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スコットランドのグレーンウイスキー

備忘録『スコットランドのグレーンウイスキー』

Scotch Single Grain Whisky
 
ベン・ネヴィス27年(54度、750ml) Ben Nevis
 
1825年創業、ベン・ネヴィス蒸溜所産のシングル・グレーン。現在は、ニッカ・ウヰスキーが資本投下している、ハイランド地方のモルト・ウィスキー蒸溜所として著名だが、かつてはロッホサイド蒸溜所同様、グレーンウィスキーも生産していた。
 
これは当時生産されたものをボトリング。以降、同蒸溜所から連続式蒸溜器は撤去され、グレーンウィスキーの生産は行われていない。
 
ベン・ネヴィス27年は、英国エジンバラに本拠を置くインデペンデントボトラー、ジェイムズ・マッカーサー社のシリーズ中でも貴重なボトルである。カスクストレングス。ライトボディーでメロウな香味。
 
James MacArther & Co.Ltd、イギリス
 
 
 
ブラック・バレル(40度、700ml) Black Barrel
 
ブラック・バレルは、ガーヴァン蒸溜所産のシングル・グレーン。原料は、大麦麦芽とトウモロコシ。ブラック・バレルとは、熟成に用いるオーク樽の内側をすっかり黒ずむまで焼くことからその名がついている。この作業を施すことにより、甘くジューシィ、芳しくまろやかな味わいに仕上がるという。
 
1963年創業のガーヴァン蒸溜所は、スコットランド南西部エア州にあるWグラント社所有のグレーンウィスキー蒸溜所。同社は、グレンフィディック、バルヴェニー、キニンヴィ蒸溜所などのモルトウィスキー蒸溜所を所有している。
 
なお、同蒸溜所敷地内に1966年創業のモルト蒸留棟であるレディーバーン蒸溜所がある。だが、1976年に操業停止して以降、モルト・ウィスキーの生産は行われていない。ポットスチルは計4基。仕込用水はペンワップル貯水池の水を利用していた。
 
追記:蒸溜所の側に、セントアンドリュース・オールドコースと並ぶ有名なゴルフコース、ターンベリー(1994年全英オープン開催地)がある。
 
William Grant & Sons Ltd.、イギリス
 
 
 
カレドニアン23年(58.5度、700ml) Caledonian
 
カレドニアン蒸溜所は、1855年にエジンバラに創業した老舗でグレーンウィスキー蒸溜所。第2時大戦中、ドイツ軍の爆撃で被害にあったが戦後も稼働し続けたが、残念ながら、1987年に閉鎖された。
 
カレドニアン23年は、シグナトリー社のボトルで1976年蒸留、2000年瓶詰の23年物。オーク樽熟成のカスク・ストレングス品。豊かで、深いコクを持ちながらも、なめらかでライト。舌と喉を爽やかに洗う、洗練した味わいが十二分に堪能できる。
 
DATE OF DISTILLATION 10.4.76, BOTTLED 14.1.00
CASK NO 4987, BOTTLE NO 149 OF 302
 
Signatory Vintage Scotch Whisky Co.,Ltd.、イギリス
 
 
 
カンバス31年(53.2度、700ml) Cambus
 
1806年、ローランド地方アロアに創業。1936年にグレーンウィスキー蒸溜所に改装された。1877年にDCL社傘下となり、一時はUD社のブレンデッド・ウィスキー製造時に最も尊重すべきグレーンと評された時期もあったが、1993年に閉鎖された。
 
カンバス31年は、ケイデンヘッド社オーセンティックコレクションの一品。カスクストレングスの貴重なシングルグレーン。1963年1月蒸溜、1994年2月瓶詰。
 
Wm.Cadenhead、イギリス
 
 
 
