飲んだときに、「濡れた子犬のような……」といった表現を使うことがある。濡れた子犬のような……は、ワインが“熟成している”という意味。また「ネコのおしっこ」と言うこともあり、これはソーヴィニヨン・ブランというブドウを使ったワインのことを指す。
こうした用語は業界内でしか使わないそうで、間違ってもお客さんに「ネコのおしっこの香りがするワインはいかがでしょうか?」と言うことはない。