【提言】ハイボール人気をどう今後に繋げていくか? 2
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前回記事
一部変更 19:00
前回ハイボールの印象でウイスキーが語られるようになったことへの危惧と、ハイボールに用いるウイスキーのクオリティアップを図るべきとの意見を書かせていただきました。
やはり低コストのハイボールの潮流をそのまま見守るのではなく、
「やれば出来るし、もっと美味いウイスキーを提供できる、そんな能ある鷹は爪も出さないといけない」
状況にきたのではないかと思うのです。
その後もいろいろと考えまして、今回追加したい案件は3つあります。
現在の20代にも「グレーンウイスキー」が苦手な層が多いのではないか? グレーン独特の苦み・渋み・干草のようなフレーバーが強いものには要注意
「シングルモルトハイボール」の普及 夏に向けて垣根なく良質なウイスキーとの出会いを増やしてほしい
ハイボールだからといって妥協せず、きっちり30MLのウイスキーを提供。その際、ウイスキーはテイスティンググラスに入れ、ソーダとマドラーと氷はロンググラスに入れて提供するのはどうでしょう?
もちろん3番目においては、1ショット分は使わないから、良質ウイスキーであっても安く出せるという方法でもいいでしょう。しかしウイスキー自体への興味を得るという観点では上記の方法がいいのではないかと私は思います。
なにより余裕のないご時世に必要なことは、「商品と価格の明確化」です。居酒屋がなぜ選ばれるのか?の答えでもあると思います。
また問題点ではありますが、料理は残すが、ウイスキーは残す習慣がない。これもお客さんにとっては参入障壁になりえるでしょう。
なぜか居酒屋ハイボールであると合わなければ気軽に残せるといいます。もちろん値段が安く、作り手の顔が見えないということもあるでしょう。
しかし、合う合わないはあくまでお客さんの好み次第。次を飲みたければ遠慮なく残して貰っていいという考え方もあるかもしれません。
極論でありますが、「もったいない発想」も、あくまで外食産業、プロとしての範疇で考慮することが必要かもしれません。ハイボールの持つ「気軽さ」という長所を壊してはいけないと思うのです。
バーという概念だとやや違和感があるのかもしれませんが、パブリックなお店であれば、
ウイスキーはテイスティンググラスに注ぎ、ソーダはそのまま瓶で、マドラーと氷を入れたグラスとは別に出すとすると
「バーテンダーさんの作成費」はかからず、グラス・小道具の手間賃だけで済み、飲み手はストレートでも若干のソーダ割りでも好みに応じて楽しめる。ということにもなります。
この場合なべ料理やお好み焼きと一緒で自分で作るので若干の情がわき、飲み手もより美味しく感じるかもしれません。とてもウイスキーそのものへの興味を得られやすいスタイルです。
私は以前から一貫して、ウイスキーの一番美味しい飲み方は感動を共有することだと思っていますので、共有する相手は多いほうがいいです。
そう考えると1人静かなバーよりも、賑やかな回転数の多いパブリックな場所のほうが好きです。
ただこれはその時のシチュエーション次第、好み次第だと思います。
このご時世、単価が高いだけで敬遠されますから、同じだけの利益を求めればおのずと回転をあげざるを得ません。一方静かな雰囲気にはマイナスでしょう。
私はウイスキー生産量が増えて利益も増えてこそ、蒸留所は良質なウイスキーを生み出せると思っています。
ブレンデッドの市場が頭打ちななかシングルモルトの出荷は増えているのですから、特に現行のオフィシャル、ボトラーズは、要望があればハイボールで提供して何ら問題ないと思います。
日本全体への輸入が増えれば、限定品の輸入も増大するでしょうし、私のような人間にはそのほうがとてもメリットが大きいです。
テンペストとゴールドの日本輸入が見送りになる現状なのですから、マグロのようにまだまだ日本勢が遠慮する必要はありません。
ハイボールでウイスキーを語られるのは嫌ですが、勝負しないで語られるのはもっと嫌な気がします。
もちろんウイスキーの質を壊さない、ハイボールにできるお酒がないお店にとっては無縁の話かもしれません。
夏に向けてウイスキーへの注目、バーへの注目を増やすためにも、ウイスキーを誤解されないためにも、ぜひご一考いただけると幸いです。
#ウイスキーの知識