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ハモン・イベリコの魅力

遅ればせながら
先日京都で行われたコルタドール・コンテストの予選結果ですが、残念ながら本線には進むことは出来ませんでした(T-T)

とまぁそんなにへこんではいませんけどね(笑)

こうやってちゃんと勉強をした結果、大変興味深い知識をまたひとつ得ることが出来たのですからね。

こういう経験も大切だと思います。

さて、

ここで少しせっかく得た知識なので、皆様に少しだけハモン・イベリコの魅力を語りたいと思います。

イベリコ豚の祖先は「野生のいのしし」です。
それが家畜として放牧されたり、飼養されるようになり環境に適応した結果現在の特徴を持つようになったといわれております。

イベリコ豚の中でも最高級の産地と呼ばれ名高い「ハブーコ村」はスペインはウェルバ県の北部にあります。

大西洋に近く気候が温暖で気温や湿度が他の地域のデエサ「森林地帯」とは違います。そしてハブーコ村のデエサはユネスコの「生物圏保護区」に指定されているそうです。

冬は暖かく、「モンタネラ」と呼ばれる放牧期10月~2月の間に雪が積もることがなく、イベリコ豚たちはのんびりと栄養を取りながら過ごす事が出来ます。

ハブーコ村では、ハモンの作る工程の中にある乾燥と熟成において極端な気候条件にさらされることがなく、夏季には昼夜の気温、湿度の変化が大きくそのおかげで、スダードと呼ばれる脂身から溶けて流れてくる脂が起こりやすく、腿肉の赤身肉と脂身の間に満遍なく浸透していきます。

このハモンにとって恵まれた環境がすばらしい味わいに変えていきます。

イベリコ豚の飼料として、よくドングリを思い浮かべますがその中でもイベリコ豚が好むドングリは、トキワ樫のドングリだそうです。

トキワ樫のドングリは、でんぷん質が多く甘いんだそうでこれを探しながらイベリコ豚はデエサを歩き回ります。

この餌を求めて歩き回るという適度な運動が、筋肉繊維の中に脂肪分を浸透させていきます。いわゆる「サシ」が入っていくそうで、これがまたなんともいえない味わいにジューシーさに変化していくのです。

放牧されるのは、最低月例10ヶ月以上の豚が多く、最高でも2歳になるくらいまでには放牧されるそうです。

放牧期が終わる頃には、80~100kgだったイベリコ豚は160~180kgと約2倍の体重になります。
つまり、1日に1kgずつ太っていきドングリ7kg、草木3kgといった感じで食べるそうです。

イベリコ豚は頭がよく、最初に食べる場所は体重が増える前に急斜面に落ちているドングリを食べて、それから平地に落ちているドングリを探すそうです。

ここで、イベリコ豚のランク付けにもなっているベジョタとレ・セボの違いを述べたく思います。

ベジョタ=放牧期にドングリと草木を食べて体重を2倍にします。
      筋肉繊維に脂が浸透している率が大変に高く表面を覆う脂も厚いのが特徴です。ベジョタであれば、脂肪を指で押してあとが残るのがベジョタで残らないのは違うということがわかるそうです。

レ・セボ=放牧期に体重を23~34Kg前後に増やし、その後11~23kgを飼料を食べて体重を増やした豚の事を指します。

セボ=山間部の広い屋外飼養室で飼料だけを食べて育てた豚を指します。

    ただし飼育者は豚に運動をさせるために餌場と豚舎との間に距離を設けその運動により肉に風味をもたらせて行くようにしているそうです。

ハモンの作り方は、

1、解体処理後セラーノ・カットと呼ばれるV字の切り込みを腿肉の表面に入れられます。

2、1本ずつ両面に塩をこすり付けていく。

3、腿肉を積み重ねていき塩漬けがなされていきます。このとき使われる塩は海塩で、肉の重量1kgに対して1日の塩漬け期間が設けられます。

4、塩漬けをされている期間中にお肉から水分が排出されていき、重量が減っていきます。そして徐々に熟成食品独特の色合いやアロマが少しずつ加わっていきます。

5、熟成期間は菌の繁殖の恐れがありますので、この工程を注意深く監視して細菌の繁殖を抑制するためにPH(酸度)並びに温度管理をしっかりと実施していきます。

6、ハモンが均等になるようにするために「レ・サレ」と呼ばれている行為をします。
  これは積み重ねられた、腿肉をひっくり返して順序を逆にするという行為です。

7、塩漬け期間が終了しますと生肉の風貌は消え、柔らかさや匂いも消えていきます。このときにはすでに塩が肉全体にいきわたり筋肉繊維を安定化されております。

ケースにサルムエラと呼ばれるハモンから出た水分が溜まっております。

これがしっかりと水分が排出され塩漬けが行われたことを証明させております。

8、塩漬けが完了したハモンは、ぬるま湯で表面についた余分な塩を落とされていきます。

そして気温3度の場所で2日間水切りをします。

9、水切りをされたハモンは気温3~6度、湿度85%で40日間寝かせます。この工程をアセンタミエントと飛ばれております。これをすることによってさらにハモンから余分な水分を排出させてしっかりとした肉質にしていくそうです。

とちと書くのが疲れましたが、次の工程は「乾燥」です。

「セカデロ」と呼ばれる乾燥室は、その昔民家の屋根裏部屋がそうであったように、現在でも上の階に設置されております。

窓が最適な方角に設置されており、開閉調節が可能で換気や湿度、温度管理をしているそうです。

静寂なセカデロはハモンが嫌う光をさえぎり静かにスダード(脂身の滴り)を繰り返し乾燥されていきます。

夏季は昼夜の気温の変化が大きく、昼はスダードの流れが多く、夜は流れ出した脂がハモン全体を包みしっとりとさせます。 

夏場には24時間ごとに脂肪繊維質が溶け出しまた凝固していくのです。

次の工程では、熟成になります。

熟成は、毎年気温が下がり始める秋に熟成庫に移されていき最低24ヶ月の熟成を経て仕上がったハモンから出荷されていきます。

ハモンの表面には、乾燥しすぎないようにするためにオリーブオイルや、ラードを塗っていきます。

職人たちは「カラ」と呼ばれている牛の骨をハモンの異なる位置に挿して匂いを確認していき、熟成度合いを判断していくそうです。

熟成晩生期には、ロックフォールチーズにも見られる青カビが付着してます。

この菌によってもたらせられる効果は、脂肪が安定し、香り豊かなハモンが出来上がってくるのです。

すでにこの時点では若いハモンとは違い活発なスダードは起こりませんが、少しずつハモンの内部に芳香を浸透させていきます。

とこのように、ハモンが出来上がるまでにはさまざまな工程が行われおります。

自然の大地が生み出すすばらしい味わい、そして職人たちの思いが詰まったハモン・イベリコをどうぞお楽しみくださいませ。

追記:ハモンは健康的な食材として最近は、ダイエット食品とも言われております。

 ビタミンB郡や鉄分、カルシウム、リン、マグネシウムが多く含まれております。

そして気になる、ハモンの脂肪分はオレイン酸と呼ばれるオリーブオイルと同様の善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールを減らす効果があるそうです。

100gあたり、190カロリー前後だそうですから、健康面を気にしていらっしゃる方も安心して食べることが出来ます。

ゼェゼェゼェ・・・・・・・・。

めっちゃながかったぁ~疲れました・・・。

思いっきり長文をお読みいただきまして誠に有難うございました。

#バーテンダーの独り言 #酒の友

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