キャメロン・ブリッグ(40度、700ml) Cameron Brig
 
1823年、ヘイグ家が創業し、世界で最初にグレーン・ウィスキーを生産した蒸溜所。スコットランドの東岸、エジンバラの少し北に位置するファイフの”バンクス・オブ・レーヴェン”に居を構える。70エーカーに及ぶ広大な敷地内では、毎週4000万~5000万リットルの水と3500トンの小麦、15トンの酵母が加熱され、気化して、アルコールと家畜の餌が産出される、正に”化学工場”の風貌。UDV社の主要なグレーンウィスキー蒸溜所という地位を得、年間の生産量の33%にあたる6500万リットル相当は、ゴードン・ジン、スミノフ・ウォッカといったスピリッツの生産に仕向けられている。1830年代初頭、様々な様式の連続式蒸留器の稼働試験が行われたが、1920年代以降はグレーンウィスキーの生産に絞られた。1989年からはジンの生産も行っている。
 
キャメロン・ブリッグはオレンジがかった琥珀色の色調、シェリーとキャラメルの特徴を持つメローなシングル・グレーン。熟成年数の表記はないが、中身は9年物。
 
Cameronbridge Distillery.、イギリス
 
 
 
キャメロン・ブリッジ1954年(46度、750ml) Cameronbridge
 
キャメロン・ブリッジ1954年は、シグナトリー社のボトルで1954年蒸留,1989年瓶詰の35年物。
 
on 21.06.54、Bottled 8.89. Cask nos 1-2. Bottle no 128 of 450
 
Signatory Vintage Scotch Whisky Co.,Ltd.、イギリス
 
 
 
カースブリッジ28年(54.7度、750ml) Carsebridge
 
1799年、ジョン・バルドによってアロア近郊にモルトウィスキー蒸溜所として設立され、後にDCLの施策でグレーンウィスキー蒸溜所に変更された。1983年に閉鎖。同グループ最古のグレーン蒸溜所だった。
 
カールスブリッジ28年は、英国エジンバラに本拠を置くインデペンデント・ボトラー、ジェイムズ・マッカーサー社のシリーズ中でも貴重なボトルである。カスクストレングス。ライトボディでスムース、ウッディでほのかなシェリー香が心地良い。食前酒に最適。
 
James MacArther & Co.Ltd、イギリス
 
 
 
ダ・ヴィーレイ・シングル・グレーン(46度、700ml) Da Mhile Single Grain
 
ダ・ヴィーレイ・シングル・グレーンは、オーガニック(有機栽培)な穀物のみで造られた、ロッホ・ローモンド蒸溜所産のシングル・グレーン。限定1000本。
 
何でも、有機栽培の農家でありチーズ生産者としても名を馳せる、ウェールズ人のジョン・サベージ=オンストウェッダー氏に献呈する品とか。
 
> Pretty much a typical grain, with an interesting toasted cereal note.
> The world's first organic grain (well, first since chemicals were invented). 
> Limited to 1,000 bottles of organic grain whisky made at Loch Lomond grain 
> distillery for organic farmer and champion cheese maker John Savage-
> Onstwedder, who's Welsh as well.
 
Da Mhile (pronounced da vee lay) is Gaelic for 2000. As an organic farmer it was my vision to create the finest orgnic single malt Scotch whisky in the world. I wanted it to be specially hand crafted, in time for the most significant New Year's celebrations in a thousand years. It was produced at the revered Springbank distillery  in June 1992 and matured in sherry casks. Only Springbank could meet my exacting criteria to produce the purest malt one could ever hope enjoy. The whisky has been bottled without being chill filterd, a process which removes much of the flavour. There is no caramel added for colour uniformity. Da Mhile is a completely natural product and in the real Uisge Geatha, "The Water of Life"
 
Signed on behalf of Da Mhile John Savage-Onstwedder
 
追記:同銘柄として、スプリングバンクの原酒を詰めた「ダ・ヴィーレイ1992年」が知られている。また、シングル・グレーン初のオーガニック品の登場に合わせて、これらをブレンドした「ダ・ヴィーレイ・オーガニック・ブレンド」もリリースされた。
 
