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その瞳の奥にある熱意

今日の静岡は少し涼しい夜になり、とても過しやすい天候となりました。

こんな気持ちいい日に、ひとりのお客様がおいでになられました。

はるばる遠方から東京へ研修に行く途中で静岡に降りたというこの方は、お話を伺うとご自分でパン屋さんを営んでいる方だと聞きました。

ここ最近、いろいろなプロフェッショナルな方とのお話を伺うことがあったのですが、パン職人さんとお話しするのは初めてのことです。

といっても、以前働いていたレストランには別室にパン工房もありその方々のお仕事も見学させていただいたこともあり、またパン職人さんたちの大変さもこの目でみてきました。

その方は、とても涼やかで優しげな目をされている方でお話をさせていただいているこちらまで、落ち着いた気持ちになれる方でした。

ふとその方にオーダーされたカクテルをお作りしていると「バー・テンダーさんもとても繊細なお仕事なのですね。その仕事ぶりにとても感銘を受けました」とお褒めのお言葉を頂きました。

「いえいえ、まだまだ修行の身です。諸先輩方にはもっと繊細な方々がいらっしゃいますから・・・」

とそんな、やり取りをしていると次第に話が仕事のお話になりその方が、とても情熱を持ち信念を貫いて仕事をしているということが伝わってきました。

その方は、その方のお店は中心街から少し離れた所にお店があると言われましたが、こだわりを持ち、それに共感をしていただけるお客様がはるばる県外からのお客様もいらっしゃるとか。

「僕は、ハード系のパンにこだわっているんですよ。なかなか人気は少ないんですけどこれが一番のスタンダードですから」

すごい!今の時代色々な菓子パンや調理パンが多くてカンパーニュ等のハード系はなかなか手を出しづらいのにそれにこだわるだなんて!

それだけ基本を大切にしているという表れだと僕は感じました。

私も「ハーブ」や「スパイス」、季節のフルーツを使用したカクテルなどの少し変わった形のカクテルを作っておりますが、その奥には必ず「基本」があります。

別に色物として今のカクテルを作っているのではなく「新しい可能性」を模索しているのです。

スタンダードを大切にしていなければ、オリジナルなど作れるはずもありません。

パン職人さんたちの基本がハード系のパンならば、僕たちの基本は昔から受け継がれてきてるカクテルなのです。

そして、信念を貫くことを継続をし、その継続こそが力になること。

今日おいでいただいたお客様との対話が私にとってまた一つ、成長をさせて頂けたような気がするそんな涼やな夜に心にある真夏のような熱い時間でした。

#バーテンダーの独り言

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