備忘録その1『フランス産のシングルモルト』
French Single Malt Whisky
アーモリック(40度,700ml) Armorik
フランス、ブルターニュ地方/北西部の商業都市ラニオン、その郊外の県道沿いに操業する、ヴァレンゲーム蒸溜所産のシングルモルト。
フランス初のウィスキー蒸溜所は、1900年に北フランスからこの地へとやってきたブルトン人、ヴァレンゲームによって創設されたもの。当初はリキュールの製造を行っていたが、十数年前からのリキュール需要の減少に伴い、またブルターニュがケルト系のブルトン人が暮らす地であることから、ケルト人にとって<生命の水>であるウィスキーの製造を開始した。1988年、同社初のブレンデッドウィスキーである「W・Bブルトンウィスキー」を発売。近年、シングルモルト「アーモリック」がリリースされた。
蒸溜所は2棟からなっており、南側の棟では、糖化・発酵・蒸留行程を行っている。
ポットスチル(単式蒸留器)は2基。ブレンデッド用途に連続式蒸留器も稼働中だ。モルト(麦芽)はシャンパーニュ地方の業者から購入しているが、少しピート香が含まれているという。グレーンウィスキーの材料は、パリ近郊の業者から購入している。建物の奧が貯蔵庫となっており、ここから5km離れた場所にある貯蔵庫も併せて使用している。ここで3~4年間、原酒を熟成させた後、蒸溜所内で瓶詰している。
倉庫のような真っ白い建物が印象的なこの蒸溜所は、家庭的な雰囲気とか。6月の中旬から8月の下旬まで見学可能。なお、北側の棟では、ピーチ、カシス、フランボワーズ、ミュールなどのフルーツリキュールを製造している。
Distillerie Warenghem、フランス
エドゥ・シルバー(40度,700ml) Eddu Silver
1986年、現当主のギイ・ル・レが起こしたメンヒル蒸溜所の造る、ブルターニュ産シングルモルト。蒸溜所はフィニステール郡の中心部プロムラン村にあり、1921年ブルターニュ在住のル・レ家が創設したシードル醸造所を母胎とする。また、自家農園として30haのリンゴ畑を持ち、シードルの他、ポモー・ド・ブルターニュ・ラムビッグ(オード・ヴィー・ド・シードル・ド・ブルターニュ)を造る。加えて、2002年にシングルモルト「エドゥ」を、2003年に同名のブレンデッド・ウィスキーをリリースした。
シングルモルトは、アルコール度6~8%のウォッシュを、銅製のアランビックで2回蒸留して造られる。初留液のアルコール濃度は25~28%、再留液は70%という。オーク樽で熟成中のエンジェル・シェアは、約3%とか。
エドゥ・シルバーは、原料素材に蕎麦を使用した、ユニークなモルトウィスキーだ。これにより、醪に鉱物性の塩分、スターチ、プロテインとアミノ酸、食物繊維を得るのだという。
色 :琥珀の輝きを持つ、黄身がかったゴールド。
香り:デリケートな木香、野生のバニラ、シガー。フローラル(ローズ)、ヘザー。次第に、クリーム・ブリュレ、ハチミツ
味 :ヘーゼルナッツ、シトラス、オレンジ・マーマレード。
後味:クローブ、シナモン、ナツメグ。長い。
Distillerie Menhirs、フランス
ギロン1999年(42度,700ml) Guillon
ティエリー・ギロンが1997年にフランス、シャンパーニュ地方ルーヴォワ創業した、ギロン社の造るシングルモルト。1999年8月の蒸留、2002年10月の瓶詰の3年物であり、ボルドーワインを仕込んだ樽で熟成された物である。ノン・チルフィルター、ノン・カラーリングでのボトリング。
シングルモルトの生産は1999年にスタートした。以来、年産1万本の規模で生産を続けしている(時期計画では、3万本に増産予定)。
ギロン1999年は、タンニン分が強く、ラプサン・スーションを彷彿とさせる強烈な個性を有するユニークな風味の佳酒。
□Guillon Whisky, Single Malt champenois
Le malt provient de notre region, nous le distillons dans la montagne de
Reims. Notre single malt est vieilli en fut de chene. Notre source naturelle nous permet de lui donner son gout incomparable.