追記:ロッホ・ローモンド蒸溜所は、ピート香の強いモルトから弱いモルトまで7つの異なったモルトを生産している。Croftengea, Inchmoan, Craiglodge, Old Rhosdhu, Glen Douglas, Inchmurrin, Loch Lomondと名乗る。
 
John Savage-Onstewdder、イギリス
 
 
 
ダンバートン1960年(53.1度、750ml) Dumbarton
 
ダンバートン・グレーン蒸溜所は、1938年、グラスゴー市の近くにハイラム・ウォーカー社が建てた巨大な蒸溜所である。ここのグレーンは、バランタインに使われている。1994年にアライド・ドメック傘下となり、蒸溜所の運営はアライド・ディスティラリーズが、操業はその子会社ジョージ・バランタイン社が担うこととなる。
 
蒸溜所内にはモルトウィスキーの生産棟(インヴァーリーブン蒸溜所)を所有しているが、1991年に閉鎖されてしまった。2002年以降、グレーンウイスキーの生産も休止している。2005年7月26日、ペルノー・リカール社によるアライド・ドメック社の買収に伴い、ペルノー・リカールの傘下となる。
 
ダンバートン1960年は、シグナトリー社のボトルで1960年蒸留、1989年瓶詰の28年物。カスクストレングス。
 
ダンバートンで飼われている鵞鳥の群は、同蒸溜所の番人として活躍中。”招かれざる客”をガァガァと追い払うという、微笑ましい伝統を持つ。
 
参考:■Graham Nown ザ・スコッチ バランタイン17年物語, TBSブリタニカ, 1996.6.15
 
on 22.12.60、Bottled 8.89. Cask nos 117838-40. Bottle no 358 of 450
 
Signatory Vintage Scotch Whisky Co.,Ltd.、イギリス
 
 
 
ガーンヒース24年(56.8度、700ml) Garnheath
 
ガーンヒース蒸溜所は、1965年、インヴァーハウス社がエアドリーに創業。5基の連続式蒸溜器と6基の単式蒸溜器をフル稼働させ、巨大なモルティング工場と32連の倉庫を擁し、クーパレッジ(製樽工場)、ブレンディングとボトリング施設を備えた複合蒸溜所であった。別名モファットと呼ばれた同蒸溜所は、モファット・ミルズ製紙工場を改装した建物であった事にちなむ。1985年7月に閉鎖。仕込用水は、リリー湖の水を使用していた。
 
ガーンヒース24年は、シグナトリー社のボトルで1973年蒸留、1998年瓶詰の24年物。オーク樽熟成のカスクストレングスで、シグナトリー社の創設10周年記念として企画されたボトルの1つ。本品にはその旨の透かし彫りが入ったタンブラーが2つセットでパッケージングされている。
 
Matured in an oak cask for 24 yearsDistilled: 30.12.73 & Bottled: 8.6.98
Cask No. 393688, Bottle No. 181 OF 218
 
補足:同蒸溜所で生産されていたモルトウィスキーは「グレン・フラグラー」及び「キリーロッホ」として知られている。
 
Signatory Vintage Scotch Whisky Co.,Ltd.、イギリス
 
 
 
ガーンヒース27年(59.4度、700ml) Garnheath
 
ガーンヒース27年は、シグナトリー社「サイレント・スティル」シリーズの中でもユニークな存在。同シリーズは、現在操業停止中の蒸溜所か、あるいは完全に閉鎖されてしまった蒸溜所のモルトのみを瓶詰めにしたもの。全て樽出しで、その樽材から作られたコースターとミニチュア瓶がついてくる。
 
Distilled 3.5.72、Bottled 1.2.00、Cask No.386516、Bottle No.89/190
 
Signatory Vintage Scotch Whisky Co.,Ltd.、イギリス
 
 
 
ガーヴァン1989年(60.4度、700ml) Girvan
 
1963年創業のガーヴァン蒸溜所は、スコットランド南西部エア州にあるW.グラント社所有のグレーンウィスキー蒸溜所。シングル・グレーンのオフィシャルボトルはブラック・バレルのブランド名で販売されている。
 
