良いニューリリースで、テイスティングにも思わず力が入りました。
グレンドロナック GLENDRONACH OB CASK STRENGTH BATCH No.1 54.8%
one of 9000 bottles, OLOROSO & PEDRO XIMENEZ SHERRY CASKS
・香り:
シェリー感しっかり、チョコレート、カラメル、ややオイリーなナッツが強く主張、ドライフルーツ、デーツ、オレンジ、クローブ、若さも感じる焦がした麦感は甘いシェリー香と相まってデニッシュのよう、少し草っぽさ、セメダインなど溶剤っぽさ、ほど良いウッディネス、リッチ。
・味わい:
チョコレートがけのドライオレンジ、ドライフルーツとキャラメリゼしたナッツ、少しベリージャム、紅茶、徐々に若い焦がした麦感が広がり後半はデニッシュがしっかり主張。少しエグ味を伴う植物感、濃い蜂蜜のコクのある甘味と生木の渋味が少々、結構荒々しい刺激がありスパイシー、飲んでもリッチでボディも厚め。
・余韻:
ドライフルーツとナッツ、若い麦がスパイシーさを伴い長めに残る。
・加水:
舌触りが滑らかになるだけで崩れない。
多めに加水すると不思議なことにトロピカル感が見え隠れする。
・総評:
近年のシェリーカスクの良い部分がよく出ている、複雑でリッチなモルト。
サルファリーな要素はあまり感じられず、自分としてはほぼ気にならないレベル。
若いモルティも含めて未熟感も感じられるが、良いシェリー感とコクがのある甘味があり十分に美味しい。
【Good/Very Good】
グレンドロナックから最近リリースされたオフィシャルのカスクストレングス、バッチ1。
シェリー樽のみの熟成で、年数表記はありません。
一応スモールバッチですが、9000本とアウトターンは多く、ボウモアのテンペストに近いイメージのボトリングでしょうか。
こういうもののバッチ1というのは蒸留所も力を入れてくると思われ、バッチを重ねると凡庸になるイメージもあるため、このバッチ1には期待してました。
飲んでみると期待通りの良い仕上がりで近年のシェリー樽の良い部分がしっかりと表現されています。個人的にはシェリー感の中でもチョコレートとドライオレンジのニュアンスが強く感じられました。
年数表記が無いことからも推察されるように、わりと若いモルトも入っていそうな麦の主張の強いフレーバー構成ではあり、多くの人がシェリー樽熟成のモルトに期待する甘いフルーツ感がメインでそれを下支えする程度の優しい麦感ではありませんが、強い麦感と甘いシェリー感のコラボレーションはデニッシュを連想させ、総合的に見てもCPの高い良い出来だと思います。
これだけのものをこの価格でこれだけの数を出してくれたこと、そしてバッチ2以降も継続する意思を見せてくれたことは、これからのシェリーカスクのモルトを代表する蒸留所としての自覚とプライドを感じるものでした。
そしてこのボトル、なかなかのポテンシャルを持ったカスクストレングスですし、このまま長期保存すると荒々しさも落ち着きまとまりもでて将来的にかなり楽しめそうな予感がします。
ストックしておく分も含めてこのバッチ1は買いではないでしょうか。
#グレンドロナック (GLENDRONACH)