こんばんは。実は読書家でもあるkovayahnです。
写真は夢枕獏さんの小説「餓狼伝」。
獏さんは自他ともに認める「エロスとバイオレンスとオカルトの作家」ですし、近年では「陰陽師」が有名ではありますが、「格闘小説」というジャンルが存在するなら、間違いなく第一人者です。
獏さんも何篇かの格闘小説を書かれていますが、その魁となったのがこの作品です。
最近では、獏さんの原作よりも板垣恵介さんの筆による漫画の方が有名かもしれません(個人的には初期の谷口ジローさんの筆による方が原作に忠実で好きですが)。
フリーの空手家である主人公丹波文七が、道場破りに行ったプロレスの道場で返り討ちに合って関節技で肩を折られてしまう。
そしてそれを境に寝技・関節技にも目覚め、総合格闘技にのめりこんでいく・・・
と書いてしまえば簡単なのですが、この小説が書き始められたのは四半世紀前の1985年。
「総合格闘技」なんていう言葉はまだなくて、「打撃のあるプロレス」「寝技のある空手」と表現されてました。
きっかけは初代タイガーマスクの佐山聡、藤原喜明組長、今度の参院選で民主党から立候補するはずだった前田日明らがいた旧UWFだったようですが、その後の総合格闘技の盛り上がりを予見した小説であったと言えるでしょう。
ただ実は、この小説は現在も未完で継続中です^^;
1990年代以降のK-1やUFC、PRIDEの盛り上がり等、現実世界の変化のほうが速すぎて、時代の先を走っていたはずが気がつくとコースから外れた脇道を走ってしまっているような状態になっています
最新の単行本が出たのが約3年前。いつ次が出るかと待ち続けています。
イントロが長くなってしまいましたが、この小説の登場人物は、いろんな局面で酒を飲んでます。
主人公の丹波文七は、居酒屋でビールや日本酒を飲むことが多いですが、バーではバーボンをロックで飲んでます。
大山倍達がモデルと思われる北辰空手の館長・松尾象山は、シャトー・マルゴー等の高そうな赤ワインを飲んでることが多いです
アーニー・カスティリオーネというマフィアのボスは、ドンペリなんかのシャンパンをよく飲んでますね
そして、おそらく獏さんの中でのアントニオ猪木の究極の理想形ともいえる、東洋プロレスの社長・グレート巽です。
若い頃のアメリカ修行時代はバドワイザーなんかを飲んでるのですが、社長になってから飲んでるのは・・・
「マッカラン」「ラフロイグ」
でした
初めてマッカランが出てきたのは1995年(『マッカラム』という表記がされてました)。土屋守大先生の「モルトウイスキー大全」が上梓された年です
今ほどシングルモルトウイスキーがメジャーになる前に、グレート巽に「マッカラム」をニートで飲ませてました。
あらためて、夢枕獏先生の慧眼を実感します。
なので獏先生、餓狼伝の続きを早く書いてください!あと「獅子の門」も!
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