なお、同蒸溜所敷地内に1966年創業のモルト蒸留棟であるレディーバーン蒸溜所がある。だが、1976年に操業停止して以降、モルト・ウィスキーの生産は行われていない。ポットスチルは計4基。仕込用水はペンワップル貯水池の水を利用していた。
 
同社はまた、3つのモルトウィスキー蒸溜所、グレンフィディック、バルヴェニー、キニンヴィ蒸溜所を所有している。
 
ガーヴァン1989年は、ジェームス・マッカーサー社のメインブランド「オールド・マスターズ」シリーズの1品。1989年蒸溜、2004年瓶詰の15年物で、シングルカスク(Cask No.110636)。甘やかな香り、クリーミーでスムース、豊かな味わいはグレーン・ウィスキーとは思えないキャラクターを呈する。飲み手を選ばない万人向けの酒質か。
 
追記:蒸溜所の側に、セントアンドリュース・オールドコースと並ぶ有名なゴルフコース、ターンベリー(1994年全英オープン開催地)がある。
 
□ジェームス・マッカーサー
 
ロンドンから列車でおよそ30分、ハイウィッカムの閑静な住宅地に本拠を構えるジェームス・マッカーサー社は、スコットランドのあまり知られていない蒸留所の樽出し(ボトリングの際に水を加えずにボトル詰めしたもの)のウイスキーをもっと多くの消費者に知ってもらうことを大きな目的として、1982年に創業した。
 
同社のメイン・ブランドであるオールド・マスターズは、緑色のボトルを使用したカスクストレングスのシリーズ。他に、アルコール度数を43%に加水調整をしたファイン・モルト・セレクションのシリーズがある。双方のボトリングにおいても個々のウイスキーの持つ個性をそのまま活かすため、冷却ろ過や着色を一切行わずにボトリングしている。
 
James MacArther & Co.Ltd、イギリス
 
 
 
ヘドニズム(43度、700ml) Hedonism
 
2000年、ジョン・グレイザーによってエジンバラに創設された新進企業の第1段だ。同社は、ウィスキーマガジン誌「第1回ウィスキーアカデミー賞」で「リーダーズ賞、最優秀新製品賞」を受賞。創業者のジョン・グレイサーは最近、同誌のウィスキーアカデミー賞で「年間最優秀技術革新者賞」をも受賞した気鋭の造り手である。
 
2000年、ヴァッテッドグレーン「ヘドニズム」の発売で業界の注目を浴びる。爾来、ブレンデッド「アサイラ」、また、ヴァテッドモルト「エリューセラ」でシングルモルト愛好家に於いてすら、ヴァッテッドモルト(ピュアモルト)の有り様を再認識させた。意欲的かつ革新的。斬新だが伝統を否定しない。伝承ではなく、新たな伝統を生み出す可能性を秘める唯一の造り手。スパイスシーズニングなスピリッツである「オレンジェリー」を世に問う革命児だ。フロンティアスピリッツに富んだジョン・グレイサーの試みからは、今後も目が離せない。コンパス・ボックス社は今後、一体何をやってくれるのだろう、、、既に、もう4回も驚かしてくれたのだ。
 
そして、ザ・ダブル・シングル(クレイゲレヒ・ホテル仕向けのブレンデッド)とジュブナイル(青少/少女、少年向き:ヴァテッド・モルト)、ヘビーピートなるザ・ピート・モンスターの発売へと至る、、、。この先がまた、愉しみでならない。
 
ヘドニズムは、カンバス蒸溜所産とカレドニアン蒸溜所産シングルグレーンの樽を独自にヴァッティングしたヴァテッド・グレーン。2000年10月瓶詰。着色料を一切使用せず、チル・フィルタリング処理も行っていないナチュラルな風合い。原酒は何れもバーボン樽熟成の為、黄褐色がかった淡い色調を呈する。オイリーでバニラの風味があり、ウッディでナッツの香味も。フィニッシュは長くオイリー。佳酒。
 
