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スペイ川中下流域

スペイ川中下流域14蒸留所(13稼働中、1閉鎖)

スペイ川とフィディック川の合流点付近の蒸留所:クレイゲラキ、マッカラン

・クレイゲラキ蒸留所(バカルディ社) 場所
スペイ川とフィディック川の合流点にあるクレイゲラキ村。
花動には「サーモン」が描かれており(関連:グレンキース)この地はサーモンフィッシィングのポイントである。
バカルディ社の14年OBにはテルフォードの橋が描かれてる。
創業者はホワイトホース社を率いたあのピーターマッキー。
彼の祖父はラガヴーリンの所長だったので、若き日のピーターはラガヴーリン蒸留所で修業した。
ピーターにとって非常に愛着のある蒸留所で、今もホワイトホースの原酒となっている。

・マッカラン蒸留所(エドリントングループ社) 場所
百貨店ハロッズの“ウイスキー読本”のなかでシングルモルトのロールスロイスと評される。
グレンフィディック、グレンリベットに続き世界第3位の売上を誇る。
日本では特に人気が高く輸入シングルモルト第1位。
蒸留所はクレイゲラキ蒸留所の対岸にある。
ゲール語で「聖フィランの野原」の意味。
ストレートヘッドで急な角度のポットスチルは第一生産棟で初留5基、再留10基、第二生産棟で初留2基、再留4基。
伝統的なガス直火焚き。
熟成にはスパニッシュオークのドライオロロソシェリー樽が使われる。
50%がシングルモルトで、あとはシーバスやカティサーク、フェイマスグラウスなどの原酒になる。

ベンリネス山(標高840メートル、スペイサイドで最も高い山)の付近の3蒸留所:アベラワー、グレンアラヒー、ベンリネス

・アベラワー蒸留所(ペルノリカール社) 場所
フランスで人気があり、世界7位の売り上げを誇る。
チャールズドイグの設計したヴィクトリア朝の建物、ラワー川沿いに建てられている。
ペルノリカール社のシングルモルトの本命はグレンリベットとアベラワー。
熟成はシェリー樽で、倉庫番が熟成庫で眠るウイスキーにバグパイプの演奏を聴かせていたという。

・グレンアラヒー蒸留所(ペルノリカール社) 場所
「アラヒーの谷」の意味。設立は1967年と新しく、設計はウィリアム・デルム・エヴァンスが手掛けた近代的な建物。
ストレート型とランタン型がペアになった4本の柱のように並ぶポットスチル。
エネルギー効率化のパイオニアで熱交換器を使ったプレヒーティングシステムをいちはやく導入した。
熟成は近代的なラック式とパラタイズ式、ほとんどがバーボン樽で熟成される。
覚え方:ひとことでいえば効率性と機能美を追求した蒸留所である。

・ベンリネス蒸留所(ディアジオ社) 場所
ベンリネス山の北の山麓標高213メートルの所にある。
花動にはベンリネス山に棲む黒ライチョウが描かれている。
スプリングバンクと同じくウォッシュの一部を3回蒸留するという2.5回蒸留システムでディアジオの異端児といわれる。(関連:モートラック)

スペイ川対岸の第1、第2工場ペアで覚える蒸留所:ダルユーイン、インペリアル

・ダルユーイン蒸留所(ディアジオ社) 場所
「緑の谷間」の意味で、花動には周辺に棲むアナグマが描かれている。
1891年にタリスカーと合併して、スペイ川対岸に第二工場であるインペリアルも建設した。
以前は全てブレンド用でボトラーズ物しかなかったが、オフィシャル(花動)の16年が発売された。

・インペリアル蒸留所(2005年閉鎖)
ヴィクトリア女王が在位60年、ダイアモンドジュビリーの年である1897年に建設されたことから、インペリアル(皇帝)と名付けられた。
対岸のダルユーイン蒸留所の第2工場。

