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最後の贈り物

今日は、BCSの勉強会が暑い中開催されました。

お題は「バラライカ」

今日はいつもよりも時間をとり、より多くの意見をディスカッションをすることができたのではないでしょうか?

若手の子たちにも、作らせたりしてそれに対し、先輩バーテンダー達が指導をする。

いい関係性が構築されてきていると思います。

そして、今日はバラライカ。

ということは、バーテンダーの花形でもあるシェイキングもお題の一つになってくるわけですね。

シェイキングと一言でいっても、大変に色々なスタイルがあります。

基本的な、2段振り、1段振り、幾何学的な振り方、ハード・シェイクの代名詞でもある上田和男氏の3段振り。

挙げ始めたらきりがないので、この辺にしておきますがそれだけシェイキングのスタイルや考え方は人それぞれだと思います。

ある意味、一番の見せどころでもありますし、バーテンダーの考え方もわかりやすいです。

会話は結構盛り上がり、その熱気に負けないくらい熱のこもった時間を過ごせたような気がいたします。

そして、その会話の中に「シェイカー」の事に触れた件がありました。

シェイカーも様々な形状があり、昔ながらのYUTAKAのシェイカーやバロン・シェイカー、最近ではチタンのシェイカーもあります。

その中で以外にもみなさんが知らなかった、洋白のシェイカー。

これは、今も使っていらっしゃるかどうかわかりかねますが、上田先生も使っていらっしゃったような気がいたします。

過去に少しだけお世話になった師のお店でも全部洋白のシェイカーだったです。

じつは、これで作りますと本当に冷えが早く、また水っぽくなりにくいのですね。

だからハードシェイクの時は特に使い勝手がいいのです。

・・・のですが、お値段も結構なものでして・・・・何個も変えるような代物ではありません。

私も、1個だけ持っているのですが基本的には使うことはあまりいたしません。

味わいがどうしても変わってしまいますからね。

ですが、ここぞという時には使わせていただくこともあります。

なぜかと申しますと、このシェイカーには大切な思い出が詰まっているからです。

私が、まだバーテンダーの駆け出しの頃に今は亡き祖父が、自分がこのシェイカーのカタログを見ていたとき、未熟な自分にはあまりにも高いシェイカーであるため、買うのをためらっていたときに、横から祖父が「お前がこの仕事を続けていくのであれば、これはおじいちゃんが買ってやるよ」と言ってくれたのです。

正直迷いましたが、自分の迷いや色々な物を断ち切り、この道に進んでいくためにも見つめ返す宝物になるのではないかと、そんな風に感じ甘えてしまいました。

シェイカーが届くと、祖父に見せ「頑張るね」と・・・

そういったことを今でも思い出されます。

その数年後、祖父は他界いたしました。

本当に最後の贈り物になってしまったのですね。

でも、シェイカーの輝きは今でもこの時の気持ちのままです。

洋白のシェイカーは、すぐに色が黒ずんできますので、銀磨きで磨いてあげないといけません。

このシェイカーが黒ずんでいれば、自分の気持ちによどみがある時だと、そんな風にも思います。

この祖父に買ってもらったシェイカーを磨いているときは初心に戻れます。

このシェイカーの色を聴くときは、きっと特別な時に、特別な思いで作る時だと思ってほしく思います。

バーテンダーの道具も、思いがこもるとその愛着が味わいになるものですから・・・。

#バーテンダーの独り言

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