九州山脈の中心にある霊峰の麓から、夜な夜な大分の街へ秘酒を売りに来る悪魔がいるという。
姿かたちは普通の人間に見えるのだが・・・その実態は、正統派のバーに狙いを定め、高価な酒を売りつけて暴利を貪る悪徳酒屋らしい。(あくまでも噂です)
バーの客はよく、飲んだことの無い酒を飲みたがるが、バーテンダーとて同じで自分の店に無い酒、飲んだことの無い酒には興味がある。
ましてや、酒が好きでこの職業を選んでいるのだから、酒に対しての愛情は並々ならぬものがある。 彼はそれを逆手に取り、見たことの無いウイスキーやブランデー、ワイン、リキュールを密輸入し、『数に限りがございまして、限定2本しかございません』などと、バーテンダーの弱みを巧みについてくるのだ。
人間、特に日本人は“限定品”という言葉に弱い。今を逃すと二度とお目にかかれない酒であれば少々値が張ろうが、欲しくなるのはバーテンダーの摂理だ。彼はこの上ない笑顔で微笑みかけながら、これみよがしにボトルを見せるのである。・・・これならバーテンダーでならずとも買うであろう。全ては彼の手の内にあり、計算され尽くされているのだ。
愛くるしい笑顔の仮面の下では悪魔が嘲笑っているのだろう。
そんな悪魔の住む霊峰の麓にある城には密輸入された数知れないほどの酒が隠されている。バーテンダーであれば“喉から手が出るほど”欲しい酒ばかりである。 当然、彼の毒牙にかかって理性を失ったバーテンダーは城へ通い上納金を払い、酒を買うのである。(通称:ミサ)
また、そこから彼は宅配を使っては勝手に酒を送りつけ、上納金を強要するらしい。これは通称“吹き矢”と呼ばれている。
しかし、そんな悪魔にも弱点がある・・・というか、強気に攻めきれない店があるらしい。その店には“天使”がいるらしく、彼の鋭利な“吹き矢”もその店に向けては矢先が丸くなるというのだ。 その分、周辺のバーにしわ寄せが行き、泣き寝入りをしているバーテンダーも少なくない。
最近、益々その力を強大なものにすべく、悪魔城は改築をしているらしい。
そして“吹き矢”の矛先はバーテンダーに限らず、一般市民にも向けられているのだ。酒好きのあなた、悪魔の吹き矢はあなたにも向けられようとしているのです。気をつけろ! “ 鵜の鳴く夜は恐ろしい・・・ ” キャーーー!!!
上記はフィクションであり実際の人物および店舗には全く関係はございません。
あとがき
Uっちゃん、ご免! C店のO氏とフリーのK嬢がやれ!やれ!って言うもんだから、仕方なくやりました。(本当に仕方なくです。) 本当はみんなUっちゃんのことが大好き・・・・・なハズです。
#酒