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バーで飲もう!“信じるものは自分の舌”篇

『味覚(みかく)とは人間の五感の一つで、口にする物の化学的特性に応じで認識される感覚である。この生理学的な味覚が他の要素(嗅覚、視覚、記憶など)で拡張された知覚心理学的な感覚としての”味”は、風味(flavor)と呼ばれることが多い。甘味、酸味、塩味、苦味、うま味の5つを基本味という。』・・・とまぁ、百科事典で言えばこんな難しい解釈になる。

人それぞれ味覚は違うので、他人が美味しいからといっても自分と味覚が違えば美味しく感じなかったりする。逆もまた然り・・・

人間の舌(味覚)は普段の生活でいろんな食べ物や飲み物の味を見分け、美味しいと人を幸せにしたり、逆に口に合わなくて不幸な気持ちにしたりするのだが、時に目や耳、脳からきた情報に惑わされることがある。

出された料理や飲み物が美味しそうに見えても実際にはそうとは限らない場合もあるし、逆に見た目は美味しそうになくても食べたら意外と美味しいなんてことはよくある。
知人友人から『ここの店の料理や飲み物は美味しいよ!』とか逆に『美味しくないよ!』なんて言われたものの、実際に行って食べてみると逆に感じたり、そうでもないのにつられて同調したりするものだ。

話は変わるが、カクテルには塩や砂糖のスノースタイル(グラスの淵をレモンで濡らし、塩や砂糖を付けたもの)をするものが何種類かある。
代表的なカクテルでは、ソルティードッグ、マルガリータ、雪国、キッス・オブ・ファイヤー等等。ソルティードッグはご存知の通り塩のスノースタイルですが、他はカクテルに詳しい人か、1度は飲んだことがないと塩なのか砂糖なのかは分らないと思う。(当然ですが・・・)

話を戻すと、この塩と砂糖、塩味と甘味の両極端な場合でも、人はハッキリと自分の舌による味覚で感じられない場合がある。
“雪国”というカクテルは砂糖のスノースタイルをするのだが、スノースタイル=塩!と思っている人も少なくない。
“雪国”を飲んだことがあれば砂糖が付いていることが分っているのだが、飲んだことがないと周りからの『塩がグラスの淵に付いている。』の言葉に、本人も塩と思い込んで『本当だ!塩だね!塩は食べ物の甘味を引き出すから甘く感じる!』・・・なんてことが度々あるのだ!
勿論、機を見て砂糖であることを告げるのだが、人間の先入観とは砂糖を塩に代えてしまう力があるのかと逆に感心してしまう。逆は殆んどないが、当然といえば当然。

とはいえ、この私も先日のバーテンダー協会の研究会で、ジンのブラインドテスト(銘柄を隠して味覚で当てるテスト)をしたときに、話をよく聞いていなかったため実際には使用されていないジンを“入っている”と思い込み、とんでもない失敗をしてしまった。ハハハ・・・
反省して、修行し直します。

貴方もこういった経験はありませんか?(なかなか無いとは思うけど)
飲み物や食べ物を味わうときは全ての情報を無視して、自分の味覚だけを信じて美味しいものを見つけましょう。

#BAR

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