こんばんは。ウイスキー好きのルチャドール、kovayahnです。
本格参戦の緒戦ということで、まずは私がウイスキーを飲み始めた頃に影響を受けた本を紹介します。
タイトルは「スコッチvs.サントリー」、副題は「ほんもののウイスキーをもとめて」。
著者は平澤正夫さんという方で、三一書房より1986年2月に出版されています(私の手元にあるのはその初版本です)。
タイトルだけを見れば、昨今世界的なコンペティションで数々の賞を受賞しているサントリーと、ウイスキーの本家スコッチとの美味いウイスキーを作るための熾烈な争い、といったような内容の本かなという印象を受けます。
この本が出版されたのが2000年以降であれば、同じタイトルでもそういった内容の本になったのではないかと思いますが、いかんせん出版されたのは1986年。
1986年というと、バース・掛布・岡田のバックスクリーン三連発で我がタイガースが唯一日本シリーズを制した翌年で、プロレス界では元横綱輪島が全日本入りし、旧UWFが崩壊して新日本にUターン参戦した年です。
世間的に見ると、前年のプラザ合意を受けて円高が急速に進行し、日本企業が海外に投資を始めてバブル前夜という様相を呈してきた頃で、更にはもうすぐ完全引退するスペースシャトルの歴史上最初の躓きとなった、チャレンジャー号の事故があった年でした。
ウイスキー業界では、1980年代の不況でスコットランドでは多くの蒸留所が閉鎖され、日本でも最盛期には年間1200万ケース以上を売ったというサントリーの「オールド神話」が崩壊しつつあったという、そういう時代です。
本書の内容を一言で書くと、「サントリーのウイスキーはマガイモノなので飲んではいけない。飲むならニッカか本場のスコッチを飲め」という過激なもの。著者はよっぽどサントリーに恨みがあるのか?と思わせるような内容になってます。
でも単なる誹謗中傷だけではなく、スコットランドからの原酒の輸入量やサントリーの生産能力・販売量を基にした論理的な部分もあって、結構説得力もあったりする(もちろん単なる中傷っぽいところもありますが^^;)。
中には「サントリーはスコットランドから原酒を輸入して、自社のウイスキーにブレンドしている!」ということが鬼の首を取ったように書かれていたりする部分もあるのですが、この頃は「プロレスの試合には筋書きがある!」なんてことを外で言ってはいけない時代でしたので、サントリーも「プロレスは真剣勝負だ!」と言っていたようです
特筆すべきところは、この時代にしてウイスキーの味や香りを表現する用語集を載せていたり、世間的にはまだほとんど知られていなかったモルトウイスキーを紹介したり、更にはエジンバラのSMWSまで訪問していたりするという先見性の部分です。
この当時は、ここまでの内容の本は他にはなかったと思います・・・出会ってないだけかもしれませんが。
本格的にウイスキーを飲み始める前にこんな本を読んでしまったので、このあと10年近く私はサントリーのウイスキーが飲めず、「失われた10年」となってしまいました(スコッチやニッカは飲んでましたが^^;)。
次に私がサントリーのウイスキーを口にしたのは、友人から「響」をもらったとき。そのとき私は友人に対して「なんでスコッチやなくて響やねん!」と激怒してしまった記憶がある・・・今から思えばあの友人には悪いことをしました
その後は現在に至るまで、失われた10年を取り戻して余りあるくらいの量を飲ませていただいております
とにかくいろんな意味で、私のウイスキーライフに影響を与えた本であることは間違いありません。
同じ著者がこの更に8年前に上梓された「間違いだらけのウイスキー選び」という本もあるのですが、こちらは残念ながら未読です。
どちらもまだ絶版にはなっていないようですので、ご興味をもたれた方は、時代の違いを勘案した上でご一読いただければと思います。
緒戦から少し飛ばしすぎてしまいました
今日はこのあたりでゴングということで
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