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ローランドモルト (穴埋め式)

ローランドモルト Lowland Malt

かつてローランドは山奥の谷でつくられるハイランドのウイスキーに風味のうえで勝つことが出来なかったが、対抗策として導入されたのが、イーニアスコフィーによる連続式蒸留機であった。これにより安価なグレーンウイスキーの大量生産が可能となり、スコッチのブレンデッド時代が到来した。
現在もグレーンウイスキーの工場やブレンド業者、瓶詰め工場の大半がローランドにあり、ウイスキー産業の中心となっている。

ローランドモルトウイスキー・・・ローランドではライトボディで穀物様のフレーバーの強いモルトウイスキーをつくっており、オーヘントッシャンローズバンクなどはアイリッシュウイスキーの製法を取り入れた3回蒸留など行っていた。
かつて数十あったといわれるローランドの蒸留所は現在か所が稼働しており、か所が準備中である。
ローランドが衰退した原因は、
①エジンバラやグラスゴーといった大都市の周辺にありイングランドとも隣接している為、大資本が流入しやすかったこと
②そのために技術革新にやっきになり、伝統技術がすたれてしまったこと
などがあげられる。

■エジンバラ 場所
人口約45万人。スコットランドの首都
スコットランド女王メアリーにまつわるエディンバラ城やホリルードハウス宮殿、スコットランドを代表する聖ジャイルズ大聖堂など歴史的な建造物が集まっているオールドタウンと18世紀以降に計画的につくられたニュータウンが見事に調和している。
世界遺産にも登録されており“北のアテネ”とも呼ばれる。
周辺蒸留所:グレンキンチー、セント・マグデラン、ローズバンク

・グレンキンチー蒸留所(ディアジオ社) 場所
ローランド地方は農業の中心地で蒸留所周りにも大麦や小麦、じゃがいも畑などが並び、グレンキンチーももともとは農家の副業として設立された。
かつては家畜も育てていて、麦芽の搾りかすや蒸留廃液は家畜の飼料として利用され、グレンキンチーで飼育されたアンガス牛は肉質がよく評判だった。
蒸留所の特長は
①仕込み水は硬水である。
②スチルはランタンヘッド型が初で、容量はスコットランドで最も大きい。(大きなスチル:バルヴェニー、グレンファークラス)
③シングルモルトは割ほどで割はヘイグディンプル、ジョニーウォーカーの原酒となる。
④ディアジオのクラシックモルトシリーズ

エジンバラからフォース湾沿いに西へいくと2つの閉鎖蒸留所、セントマグデラン、ローズバンクがある。

・セントマグデラン蒸留所(1983年閉鎖) 場所
エジンバラ西の街リンリスゴーという街にある古い十字架のマグデラン聖人にちなんだ蒸留所名。
スコットランド女王メアリーやメアリーの息子スコットランド王ジェームス5世の生まれたリンリスゴー宮殿がある。
蒸留所は歴史的建造物として残され外装はそのままで内装のみ高級アパートメントに改造されてしまった。
ボトラーズからは「リンリスゴー」というボトルがでている。

・ローズバンク蒸留所(1993年閉鎖) 場所
リンリスゴーからさらに西へ、キャメロンの街にあったため当初はキャメロン蒸留所となのっていた。
ローランド伝統の3回蒸留を行う蒸留所で、初留はストレート型が1基、後留と再留はランタンヘッド型が1基ずつあった。
現在、建物はレストランになってしまい再開は難しい。


フォース湾対岸には新規オープンしたダフトミルとオープン予定のレディバンク。

・ダフトミル蒸留所(カスバート家) 場所
農家の古い建物を利用した蒸留所で、この地で農業を営むカスバート兄弟により2005年に設立されたマイクロディスティラリー。
自家畑のオプティック種を使い、業者に依頼してノンピートの麦芽に仕上げてもらう。
仕込み水は自家畑の硬水、熟成にはヘブンヒル社のバーボンバレルを使う。
現在熟成は約5年を満たしており、今後ボトリングが待たれている。

・レディバンク蒸留所(レディバンクディスティラーズ社)
準備中である。

■グラスゴー 場所
人口約78万人でスコットランド最大。エジンバラが京都なら、グラスゴーは東京。
クライド川の岸辺に発展してきた貿易と重工業が中心の街で、大英帝国の発展に多大な貢献をしてきた。
街の中心はクライド川の北側に集中しており、グラスゴー大聖堂やジョージスクエア、グラスゴースクールオブアート(マッキントッシュ)など歴史や文化的に重要な建物が点在している。
サッカーの名門クラブチーム、セルティックとレンジャースのホームタウンである。
近郊蒸留所:キンクレイス、グレンフラグラー

グラスゴー街近郊には超レアなモルト四天王のうち2人の閉鎖蒸留所、キンクレイスとグレンフラグラー。

・キンクレイス蒸留所(1975年閉鎖)
1958年ロングジョン社によりストラスクラウドグレーンウイスキー蒸留所内に建てられたグラスゴー最後の蒸留所。
すべてブレンド用で、オフィシャルは存在しなかったため超入手困難なモルト四天王(ベンウィヴィス、キンクレイス、グレンフラグラー、レディーバーン)のひとり。

