高まりすぎた期待にも応えてくれる美味しさでした。
ラフロイグ LAPHROAIG 2001-2018 17yo SIGNATORY for THE WHISKY HOOP #318 55.7%
Refill Sherry Butt
香りはパワフルで迫力がある。リッチなシェリーとヨードのある強いピート。ビターチョコレートがけのオレンジ、レーズン、焦げた麦芽、海藻、じわりと腐葉土やレザー、キャラメリゼしたナッツ。
飲むと刺激はほどほどで芳醇に力強く広がる。レーズンやビターチョコレートのコクのある甘味と引き締める心地良いウッディネスとその渋味、ハーブや多彩なスパイス、海を感じるヨードと炭っぽさもあるスモーク、それにレザーやアーシーさのある長い余韻。
【Very Good】
シグナトリーが日本のウイスキーフープに向けてボトリングした、ラフロイグ2001、リフィルシェリーバットで17年熟成です。
以前ご紹介したハイランドパークと同時にリリースされたものですが、どちらも素晴らしいモルトだという前評判だったので、こちらも楽しみにしていました。
かなり期待値の高い状態で飲みましたが、結果的にその期待にも応えてくれる仕上がりでした。
17年と熟成が長すぎないがゆえの迫力がありますが未熟感は全くなく、往年のシェリーカスクの傑作のように詰め時に詰められた感があります。
ラフロイグらしいヨードを伴う強いスモーキーさや海のニュアンスがしっかりと主張してくる一方で、当然シーズニングだとは思いますが良質なシェリーカスクらしいドライフルーツやビターチョコレート、ハーブやスパイスといった要素もしっかりと感じられました。
そして、レザーやアーシーさといった突き抜けたシェリーカスクに出てくることの多い要素も含んでおり、探せばあるというレベルではなく、それぞれが高いレベルで主張しあっていました。
全体としては、驚くほど突き抜けたニューリリースとしてご紹介した2016年詰めのエディションスピリッツの同ヴィンテージのものに近いタイプだと感じました。
共にリフィルシェリーですがファーストフィルと言われても納得するような香味で、良質な樽が使用されブローカーに流れた時期だったのだと思います。
比較するとエディションスピリッツのほうが力強く、こちらのほうがやや熟成が長くなって落ち着いた風格を帯びているように感じました。
わずかに仕上がりの異なるこの2本、このまま長期間置いてどちらが美味しくなるのか、今後の楽しみになりました。
苦労して日本に1樽入れてくれたシグナトリーとウイスキーフープの方々に感謝したいと思います。
さて、ハイランドパーク1990とこのラフロイグの2樽は高額ながらひときわ素晴らしいものとして、ウイスキーフープが良好な関係を築いてきたシグナトリーが出してくれたもので、このボトルも会員向けで4万円とスペックのわりに高額です。
ここ数年、良質な樽、特にアイラの人気蒸留所の樽は高騰が著しく、そもそもボトラーに流れる樽も少なく、私が買い付けに同行したときにはラフロイグやボウモアのサンプルは1回も出てきませんでした。
今年リリースされた他のボトラーのラフやボウモアも、やはり急激に高額化しています。
需要と供給の問題からそうなってしまうのはやむを得ず、愛好家として理解しないといけないとは思いますが、普通に一般人が飲めるものから離れていってしまうようで寂しいところです。
また、ニューリリースに見切りをつけて安く買ったストックばかりを飲んでいくというのも、過去から未来への時間を飲む酒であるウイスキーを楽しむ姿勢としては寂しい気がします。
そんな厳しい環境の中、それでも頑張って買うなら中身が伴っているもののほうが良いに決まっていますし、大枚をはたいて大したことのないものを掴むのは切ないです。
食べ物の場合、高いものは美味しいという構図がある程度は出来上がっていますが、モルトの場合にはスペックや希少性などに引っ張られてしまうためかそうでないこともしばしばだと感じます。
そういう意味でも、中身の伴ったこのラフロイグは高くても購入するに値するものだと感じました。
※投稿前の追記
この記事を書いた少し後に、ハイランドパークに続いてこのラフロイグも完売したとの連絡がきました。スペックのわりに高額なので会員向けはもう少し長く残っていると予想していたのですが、もはや私の感覚は遅れているのかもしれません・・・。
似たタイプだった数年前のエディションスピリッツに比べると急激な値上がりを感じてしまい、そちらを多めに買っていた自分は今回のラフの複数本の追加購入を躊躇してしまいましたが、今は少し後悔しています。
今回のシグナトリー2本は美味しいだけでなく、いろいろ考えさせられるリリースでした。
#ラフロイグ (LAPHROAIG)