Distillerie Guillon、フランス
ラック・ホール(42度、500ml) Lac' Hole
フランス北東部のアルザス地方は、アルザスワインや豊富な果物で造られるオー・ド・ヴィー、リキュールの産地として知られているが、この地で1972年に創業した、今ではオー・ド・ヴィーのトップメーカーであるギルバート・ホール社から、その伝統的蒸留技術を活した、初のアルザス産シングルモルト・ウイスキーがリリースされた。
フランス北東部、ライン川を隔ててドイツと国境を接するアルザス地方は、豊富な地下資源を巡り古くから両国が領有権を争った戦場として知られている。この地方はワイン産地としては北限の位置にあり、リッチなアルザス・ワインが有名。一方豊富な果物で造られるオー・ド・ヴィーやリキュールの産地としても知られており、この地で創業したギルバート・ホール社は、著名な造り手として知られている。同社の拠点はワイン取引の古い街コルマー市から15キロの場所にあり、受け継がれて来た伝統的蒸留技術を活かし,アルザス産シングル・モルトウイスキーを初めて誕生させた。
【原料】 アルザス地方の契約農家から調達した大麦3種類を独自に混合する。
【発酵】 150リットルの小型木製マッシュ・タンクを使い、アルザス地方の地下泉から湧き出る硬水で仕込む。
【発酵】 150リットルの小型木製マッシュ・タンクを使い、アルザス地方の地下泉から湧き出る硬水で仕込む。
【蒸留】 G・ホール社は、この地でオー・ド・ヴィーのトップ・メーカーとして知られており,この伝統的な蒸留技術を活かし、150リットルの小型単式蒸留器で,スコッチと殆ど同じ要領で2回蒸留する。
【熟成】 350リットルのアルザス・ワイン熟成の古樽を使い,5年間アルザスの風雪に耐えた後 ボトリングする。
現在、食の本場フレンチ・ガストロムから熱い視線を受けている注目の頑固モルトなのだという。
同社は60種に及ぶオー・ド・ヴィーやリキュールを生産する匠であり、1998年にビール醸造も開始した、意欲的な造り手である。
Gilbert Holl、フランス
グラン・アー・モー Glann Ar Mor
グラン・アー・モー蒸留所は2010年3月までに2000本ほどリリースしたばかりの、小さく新しい蒸留所だが、ウイスキーマガジン誌のアイコン・オブ・ウイスキー2010では、アメリカ&スコットランド以外の蒸留所の中で、第2位に選ばれた。
パリで働くウイスキー好きの会社員ジャン・ドネイが、ウイスキーへの情熱から仕事を辞め、ブルターニュ地方へ移り住み、建てたのがグラン・アー・モー蒸留所。「グラン・アー・モー」とはブルターニュ語で、蒸留所のある「海辺(にて)」を意味する。
ノン・ピーテッドのグラン・アー・モーはフランス国内から調達した大麦麦芽を使い、ピーテッドのコルノグはアイラから輸入した麦芽を使って仕込んだ物。水は、地元の豊富な地下水を使用。1500Lほどの小さなオニオンシェイプの銅製蒸留器を使い、40~50時間をかけてゆっくりと蒸留する。
熟成は「一日の内に四季がある」と言われるブルターニュの海辺で海風を受けながら行われる。
ブルターニュ、1668年に起源を持つ農場に、フランスのボトラー『ケルティックウィスキー社』が自前の蒸溜所を創設する。ピーテッド麦芽(35/40ppm)とアンピーテッド麦芽を併用、2タイプのモルトウィスキーを造る。熟成に使用する樽はファーストフィルのソーテルヌ樽(ヴァリック、225l)、ファーストフィルのバーボン樽(バレル、200l)。
斯様な具合か。
グラン・アー・モー (46%、700ml) Glann Ar Mor
ノン・ピーテッドのグラン・アー・モーは、フランス国内から調達した大麦麦芽を使った、予想を裏切る、ハイレベルなモルトウイスキー!
色:白ワイン
香り:初めはバニラ、素晴らしい樹脂のニス、フレッシュオレンジジュース、フレッシュアーモンドとグレープフルーツのヒント。期待されるよりやや少ない西洋梨とパイナップル。海のスプレー。
味:パワフル。フルボディでオイリー。飲むと小さなポットスティルから造れたものであることがわかる。オークと樹脂、それからバナナ、咳止めシロップとユーカリの木、最後のリンゴ、シードル、少しのバブルガムと草のカプセル。本当に個性的。
フィニッシュ:長い。草とワックス
コルノグ (46度、700ml)Kornog
ピーテッド・ウイスキーのコルノグは、アイラ島から購入した大麦麦芽を仕込んだ物。カリラ並みのピーティーさ。今後が楽しみなモルトである。
色:薄い色の藁
香り:贅沢に始まり、たくさんの酢酸イソアミル、熟した西洋梨、バナナとパイナップル。海からのスモーキーなアロマ、ピートの香り。
味:力強くスムース。初めは可愛らしく、フルーティー。少しのバナナと沢山のアプリコット。ピートはクリアで大きいが、圧倒的ではない。背景にバブルガムとイチゴ。ゴムの様なビター。
フィニッシュ:長い。沢山のスパイス。少しの黄色いカレー。カシューナッツのペースト、胡麻油。
ゴルノグ ・カスクストレングス(59.2度、700ml)
Kornog (Cask Strength)
麦の味わいと香りが漂う、職人の手造りウイスキーだ。
フランス・ブルターニュ地方グラン・ナ・モー蒸留所で造られる、ピーテッド・シングルモルトが、コルノグ。
アイラ島産の麦芽を使用し、鉄分を豊富に含んだ地元の地下水と、特別注文のシャラント・オーク製ウォッシュバックで発酵、1500リットルの小さなオニオン・シェイプの銅製蒸留機で2回蒸留、40-50時間かけてゆっくりと蒸留する。ワームタブは屋外にあり、海風によりスピリッツが凝縮される。熟成はガルフ・ストリームを受ける海辺で行われ、ウイスキーはマイルドになる。
バーボンバレルで3年熟成後、ノンチルフィルタード、ノンカラーリング、カスクストレングスにて247本のみボトリング。
前回のロットは、ウイスキーバイブルにおいて94.5点を獲得!
シングルモルトウイスキーが大麦の蒸留酒であることを気づかせてくれる、麦の味わいと麦の薫り漂う、職人の手づくりウイスキー。
色:淡い麦藁色。
香:ココナッツ、バニラ、熟したバナナ、ナツメグ。
味:テクスチャーはオイリー、若干のニス、フルーティな甘さ。
フィニッシュ:かなり長い、バニラ、緑茶、生のリコリス、ミント、ビターテイスト。
コメント:完璧、3倍の熟成年数のアイラモルトと同等だろう。恐らく、他のスコッチのピーテッド・ウイスキーより良い筈だ。幾つかのラガヴーリンよりビッグ。
Glann Ar Mor、フランス