今夜僕は、彼と永遠のサヨナラとなる挨拶を交わしてきた・・・
小柄な彼はいつも逢うと必ず、はにかみながら僕に会釈をしてくれた。
手をあげるわけでもなく、少し歯を覗かせながらの軽い会釈を。
そんな彼と言葉を交わすのは、いつも挨拶程度。
こんちわ。
やぁ。
たぶん今夜、彼と一番ゆっくり話をした。
彼もお酒が好きだったらしい。
これまで何本かのお酒をプレゼントさせて頂いた。
今夜の僕にはクリスタル・グラスなどいらない。
独り弔いの晩酌。
家に戻るのが夢だったという彼。
やっとホッとしたのかもしれない。
きっと彼の心残りは、眠る彼の一番近くで悲しむ彼女のこと。
でもね、お父さん。
彼女の隣に鎮座する、たくましい彼がいるから大丈夫ですよ。
着慣れない黒服に包まれた彼を見てそう想う。
貴方とぶつかり合った分、見えないところで彼もちゃんと成長しています。
そして貴方の意思はしっかりと、彼等に受け繋がっているはずですから。
貴方が眠る上の部屋にいる彼女も、きっと大丈夫なはずです。
貴方の生きざまを、しっかり見ているのですから。
月並みですが、お疲れさまでした。
きっと苦労さえも楽しめた人生だったことでしょう。
いつかまたお逢いするその時まで、僕は毎日を一生懸命に生きたい。
そしていつか、またお逢いしましょうね。
そのときはきっと、そこに不慣れな僕が
はにかみますから・・・
#独り言・・・