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酒と文化

開店して5ヶ月ほど過ぎたが、初めて来店したお客様からよく言われる言葉がある。「どうしてこの町を選んだのか?」、「どうしてこの町でバーをやろうと思ったのか?」、「ビールと焼酎しか飲まない田舎で、バーをやっていけるのか?」・・・時にはもっと酷い言葉を浴びせられたこともあったし、根も葉もない悪い噂をたてられたこともある。

私がこの町を選んだ理由は、自宅から通勤できる範囲内であるし、これから栄えていくであろうと感じられたからである。バーが無ければ自分が始めればいいと思った。バーが全くないわけではないらしいが、当店のようなオーセンティックなバーは珍しいようだ。(探したことが無いので分らない!) 

だが、先日来店したお客様が『この先、このバーに客が増えなければ、この街が田舎で文化の無い街ということの証明だ』・・・と言ってくれた。当店にとっては最高の誉め言葉であり励みになるが、地元の人にとっては腹立たしく聞こえる人もいるであろう。

しかし、この町をみんなで盛り上げて活性化し、歴史と文化を作り上げていこうと頑張っている人も沢山いる。それにバーで飲む習慣のある人も想像していたより多いようだ。(失礼!) 逆にバーで飲む楽しさやマナーを教えるのは、私達バーテンダーの役目であり、それができなければ店の繁栄もない…

紀元前四千年~五千年前、人類が酒と出会ってから今日まで、沢山の文化や歴史が生まれた。酒が文化や歴史を創ったと言っても過言ではない。

日本は今、ワインブームが過ぎ、今は空前の焼酎ブームである。当店も『焼酎はないのか?』とよく尋ねられる。(すみません。焼酎・日本酒は今後も置きません。)確かに焼酎も歴史を持ち、立派な酒文化を作っているし、この地域にも古くからの造り酒屋が数多くあり、それも大切にすべきだと思う。

酒にはウイスキーやブランデー、ウォッカには『生命の水』という語源があるように、人々の人生に付き添ってきた。スナックで綺麗なお姉さんと飲む水割りやビールもよし、居酒屋や小料理屋で飲む日本酒、焼酎、生ビールもよし… どういう酒をどう飲もうが、それがその人の『生命の水』となるわけである。でも、そこにバーで飲むカクテルや多種多様な酒を加えていただければ、酒飲み人生も幅が広がって楽しいのではないだろうか?

当店を気に入っていただいたお客様からは『これから何十年も無くならないでほしい』とよく言われる。とても光栄である。体が潰れるのが先か、店が潰れるのが先かは分らないが、今後もオーセンティックなバーにこだわり、バーテンダーの技術向上に努力し、バーで飲む酒やカクテルの楽しさを伝えていきたい。
そして、この街の酒の歴史に“バー・ブルーサンタ”の名前を記憶させることができれば・・・

#BAR

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