・グレンフラグラー蒸留所(1985年閉鎖)
モファット複合蒸留所内で1965年から85年まで20年間創業が続けられた。
麦芽のピート比率と樽によって
キリーロッホ (ノンピート、ハイランドタイプ)
グレンフラグラー (中くらいのピート、ローランドタイプ)
アイルブレイ (ヘビーピート、アイラタイプ)
という3種類のモルトをつくっていた。

グラスゴー、クライド川(クライド湾)の北側には閉鎖されたインヴァリーブンとリトルミル、オーヘントッシャが並ぶ。

・オーヘントッシャン蒸留所(サントリー、モリソンボウモア社) 場所
野原の片隅」の意味。
創業は1823年(酒税法改正)で、アイルランドからの移民が建設したといわれる。
現在唯一ローランドの伝統3回蒸留を行っている蒸留所である。(関連:閉鎖したローズバンク)
※初留釜=ウォッシュスチル、後留釜=インターミディエイトスチル、再留釜=スピリットスチル、
※3回蒸留のメリットとデメリット=3回蒸留によりアルコール度数が高くなり純粋アルコールに近くなるのでマイルドで個性が乏しくなるが、メリットとしては熟成期間が短くて済む。
ランタン型のスチルが初1後1再1基ずつある。
仕込み水はカトリン湖の水で、蒸留所はローランドだが仕込み水はハイランド産である。(関連:グレンゴイン・・・蒸留所はハイランドで熟成庫はローランド)

・インヴァリーブン蒸留所(1991年閉鎖)
創業は1938年、カナダのハイラムウォーカー社がローモンド湖から流れ出すリーブン川沿いのダンバートングレーンウイスキー工場内に建設した。
①インヴァリーブン
②ハイラム社の開発したローモンドスチルを使ったローモンド
という2種類のモルトをつくっていた。(関連:グレンバーギ、ミルトンダフ、、、さらにスキャパ、ロッホローモンド)
どちらもバランタインのブレンド用でオフィシャルの販売はなく、インヴァリーブンはGMからボトラーズが少々、ローモンドのほうは完全に幻のウイスキーである。

・リトルミル蒸留所(1994年閉鎖)
創業は1772年でスコットランド最古を誇る蒸留所である。(関連:グレンタレット・・・現存するなかでは最古の1775年)
2004年に火災により焼失、残念ながら今は建物ものこっていない。

■エア 場所
人口約5万人、エア川のほとりにひらけるロバートバーンズゆかりの街である。
近郊の村アロウェイとともにバーンズがここで幼少期を過ごした。
バーンズの詩「タオオシャンターイン=シャンター牧場のタム」に登場するパブや教会、石橋、エアから4キロほどはなれたアロウェイ村にはバーンズの生家や博物館などもあります。
近郊蒸留所:レディーバーン、アイルサベイ、ブラッドノック

エアからA77を南下したところにウィリアムグラント社のレディバーンとアイルサベイ、さらに南進してスコットランド最南端のブラッドノック。

・レディバーン蒸留所(1975年閉鎖)
1966年ウィリアムグラント&サンズ社によりガーヴァングレーンウイスキー蒸留所内に建設されたが創業はわずか年で最も短命。レアモルト四天王のひとりだが、2004年頃にオフィシャルの1973とGMの「エアシャーディスティラリー1970」という2本のボトルが発売された。
「貴婦人の川」の意味。

・アイルサベイ蒸留所 場所
ウィリアムグラント&サンズ社によりレデイバーンと同じくガーヴァングレーンウイスキー蒸留所内に2007年に設立された。
スコットランドにある7つのグレーンウイスキー蒸留所のひとつで、グレーンウイスキーの連続式蒸留機だけでなくジン用のスチルもある。
蒸留所名はカーリングのストーンを切り出す島として有名なアイルサクレイグ島に由来している。
ボール型のスチルが初4再4基で年間生産量は500万リットルで、ローランド最大

・ブラッドノック蒸留所(レイモンドアームストロング社) 場所
マッカース半島の付け根にあるウィグタウンの街、スコットランドで一番にある蒸留所である。
マッカースとは平らな土地の意味で、このあたりの土地柄を言い表している。
蒸留所近くのオークの森には野生のランが自生しており、花動にはランの花が描かれていた。
何度か閉鎖していたが1994年からUDに変わりレイモンドアームストロング氏がオーナーとなり復活し2000年より創業が開始された個人経営の蒸留所。
スチルはボール型が初再1基ずつ、仕込み水はブラッドノック川、川沿いをキャンプ場にしたり生麦棟をライブハウスに改造したりして観光客などを誘致している。

■ダンフリース 場所
人口約3万人、スコットランド南西部の中心都市。
バーンズが晩年の5年間を過ごした場所でもあり、バーンズの晩年の住居や墓などバーンズゆかりの見どころが点在する。
近郊蒸留所:アナンディール

ダンフリース西のアナンの町に計画中のアナンディール。

・アナンディール蒸留所(準備中)
ダンフリーズの東アナンの町にかつてあった蒸留所の復活をめざして計画が進行中である。

ウイスキーエキスパート試験まであと1日

#ローランドモルト(穴埋め式)

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