何度飲んでも脳天に突き抜ける旨さ。心に深く残ります。
ロングモーン LONGMORN 1972-1988 16yo INTERTRADE 58.8%
one of 507 bottles
重厚かつ強い香り、真っ赤に熟したフルーツ、濃いシェリー感、黒糖、コーヒー、レーズンなどドライフルーツ、ベリージャム、焦がした麦がしっかり、レザー、古いオーク、しっとりしたピート、飲んでも濃いめのシェリー、すごい迫力で強烈なトロピカル感と旨味が脳天に突き抜けるよう、旨みのある麦、ジャムの甘味と強めだが心地良いウッディネスと味を深める渋味、やや舌にまとわりつくようにオイリー、長く陶酔感のある余韻。
【Excellent】
インタートレードのハイランダーラベルのロングモーン1972、1988詰めの16年熟成。
これは今まで有楽町でいただいて感動したものの中でも、特に心に深く残っていたボトルでした。
初めていただいた時には電車で片道1時間以上かけて通っていましたが、これをその日最後の1杯にいただいて、あまりの美味しさに自分の中のリミッターが振り切れ、長い帰り道も家に帰ってからもずっと興奮してニヤニヤしていたのを覚えています。
もともとロングモーンは大好きで自分の好みの方向性だったのですが、その方向の自分の最高値が大幅に更新され、モルトの世界が大きく広がったように感じたのでした。
そういえば当時、whiskylinkの2010年総括という記事にもちらっと記載していました。
さて、そんな思い出深いボトルを飲むときにいつも気になるのが、「今飲んでも美味しいのか」ということ。
最初に飲んだ時のインパクトが大きくても、いろいろ経験して改めて飲むと「あれ?美味しいけどそこまでではないかもしれない」となることもしばしばあります。
島地勝彦さんの言葉を借りるなら「知る悲しみ」というやつです。
あまりにしっかりと心に残っていたので、今回このボトルが開いた時にはとても嬉しい反面、ちょっと怖くもありました。
しかし、上記のとおり、それは完全に無駄な心配でした。
今回は十分な量を詳細にテイスティングしたので、香りや味わいについて改めて言及するところもそうないのですが、前に飲んだ時には全体としての素晴らしさはわかるものの漠然としており紐解けなかった部分が、今回はある程度理解できた気がします。
以前はとにかく濃厚で複雑で説得力があるという印象で、その印象は今回も変わりませんでしたが、そう感じた理由が数年経った今、少しわかったように思うのです。
60年代以前の高貴なシェリー感とは少し異なりますが、とても重厚なシェリー感とそれに伴う多彩なフレーバーとウッディネス、ロングモーンならではの強いトロピカル感を含むナチュラルなフルーツ感、そして熟成が長くないが故の充実した麦感とその旨み、ハイプルーフならではの迫力、そして裏打ちするようなピート、未熟感も過熟感も全くない中で、これらがそれぞれしっかり主張しながらバランスをとっている。
これ以上の説得力を持って旨いと言わせるモルトもそうないと思います。
今回も初回と同様に感動し興奮しました。文句なしに旨いです。
#ロングモーン (LONGMORN) #考えたこと