強烈なトロピカル感のある興味深いモーレンジでした。
グレンモーレンジ GLENMORANGIE 10yo 43%
70年代流通
香りは強めのオールド感、パッションフルーツなどの華やかなトロピカル感、萎びたオレンジ、熟したメロン、いれた翌日の紅茶、こなれた麦、奥にオールドピート、飲むとやわらかな口当たりから意外に広がる、オレンジリキュールや香り同様のパッションフルーツ系のトロピカルフルーツ、紅茶、麦の旨味とピートあり、オーク、甘味はほどほど,淡いエグ味あり、厚みもあり長めの余韻。
【Very Good, Interesting】
70年代に流通していたと思われる,スクリューキャップのグレンモーレンジ10年,当時のオフィシャルスタンダードです。
香りは強めのオールド感もありましたがパッションフルーツ系のトロピカル感がしっかりと強く感じられ,熟したメロンや萎びたオレンジのニュアンス,そして紅茶っぽさやオールドピートもありました。
フルーツ感や麦感,そしてピートと,古いニュアンスが伴っていましたが,トロピカル系のフルーツ感だけが妙にフレッシュなニュアンスに感じられました。
飲んでみるとオールドらしいやわらかな口当たりですが意外にもそこから広がるボディがあり,香り同様に強いトロピカル感を含むフルーツが主張してきます。やや香りよりもコクと重さのあるオレンジが強めだったでしょうか。また紅茶や麦感,そしてピートのニュアンスも香り同様に好印象でした。
今回のように,本来トロピカル要素が特徴的と言われていない蒸留所から突如トロピカルが出てくることがあり,たいていの場合は瓶内変化や開栓後変化に伴ってボディが抜けていくのに伴って出てくることが多いと認識しています。
ボディが無くなって水っぽさとともに感じられるものがあり,そこまでいくとうっすらとしたパフュームなんかも一緒に出てくることもあるように思います。
今回のような70年代の短熟加水のスタンダードには比較的出てきやすい認識ではあり,昔はこういうトロピカル感がでているとテンションが上がったものですが,最近はボディが失われていることの方が気になってしまうのかあまり喜ばしい要素としては捉えなくなっていました。
しかし今回のモーレンジ,飲んでみると思ったよりボディが保たれていて厚みを感じたのです。
ボディと引き換えに得られる香味だと思っており,ボディをある程度残しても出てくるものはもともとボディのあるマッカランくらいかな(オールドのマッカランには終盤に出てくることが結構あります)という印象だったのですが,それがモーレンジででてきたことに少々驚いてしまいました。
この手のボトルは開栓直後をピークにどんどんトロピカル感もボディも枯れていく印象がありますが,今回はBARで良いタイミングで皆で飲め,マスターも交えてこういうトロピカル感に関する見解を改めて話し合うこともできましたし,この一瞬のきらめきを持ったモーレンジにはとても有意義な時間を与えてもらいました。
#グレンモーレンジ (GLENMORANGIE) #考えたこと