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ベンリアックと不思議なつながり

 少し前の話、いつものように開店作業を終えて一息ついていた時に早々とお客様がいらした。いつもながら店内は照明を落としてあり、僕は視力が良くないくせに裸眼なのでお客様が上がっていらっしゃるまでお顔がわからない。「誰かなぁ」と思っていてよく見ると実の兄貴と親父。「おぉ久しぶり。わからへんかったわ。」コートをハンガーに掛けて席に着いてもらった。

 う~ん・・兄貴と親父が店に居る。何かとても変な感じ。兄貴達だけならまだしも、隣の席に神戸の長田からBAR TROYのオーナー様がいらしたのもあいまってより一層ギクシャクしてしまった・・。兄貴も親父もバーと言う場所に行った事があまりないので何かぎこちない。その席に母親はもちろん居なかった。聞く所によるとやはり依然僕の仕事に反対している様子で憶測だがその誤解は解けていないようである。まぁそれは今考えても仕方ない。目の前にある事を一つ一つこなして行くだけで精一杯。心配してくれているであろう母親にはいつになるかわからないが安心させてあげられる日が来ればいいかなぁと思っている。

 兄貴と親父はお土産を持ってきてくれていた。親父はさすがご年配?(笑)でオールドパーをプレゼントしてくれた。しかも定価で高い某百貨店の包装が施してあった(笑)そして兄貴がプレゼントしてくれたのは何気なしにいいデザインだったから選んだと言う「ベンリアック12年」。「おぉ~!ありがたい。」これはウイスキーマガジンライブに行った時、マスタークラスを受けてその作り手のこだわりと美味しさに感銘を受けて仕入れようと考えて手配していた所だった。ウスケバの兄貴がくれたロングモーンといい、このベンリアックといいなんてばっちりなタイミングなんだろう!最近なんか怖い位についている。いつか突然災難が訪れるのではないかとも思ってしまう。

 そのベンリアック12年は大阪の某大手スーパーで買ってくれたそうだが裏のラベルをを見ると輸入元が「ウイスクイー」になっている。う~んウイスクイーさん大阪の量販店まで幅広いお取引で頑張っていらっしゃるのですねぇと思った。そして不思議な事に絶対に近々仕入れようと思っていた2種類のモルト、兄貴にもらったベンリアックはウスケバの兄貴にもらったロングモーンの弟分でスペイサイド、エルギン地区で隣接した場所にある。う~ん本当にすごい偶然だ、最近不思議な事や偶然な事がよく起こる。良い霊がついているのかなぁ(笑)

 ベンリアック蒸留所は創業から幾度と無く生産休止となったり、モルト原酒はシーバスリーガルなどのシーグラム系列のブレンデッドに使われていた為に以前は入手が困難であった。その為に知名度はいまひとつ伸び悩んでいる事は否めない。しかし2004年から独立資本の蒸留所となったためにその躍進は素晴らしいものがある。それでマガジンライブでマスタークラスを受けたのだがスペイサイドでは珍しい、ノンピートタイプとピーテッドタイプの2種類のモルトを生産している。隣の席でお話させて頂いたハイランダーイン皆川達也さんもこのベンリアックの良さを絶賛されていた。ノンピート、ピーテッド両方共に素晴らしいのだが僕はノンピートタイプを仕入れるつもりで居た時にもらったのがばっちりノンピートの12年。

 味わいはスペイサイドの良さを兼ね備えたクラシックなエルギン地区の佳酒。華やかで芳醇な甘いトップノートから徐々に落ち着きを取り戻した甘味へと変化し、テイストは甘い飲み口から穏やかに余韻を残すフィニッシュ。う~ん、スペイサイドファンにはたまらない逸品である事は間違いない。女性にはこの柔らかな甘みを好む方が多いのではないかとも思う。またスペイサイドをあまり飲まれない方もこの芳醇なアロマとテイストのベンリアック12年(900円)を一度でいいから味わって頂きたい。

#新入荷ボトル

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