お世話になっております。
信濃屋新宿店の仲塚でございます。
前回の投稿から大分時間が空いての投稿
になりますが、どうぞよろしくお願いします。
さて今回は、前回までの様に趣味全開(?)の
コラムではなく、ここ最近リリースされた、
あの養命酒製造によるクラフトジン、
「香の森」の紹介をさせて頂きます。
養命酒製造 クラフトジン 香の森
養命酒そのものにも使われる
日本固有の高級香木である「クロモジ」の
木を、葉から枝までふんだんに用いた、
まさに養命酒製造による養命酒ジンです。
海外の蒸留所での実地研修を経て、
黒文字(生薬では烏樟うしょうと呼ばれる)
の部位ごとにそれぞれ違う蒸留・抽出方法を取る必要があると気づく。
葉はベーススピリッツに漬け込み
細枝はヴェイパーインフュージョンで、
太枝は、蒸留の際にスチルの中で煮出しています
近年、国内外のメーカーから多くのクラフトジンが出てきましたが、
国内薬草酒で有名な、養命酒製造も参戦。
ジン自体は元々修道院などを筆頭に欧州で
薬酒として作られたものですが、
まさか(勿論いい意味で、ですが)身近に知る養命酒製造から
このようなリリースがあると
予想していた人は、そういないのではないでしょうか?
では前置きはこのくらいにして、
早速テイスティングに移ります!
★テイスティング★
生木、切りたての木の断面、
青みがかった若木の枝葉、ハーブ、
木工室や作業場の様な木屑のニュアンスに、
ややスパイスの香りが添えられている。
口に含むと、味わいは透明感がありクリアで、
前述した香りがそのままストレートに伝わり、
クロモジの木を、葉から枝、断面に至るまで、
香りの要素を淡い黄緑から濃い緑、木質感のある茶色まで
グラデーションを伴い立体的に感じられる。
説明としては、森を感じられる、
と言ったような印象でしたが、
実際飲んでみた感想としては、
「森の中の一本の木を呑む様な」
ジンだと感じました。
ジンの場合は、特にウィスキーやブランデー
といったブラウンスピリッツとは異なり、
木樽による熟成を必要としないという点で
原料・ボタニカルのニュアンスがそのままに
香味に反映される事が多いです。
そういう意味で、
ボタニカルのニュアンスが素直に反映され表現されている
仕上がりだと思いますね。
また、個人的な意見になりますが、
特にジンの場合においては、以下の4つの観点を
少し意識して飲むようにすると、特徴を捉えやすい、
またジン同士の区別をつけやすいのではないか、と考えています。
①ベースとなる、もしくは、添加される
穀類や果実といった原料の特徴がでているかどうか
(特に果実の場合は特徴がわかりやすく出てくる。穀物の場合は余韻・質感に違いが出る。)
②蒸留による、アルコールの質感が均一かどうか。
(ミドルカットしており、アルコールのざらつきが少なく、クリアに感じられる)
③ボタニカルの要素がよく反映されているか
(香りの要素が感じ取りやすい、または1,2種類の核となる
ボタニカルの要素が突出している)
④全体のバランスが取れているかどうか
(ボタニカルが多く使われている場合、調和が取れていて、香味が複雑に感じられるか。
またはボタニカルの種類を少なくし、クリアに感じられる場合もある)
因みにこれらの事を踏まえて飲むと、
香の森は特に②と③の要素が強いジンですね。
森、もっと正確に言うと、クロモジそのもののニュアンスでしょうか、
ハーブ、スパイスといったほかの構成要素に対して、
森に生えている生きた木のような、青々とした木質系の香りが突き抜けています。
また、水が影響しているのか、アルコールの質感が比較的均一に感じられるので、
お酒としての味わい自体はクリアにも感じられます。
そして余韻にかけては、生薬のプロであることを感じさせるような
乾いた心地よい苦みが続いて、爽快感と合わさり、ドライな印象を造りあげています。
飲み方としては、特にストレートやロックに向いたジンとも言えますし、
木質系のアロマを生かした工夫を凝らし、カクテルにするのも良いかもしれません。
実際に、オフィシャルのHPで紹介されていたカクテルが2種類ありましたが、
(森のジンリッキー、森のミルクセーキ)
2種類どちらもシナモンを使ったレシピになっていました。
シナモンは、木の皮系のスパイスですので、相性が良いという事なのでしょうか。
少し気になったので、実際に
森のジンリッキーを作ってみました。
・森のジンリッキーレシピ
香の森 30ml
ソーダ 90ml
ライム 1/6カット
シナモンスティック
*一応レシピは上記のものになりますが、
ライム等やや分量変えて作ってます。
感想としては、炭酸が加わったことで、
より爽やかで、かつクロモジの香味が感じられますね。
最初にクロモジの木の香りが炭酸、ライムと共に
爽快に突き抜け、余韻にシナモンの香りが来る、
といった構成でしょうか。
呑み進めるにつれて、シナモンスティックがより浸かり、
それによるものか、口当たりのところからシナモンを強く感じ始めます。
やや蒸した夏の日なんか良さそうですね。特に森で呑めたら、と思う一杯です。
もっと、爽やかさが欲しかったらシナモンスティックの代わりに
スペアミント、またはイエルバブエナの葉を
乗せてみてもいいかもしれませんね。
蒸し暑い、日本の夏にはピッタリの一杯では、と思います。
段々、というか急に暖かくなりつつある今日この頃、
こういうのを呑むのも良いですね!
それでは今回はこの辺りで。
以上、仲塚がお送りしました!