酒名のヘドニズムとは”快楽主義差”の意。創業者自身、熱狂的ウィスキー愛好家らしく、”究極の、旨くて革新的な”スコッチ・ウィスキーを世に問いたいと言う。
 
今後毎年、独特な名と風味を持つ、並はずれた、単一樽からのウィスキーをリリースしていくとも。
 
Bottle No. 575 / 690
 
□ヘドニズム(1stロット)
 
香り:土のよう。驚くことにスモーキーさのある香り。
 
味 :非常にしっかりしている。鋼のよう。味わいの中に微かに炭を感じる。
 
後味:非常に暖かい。
 
総括:驚くほど味わい深く、グレーンウィスキーのブレンドとして面白い。
 
□ヘドニズム(2ndロット)
 
香り:フレッシュでフルーティ(炒った胡椒?)。
 
味 :クリーミー。ポレンタのよう。甘く、食欲をそそる。
 
後味:微かにレモン。
 
総括:自分の仕事を分かっている人がいる。グレーンウィスキーがこんなに美味しいと誰が思っただろうか。
 
Type: Vatted Grain. 100% grain whisky made by blending single grain whiskies from different distilleries.
 
Tasting Notes: Elegant flavours of vanilla cream, toffee, coconut.
 
Lead Distilleries: Cambus, Caledonian, Cameron Bridge.
 
Casks: 100% first-fill bourbon barrels and first-fill American oak hogsheads.
 
Bottling Details: 43%, not chill filtered, natural colour. 
 
My Tasting Notes: A rich, sweet, sexy style of whisky which you'll find is aptly named!"
 
Compass Box、イギリス
 
 
 
インバーゴードン10年(43度、750ml) Invergordon
 
1960年創設。唯一、ハイランドで稼働中しているグレーンウィスキー蒸溜所。現在、キンダール社の傘下となっている。1965~1977年の間、同蒸溜所の敷地内にモルトウィスキーを生産するベン・ウィヴィス蒸溜所が稼働していた。
 
インヴァネスへ向かう道を辿って最初にぶつかるのがこの蒸溜所だ。
 
インバーゴードン・ディスティラーズ社はホワイト&マッカイ社の傘下となる以前、他にタムナヴーリン(1966年)蒸溜所を創設。続いて、ブリックラディック蒸溜所、タリバーディン、ディーンストン蒸溜所を創業した。1978年には、ホーカー・シドレイ・グループ傘下となり、同時にグレンアラヒ、アイル・オブ・ジュラ蒸溜所のオーナーとなった。その後、1991年に現在の通りホワイト&マッカイ社傘下となり幾つかの蒸溜所を手放した。2001年以降、キンダール社の傘下蒸溜所となった。
 
インバーゴードン10年は、1990年代に登場したスムース、ライト、フレッシュで仄かにバニラの香味を伴うシングル・グレーン。周辺の農場から収穫された穀物を原料素材としている。仕込用水はロッホ・グラスの花崗岩層に濾過された水を利用。
 
追記:キンダール社は現在、傘下の企業の名を採りホワイト&マッカイ社を名乗る。
 
Invergordon Distillers Ltd.、イギリス
 
 
 
ロッホサイド27年(60.5度、750ml) Lochside
 
1957年、ジョセフ・ホッブズは、モントローズの郊外にロッホサイド蒸溜所を創業。同蒸溜所はモルトウィスキーの他、グレーンウィスキーも生産し、瓶詰プラントも合わせ持つものとして操業を開始した。18世紀にはビール醸造工場が操業していたが、それはこの地が良い仕込用水が豊富に得られる立地条件にあるからだと言える。
 
ロッホサイド27年は、英国エジンバラに本拠を置くインデペンデント・ボトラー、ジェイムズ・マッカーサー社のシリーズ中でも貴重なボトルである。カスクストレングス。
 
ロッホサイド27年は、ライトボディでスムース、マイルドでソフト。食前酒に最適。
 
James MacArther & Co.Ltd、イギリス
 
 
 