続いて語尾に“ドゥ”(黒い)のつく3蒸留所:ディアジオの女性的なカードゥ男性的なノッカンドオ、エドリントンのタムドゥー

・カードゥ蒸留所(ディアジオ社) 場所
「黒い岩」の意味。7割以上がスペイン向けで、日本で手に入りにくいモルト。
ライトで甘い飲み口、女性向けの味。
1893年にジョンウォーカー&サンズが買収し、以後ジョニーウォーカーのメイン原酒となる。
地元で農業を営むジョン・カミング夫婦が始め、妻のヘレンは近隣の密造者たちから「肝っ玉かあさん」と呼ばれる女傑であった。カミングの息子、ルイスの妻エリザベスは優れた経営手腕の持ち主で、「ウイスキー産業の女王」と呼ばれ、カードゥの名声を不動のものにした。
覚え方:女性が活躍した蒸留所→女性向けの甘くまろやかな美酒、香水のようなボトルデザイン。

・ノッカンドオ蒸留所(デイアジオ社) 場所
「小さな黒い丘」の意味。フランスやスペインで人気が高いシングルモルト。
味わいは女性的なカードゥに対して、男性的なノッカンドオ。
熟成年数を記載せず蒸留年と瓶詰め年が記載されたボトルが特長だが、現在は12年ものが主流となっている。
ジャックダニエルやメーカーズマークのバーボン樽を主に使い、シングルモルトは5%ほどでほとんどがブレンド用になる。
熟成庫には現在入手困難なJ&Bアルティマの為に、スコットランド128蒸留所の樽が貯蔵されている。

・タムデュー蒸留所(エドリントングループ) 場所
「黒い丘」の意味。サラディン式のモルティングを行っている唯一の蒸留所で、同じエドリントングループのマッカランやグレンロセス、ハイランドパークにも麦芽を供給する。スペイサイドで唯一麦芽供給率100%。
フェイマスグラウスのメイン原酒。

以下、スペイ川流域の真骨頂、銘酒が続きます:グレンファークラス、クラガンモア、トーモア

・グレンファークラス蒸留所(J&Bグラント社) 場所
「緑の草原の谷間」の意味。
サッチャー元首相はグレンファークラス105を愛飲した。
全てシェリー樽で熟成させる。
スチルはボール型で初3再3、スペイサイド最大の大きさで最小のマッカランの7倍近い大きさである。
加熱はガスバーナーの直火焚き。(関連:マッカラン)
グレンフィディックと同じく、創業者がファミリー経営を続ける数少ない蒸留所。
1952年から1994年までの全てのビンテージ43種をそろえたファミリーカスクが発売された。

・クラガンモア蒸留所(ディアジオ社) 場所
スペイ川とリベット地区につながるエイボン川との合流点に位置する。
スペイサイドを代表する銘酒、MJもオフィシャル12年に90点を付け、華やかさとバランスの良さはモーツァルトのシンフォニーにも例えられる。
ディアジオがクラシックモルトシリーズのスペイサイド代表に選んだ1本。
創業者はジョン・スミス(グレンリベットのジョージ・スミスの私生児?)で、マッカラン、グレンリベット、グレンファークラスなどのマネージャーを歴任した偉大なウイスキー職人であり重要人物。
鉄道マニアでもあり、蒸留所内に線路を引っ張って大量輸送も可能にした。
12年ボトルには蒸気機関車が描かれている。
ワームタブの冷却装置を使い、再留釜のスワンネック部分がT字シェイプ。(関連:プルトニー、ダルモア)
オールドパーやホワイトホースのメイン原酒である。

・トーモア蒸留所(ペルノリカール社) 場所
「大きな丘」の意味。設立は1958年でスペイサイドでは20世紀になってから最初の蒸留所
これまた蒸留所とは思えない美しい建物。
蒸留所内にある池は冬になると凍ってしまい、ここでスコットランド生まれのスポーツ「カーリング」が行われる。
ストレート型のスチルが初4再4、再には精留器がついていて軽い酒質を生んでいる。
新しい蒸留所で伝統的なスペイサイドウイスキーを今日もつくっている。

最後にスペイ川湖畔にひらけた美しい街、グランタウン・オブ・スペイのちかくにある蒸留所:バルミニック

・バルミニック蒸留所(タイビバレッジ社、インバーハウス社) 場所
1824年、真東にあるトミントール(リベット地区)からきたマクレガー兄弟によって建てられた。
ポットスチルはボール型でそのうちの1基がエリザベス女王載冠25周年博覧会に出品されたのが自慢。
マクレガー家が100年以上経営していたが、DCL社に買収されたのち現在はインバーハウス社のフラッグシップ的存在のモルトとなっている。

ウイスキーエキスパート試験まであと6日

#スペイサイド

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