【速】キングジョージⅣ King Geoge Ⅳ
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【ファースト】:やや薄い琥珀 穏やかな芳香 時間と共に燻製された麦感
【ミドル】:香りの印象とは大きく異なり、活き活きとした厚みのあるボディが現れる フィニッシュにかけて盛り上がる クッキー ホットケーキ 大きく膨らみ舌にしみ込む
【フィニッシュ】:切れ上がる 返り優先 鼻もしっかり抜ける スパイシーさは加水の妙で行き過ぎてはいないが、存在を実感する 燻製された麦 活き活きしていて盛り上がり続け はかなく消える
銀座Dさんにて。
キングジョージⅣ
SUPREME。タリスカの配合比率が高かった頃の上位エディション。
ハイランドクイーンや本銘柄の人気が高い要因は「タリスカ」にあるのだと思われますが、さすがと言わざるを得ない内容です。
グレーンが全く「浮いた印象」や「エグ味」に感じられることはなく、燻製されたタリスカ由来と思われる麦感、スパイシーさがミドルからフィニッシュにかけて鋭い切れ上がりを演出。
加水の影響なのか、香りが穏やかな印象だったものが、口に含んだ瞬間に力強く引きこまれ新鮮な覚醒を得られます。
キングジョージⅣ世は、1820年~1830年まで国王(イギリス ハノーヴァー朝)を務めた人物。
皇太子時代の素行は非常に悪く、王室費の半分に相当する金額の借金を作り、競馬で八百長を画策、父親を精神障害に追いやった主因とも言われるほど。
しかしながらスコッチウイスキーの銘柄に登場するには理由があり、イギリスはスコットランドを起源とする「ステュアート朝」が、1603年以降イングランド王を兼務する同君連合体制でありましたが、
1714年からドイツのヴォルフ家の流れを汲む「神聖ローマ帝国」の家系である「ハノーヴァー朝」が、イギリス王家となりました。
(その後1837年にヴィクトリア女王が即位したことでハノーヴァー家はイギリス王家から離脱。理由:女子の継承を認めないサリカ法を採っていたため。)
そんな背景の中キングジョージⅣ世はハノーヴァー朝が始まって以降初めて、ステュアート家発祥の地であるスコットランドを国王として公式訪問します。ホリールードハウス宮殿で氏族(クラン)の代表と接見するときに、同行した作家ウォールター・スコットの勧めもあってスコットランドの民族衣装である「キルト」を纏って出席、人柄も合わせ氏族の永年に積もった恨みを見事に氷解させたうえ、「キングジョージⅣ世は、我らが氏族の総代表である」と爆発的な人気を得るまでに至ったといいます。
以降、イギリス王家がスコットランドで夏の休暇を過ごすときには「キルト」を着用することが習わしとなっています。
http://ja.wikipedia.org/wiki/ジョージ4世_(イギリス王)
本ボトルは、そんなスコットランド氏族の総代表とまで讃えられたキングジョージⅣ世の名前が記されたブレンドウイスキーであるわけです。
とはいえ。。。Dさんといえば天才的かつ緻密な仕事をしたカクテルを提供していただける素晴らしいBARでもあるわけでして、深夜でありながら猛暑のなか訪問し、「さっぱり」したものを頼むと出てきたのは
超絶バランスの「ジンフィズ」。。。なんなんだこの酸味とまろやかさは!! (通常1杯目に飲み手が頼みたくても頼みにくいフィズを進んで出していただけたわけですから感激も倍増です)
続いて私の大好きなキナを使った「モスコミュール」アレンジ。。。これまた生姜とキナの苦味の融合が素晴らしい。
そしてこの「キング・ジョージⅣ世」の登場。
最後に秘蔵アマレット仕様のフレンチ・コネクションで悩殺。。。あとはもう帰って寝るしか無いなという感じ。
おそらくですが非常に緻密にフレッシュフルーツを使ってくださって、ステアもシェイクも優しくかつ丁寧。
久々に伺いましたが、心から満足して帰途につきました。
こんなに美味しいキングジョージⅣ世は飲んだことがないと申し上げましたが、それもこの素晴らしいラインを演出してくれたバーテンダーさんの力量によるものが大きいと思われます。
#ブレンデッド