ノース・ブリティッシュ16年(46度、700ml) North British
 
ノース・ブリティッシュ蒸溜所は、1885年、アンドリュー・アッシャー社、ウィリアム・サンダーソン社等が共同設立。IDV傘下のロージアン・ディスティラーズ社、ロバートソン&バクスター社の所有となる。現在、ディアジオ社とエドリントン両者のジョイント・ベンチャーとしてエジンバラ市で操業中。多数のウィスキー業者が、同蒸溜所から原酒の供給を受けている。
 
ノース・ブリティッシュ16年は、ロッシ&ロッシ社「ウィルソン&モーガン」シリーズのバレル・セレクション中の一品。1979年蒸溜、シェリー古樽熟成、1996年瓶詰。
 
■ロッシ&ロッシ社「ウィルソン&モーガン」
 
ウィルソン&モーガンは、イタリア・トレヴィーソ(ヴェネツィア北の衛星都市でベネトン本社がある)に本社を置くロッシ&ロッシという、元々グルメショップを経営していた会社がスコットランドから輸入しているスコッチモルトの商標である。
 
ロッシ&ロッシは過去、ゴードン&マクファイルやW・ケイデンヘッド等のモルトを輸入していたが、品質の低下を憂慮するにあたり自らスコットランドのモルトのオープンマーケットで出来の良い樽を見つけてきては、エジンバラにあるシグナトリー社に瓶詰させ商品化。イタリア国内に輸入、独自ルートで北イタリアを中心に有名なグルメショップやミシュランの星付きレストラン等の顧客に直接卸している。
 
補足:近年「ラムネイション」銘柄でプレミアムなラムをリリース。モルト同様に銘酒揃いで、愛好家から好評を得ている。
 
Rossi & Rossi、イタリア
 
 
 
ノース・オブ・スコットランド1963年(46.8度、700ml) North of Scotland
 
ノース・オブ・スコットランドは、1957年にジョージ・クリスティが買収したビール醸造所「ロバート・ノックスズ・フォース・ブルワリーズ」を改修し開設されたグレーンウィスキー蒸留所。別名、ストラスモア蒸溜所。近隣には当時、カンバス・グレーン蒸溜所が操業していた。1958年、連続式蒸留器によるモルトウィスキー製造を試みたが、2年後には経済的条件から断念。グレーンウィスキー製造に切り替えられ、1時間当たり7000ガロンのウォッシュ、週当たり6万ガロンのスピリッツ(アルコール度数95%)の生産能力を持つに至った。しかし、1970年代後半には生産超過に陥り、経営不振から1980年代にはDCL社に売却された。1993年閉鎖。
 
但し、熟成庫は現在も使用されている。創業者のジョージ・クリスティは、その後独力でスペイサイド蒸溜所を創設、ウィスキー造りへの情熱を維持し続けている。
 
ノース・オブ・スコットランド1963年は、独立系瓶詰業者「スコッツ・セレクション」の一品。1963年蒸留、1998年瓶詰の35年物でカスクストレングス(樽出し強度)。
 
ロバート・スコットの、50年以上にも及ぶスコッチ・ウィスキー業界での経験が選ばせた原酒のみをボトリング。
 
補足:ノース・オブ・スコットランドの名は、1890年代にアバディーンで操業したボン・アコード蒸溜所の別名でもあった。
 
Scott's Selection、イギリス
 
 
 
ポート・ダンダース10年(60.2度、700ml) Port Dundas
 
英国グラスゴーに操業中のグレーンウィスキー蒸溜所で、現在UDV社が所有する。従い、UDV社のジョニー・ウォーカー、ブキャナンズ、ホワイト・ホースなどの銘柄向けに供されている。
 
創業は1827年、当初はモルトウィスキーの蒸溜所として操業開始したが、後に現在のグレーンウィスキー生産に切り替えられた。グレーンウィスキーの生産ではその走りとして確乎たる地位を占め、現在に至る。また、同蒸溜所はCo2プラントを持つ数少ない蒸留である(大手のビール醸造所には珍しくない)。
 
