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バーで飲もう! “ セレブ ”アクシデント篇

当たり前のことだが、バーにはいろんなお客様が来る。性別も違えば年齢も違う。育ってきた環境もそれぞれ異なる為、飲み方もいろいろである。
時にはそれがとんでもないアクシデントになる場合がある。
先日、映画『有頂天ホテル』を観た際に全く同じアクシデントシーンが私の修行時代の店であったことを思い出した。

そのバーは内装にも力を入れており、キャンドルがほんのりと灯りをともす、雰囲気の良い店であった。

ある日、今で言えば“セレブ”と呼ばれるご婦人方が4名で来店。
それぞれカクテルを注文して、私が調合し提供したのだが・・・
シンガポールスリングを注文されたご婦人が奇妙な行動をとりだした。

通常、シンガポールスリングには夕日を見立ててチェリーブランデーが沈められていて、混ぜて飲めるようにマドラーが添えられている。そのご婦人はマドラーを使わない時に入れておく、マドラー立てにシンガーポールスリングを注ぎ、小分けして飲みだしたのだ! これにはビックリしたが、マドラー立ての容器は衛生上問題は無いので、他の客がシンガポールスリングを注文しないことを願うだけだった。

そして、また『有頂天ホテル』のシーンと同じようなアクシデントが起きたのである。その“セレブ”達がおつまみを注文してきた。

セレブ: 「チーズの盛合せ、生ハムをお願いします」
バーテンダー: 「かしこまりました」
・・・
先にチーズの盛合せを出し、生ハムの調理(切って盛り付けるだけ)に入る。 生ハムを提供しようと厨房から出たところ、またまた異様な光景を目にするのだ。おしゃれな店内故、灰皿も一見灰皿に見えない物を使用していたのだが、なんと!その灰皿をチーズの取り皿に使用しているのだ。・・・

あとは『有頂天ホテル』を見た方ならその光景が分るだろうが、“セレブ”達に気づかれないように他の客の灰皿を全く別の形のものに取り替えたのである。
しかし、マドラー立てにしろ、灰皿にしろ、“セレブ”達の行為は非難されるものでなく、店側が誤解するような物を置いたことに原因がある。

現在ではおしゃれな店が大変多く、調度品も凝ったものが多い。灰皿も一見灰皿に見えないものも少なくない。それが悪いとは思わないのだが、お客様が困惑するような物は逆に不親切に思えて仕方ない。

#BAR

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