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ラフロイグ オフィシャル カーチェス(カーディス) 200周年記念 アイラフェス2015向け

スペックも踏まえてこれからさらに華開きそうなラフロイグ。今後がひたすら楽しみです。

 LAPHROAIG OB "CAIRDEAS" 200TH ANNIVERSARY EDITION for FEIS ILE 2015

ラフロイグ LAPHROAIG OB "CAIRDEAS" 200TH ANNIVERSARY EDITION for FEIS ILE 2015 51.5%

香りは最初こもっているが時間と共にどんどん広がる、グレープフルーツとオレンジ、奥からじわりとアプリコットジャム、淡く桃や白ワイン、カスタード、バニラ、カツオだし、カモミール、力強い麦感、オーク、ヨードと炭っぽいスモークのある強いピート、淡い塩素と滋味深い麦感と土、飲むと滑らかな口当たりから力強く広がる、グレープフルーツ、奥からパッションフルーツ、淡く潮や海藻、やや染み込むような麦の旨味、舌全体にしっとり広がり煙い麦を噛んでるような独特のテクスチャー、じわじわと甘味は増してくる、柑橘の淡い酸味、淡いオークの味を深める、キツさのないヨードと炭っぽいスモーク、タール、リッチで余韻は長い。

【Very Good,Interesting】

今年のアイラフェス2015でラフロイグがリリースしたのは,蒸留所200周年=バイセンテナリーを記念したカーチェス(カーディス)でした。
さてこのカーチェス,ヴィンテージは2003年ではないかという噂で,ラフロイグのフロアモルティング麦芽100%で仕込んだ樽のみで構成されたボトリングです。

最初はかなりシャイなニュアンスでこもっており,出会いがしらにはそこまでピンと来なかったのですが,時間経過と共にどんどん広がっていきます。

香りにおいてはラフロイグの中でもそこそこ以上に熟成したリフィルカスクに多いフルーティなタイプに期待するグレープフルーツや淡いパッションフルーツ系のトロピカル感がゆっくり広がり,バーボンカスク熟成らしいバニラやカスタードのニュアンス,そして荒々しさも伴う滋味深い麦感,アイラモルトらしい強い煙と魚介のニュアンスも広がってきます。

飲むと最初穏やかですがパワフルな広がりがあり,香りよりは強いですが露骨でない程度にグレープフルーツやパッションフルーツが広がってきます。若さもあるのか煙い麦をそのまま噛んでいるような独特のテクスチャーがあり,近年ラフロイグらしい炭っぽい煙たさとヨードが強く主張してきます。

熟成年数のわりにかなり複雑で,なんというか,ここがとにかくうまく表現できないのですが,最近の若いラフロイグにおいて知っている要素と知らない要素が混在しているような不思議なボトルでした。

時間経過に伴う広がりは驚くほどで,グラスの中でどんどん多彩に複雑になっていきました。
また,開栓後の日ごとの変化も激しかったのですが,そうなると未開栓で長期間寝かせておいたときの変化への期待がどうしたって高まります。
あと20年後にこれを飲んで,ぶっ飛ぶくらい美味しいと言っている自分の姿が見えた気がしました。

評価はあくまで現時点でのものであるということは,ブログのTOPページにも書いてある通りで他のボトルにおいても同様ですが,今回のカーチェスは特にそうでした。開栓後や未開栓での時間経過で想定外に大きく変化する可能性が高いと思われ,未来が楽しみで仕方がないボトルでした。

※普段は,ちょっと難しいなと思うものでも追加で2~3回飲めばある程度の全体像は掴めると思っているのですが,今回は飲むたびに大きく変化して特に難しかったです。何度飲んでも掴めない部分があり,コメントだけ見ると月並みで,なぜこれだけ美味しいと感じるのか的確に表現できた気がなかなかしませんでした。
そのため他のアイラフェス向けボトルと比べると掲載が遅れてしまったのですが,まだ十分に満足できる評価はできていません。また飲む機会はあると思いますので,今後飲めたら追加報告をしたいと思います。それも楽しみです。

さて,今回この若いフロアモルティング100%のラフロイグを飲んで,改めていろいろ考えました。
フロアモルティングした麦芽を使うと,トロピカル感も含んだフルーツが出てきやすいなんて話をいろんなところから聞いてきましたし,フロアモルティング麦芽の含有率が高かったと噂されるボウモア1993が非常に突き抜けてフルーティなキャラクターだったこともあり,私もフロアモルティングに関してはなんとなくそういう認識でした。
今回のカーチェスには,トロピカル感は確かに若いにもかかわらずそこそこ以上に感じましたが,特別そこだけががすごいという印象ではなかったです。
それよりも強く思ったのは,熟成年数が短い荒さが伴っているにもかかわらず,妙に多彩さや複雑さを持っているということでした。

こんなブログを見てくださっている方々にとっては当たり前のことかもしれませんが,モルティング(製麦)は大麦を発芽させて適度に成長させた後,糖化の為の酵素が増えつつも成長に糖質を消費しすぎないギリギリのタイミングで乾燥させ麦芽の成長を止めるという行程です。

私はアイラに行った際にラフロイグでフロアモルティングの体験をさせてもらったことがあるのですが,一生懸命撹拌しているとはいえ結構麦芽の成長はまちまちでムラがあるなという印象でした。
それに対してモルトスターなどで大量生産されたモルトが均一な出来かどうかは見学できていないので想像するしかないのですが,機械化された施設で作られており商品として比較的ムラが無さそうな印象はありますよね。
しかしそのフロアモルティングのムラによって,糖化の効率は落ちるかもしれませんが,均一なものに比べるとやはり多様性を持ったものになるような気がしています。

フルーティになりやすかったりするのも,その多様性や複雑さを身に着けた麦芽で仕込んだ結果もたらされたもののひとつと言えるのではないかと今は考えています。

この辺の見解はまだ想像ですし,これから他の蒸留所も含めてこういうボトルをもっと意識しながら飲むことで深められていけるように思います。
この先考えが変わってしまうことも大いにありそうですが,現時点でのフロアモルティングに関する見解というのはこんな感じになりました。

 

#ラフロイグ (LAPHROAIG) #考えたこと

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