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バーで飲もう!“愛しき酔っ払い”篇

以前、酒に酔ったお客さんがとった奇怪な行動をいくつか紹介(?)
したが、今回も負けずとも劣らない強烈なインパクトを与える酔っ払いが登場。

それは暇な平日の深夜の出来事。
3人の中年男性が入ってきた。
だいぶ飲んで来たのだろう。3人ともかなり酔っているようだ。
飲み物を注文した後、うち二人は話し込んでしまった。 端の一人は眠くなったようで、ウトウトと舟をこぎだした。

数分後、カクテルを作っていると眠っていた男性の口元に異変を感じ、視線を送ると・・・ん? 口は閉じているのに歯と歯茎が出ている!
いっ・・・入れ歯!? よく見ると口から入れ歯を出して、唇で入れ歯を挟んだ状態で入れ歯を縦にしたり横にしたりして動かしているのだ! 
エーーーッ、何をしてるんじゃこの人は??? 寝ぼけてるんだろうなぁ・・・と思った瞬間!案の定、入れ歯が宙を舞って床に落ちた。

カチャカチャーン!
横の二人が『○○ちゃん、何か落ちたでぇ』
彼はすばやく拾って口に戻して言った。
『大丈夫、大丈夫』。
何が大丈夫なん!? 落ちた入れ歯を洗わないでまた口の中に入れたじゃないか!? 一緒に来た二人は彼が入れ歯であることを知っているのだろうか? 知らなかったら、洗ってあげましょうとも言えないし・・・
戸惑いながら、飲み物を作ってお客様に出す。

そして横の二人がまた話をしだすと、彼はウトウトとなり、また入れ歯を出しては唇で遊びだした。また“カチャカチャーン!”
『○○ちゃん、また何か落としたよ』
彼はまた素早く拾って口に戻しては
『エーッ、何も無い。大丈夫大丈夫!』
・・・全然、大丈夫じゃないし!

数分後、また“カチャカチャーン”
横にいた二人は
『さっきから何をカチャカチャ落としてるんな?』
と立ち上がり探してあげようとすると、彼は手を上げて二人を制し、
『何も無いよ。大丈夫、もう拾ったから。』
ホント、凄く酔っ払ってるくせに動きは素早く、一瞬で入れ歯を拾っては口に戻して、ニッコリ笑い白い入れ歯を見せていた。

私は笑いを堪えるのに精一杯でカクテルを作るどころではなくなった。そして、バーテンダーの技能コンクール以来、十数年ぶりに“メジャーカップ”を持つ手がワナワナと震え、酒を注ぐことさえできなかった。 
それは、緊張からではくる震えではないことは、言うまでも無い。
お客さん、それは“反則技”でしょう。
彼は最後に笑顔で『ご馳走様でした』と帰って言った。
白い入れ歯を見せながら。。。

とんでもない!こちらこそ『大変珍しい光景をみせていただきました。ご馳走様でした』とお礼を言いたいくらいのネタ(?)だった。
世の中、いろんな酔っ払いがいるものです。

あとがき
こんな変わった行動をとるお客様が来るのは、当店にだけなのでしょうか?
あまりこういった話を聞かないので不安になりますが、ブログネタには事欠かないので助かり(?)ます。^_^;

#BAR

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