この蒸溜所の立地する小高い丘は、フォース・クライド運河の側にあり、叙事詩人アルフレッド・バーナーの旅~スコットランド及びアイルランド~の起点として、その名を知られている。
 
ポート・ダンダース10年は、ケイデンヘッド社オーセンティック・コレクションの珍品。限定318本のボトリングでカスクストレングス。1999年末に登場した「Scottish Grain」ラベルの一品。他に、インバーゴードン、ノース・ブリティッシュと同時にリリースされた。
 
Wm.Cadenhead、イギリス
 
 
 
ストラスクライド31年(62.8度、700ml) Strathclyde
 
ストラスクライド31年は、ダンカン・テイラー社「PURE AULD」シリーズの1品で、1973年11月の蒸留、2005年01月瓶詰めの31年物。
 
cask no. 74061, Bottle no. 18/157, 
date distilled 11.1973, date bottled 01.2005
 
ストラスクライド・グレーン蒸溜所は、1927年、ロンドン在のジン製造メーカーである、シーガー・エヴァンス(Seager Evans)社が設立。その後、ロング・ジョン・インターナショナル(Long John International)社,シェンレー(Schenley)社、ウィットブレッド(Whitbread)社を経て、アライド・ディスティラーズ(Allied Distillers)社と、持ち主(社名)が何度も変わる。1994年、アライド・ドメック傘下となり、蒸溜所の運営はアライド・ディスティラリーズ社が担うこととなった。さらに、2005年7月26日、ペルノー・リカール社によるアライド・ドメック社の買収に伴い、ペルノー・リカールの傘下となる。
 
蒸溜所は巨大な倉庫群、クーパレッジ(樽の製造修復などを行う工場)、ブレンド設備を併せ持つ巨大な工場群であり、かつては、敷地内にモルトウィスキーの蒸溜所「キンクレイス(1958-1976/77)」を併設していた(当時は、ごく自然なことであった。作られたモルトウィスキーはすべてブレンド用で、一度もオフィシャルのシングルモルトは発売されたことがない)。
 
蒸溜所はグラスゴーの中心部にあり、特に「キンクレイス」は、かつて数多く存在した、グラスゴーのモルトウィスキー蒸溜所の最後の一つだった。ロング・ジョン社は1975年、ウィットブレッド社に買収され、1976年にストラスクライド蒸溜所のグレイン・ウィスキー工場が拡張される際モルト部門は閉鎖。1982年に完全に取り壊されてしまった(従って、1975年以来、一度もキンクレイスのモルトウィスキーは生産されたことが無い。発酵漕はスチール製が6基。ポットスチルは初溜・再溜合わせて2基。仕込用水はグラスゴー市の上水道をそのまま利用していたが、上水道の水源はローモンド湖の東にあるカトリン湖であった。スコットランド版ロビン・フッド、ロブ・ロイ(赤毛のロバート)が活躍した地方にある美しい湖で、元々ウィスキー作りには適した良質な軟水であった)。
 
連続式蒸留器は合計7基。2基はグレーン・スピリッツの製造に、5基はニュートラル・スピリッツの生産に充てられた。
 
補足:ダンカン・テイラーは、ストラスクライドのカスク物を2種、同時リリース。
 
Strathclyde 1980 
Duncan Taylor – Peerless Bottling
Grain Whisky.24 Years Old
Bottled 2005 62.6% 70cl
 
£61.28 £72.00 Inc.    
 
Strathclyde 1973 
Duncan Taylor – Peerless Bottling
Grain Whisky.31 Years Old
Bottled 2005 62.8% 70cl
 
£68.94 £81.00 Inc.  
 
More Information
 
The above shows the standard presentation of the Peerless Bottling. The correct distillery, vintage & age is probably not shown as the picture is for illustration purpose. The whiskies are usually bottled at Cask % volume.
 

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