言ってみればクセのない大トロのようなモルトでした。
ロングロウ LONGROW "CAMPBELTOWN" 1973-1988 SAMAROLI FRAGMENTS OF SCOTLAND 50%
one of 648 bottles
香りはしっとりと湿ったニュアンスが全体を覆っている。湿ったブルーチーズ、腐りそうなグレープフルーツやリンゴ、こなれて旨そうな強いモルティ、砂利、獣の毛皮、ナフタレン、牧場の干草、潮風、淡い塩素と強めのスモーク。
飲んでもしっとり湿った口当たりからパワフルに広がる。染み込むようなテクスチャーで麦芽やチーズ、そして貝の激しい旨味が脳天に突き抜ける。熟したシトラス、少しオイリーで噛み応えあり。香り同様に腐りかけた果実とその強いコクのある甘味、蜂蜜、チーズと柑橘の酸味、後半には貝のミネラルを含む強い塩気、暖かさと冷たさを共に感じる、妖艶さがある、干し草を燃やしたスモーク、滋味深い旨味のある長い長い余韻。
【Excellent】
サマローリが1988年にボトリングした「フラグメンツオブスコットランド」シリーズから、キャンベルタウン表記のロングロウ。ヴィンテージは1973と言われており、約15年の熟成です。
このシリーズは他に、スペイサイド表記のグレンエルギン、イースタンハイランド表記のグレンギリー、オークニー表記のハイランドパーク、そしてアイラ表記のアードベッグ、それとニューフィリングモルト表記ののロングロウがありますが、どれもサマローリの黄金期らしい素晴らしいモルトばかりです。
テイスティングしても上記のように独特かつロングロウとしか思えない香味で、湿ったニュアンスが全開で、重層的に折り重なるような旨味が強烈に感じられます。
同時期のオフィシャルボトルにもありますが、さらにチーズっぽさが強い香味で、これはサマローリ氏が大量に購入していくつもリリースされた1987ヴィンテージのものにもほぼ共通して感じられる個性でした。
樽感が強くないボトラーズのロングロウとして文句のつけようのない仕上がりで、素晴らしい飲み心地です。
ずいぶん前にまだ普通に買える価格で入手したボトルでしたが、今やなかなか手に入るものではなく、数日前に来たエクスチェンジからのメール案内では£10000で売られていました。
このボトルは、数か月前にモルトの仲間達とそういうボトルを持ち寄って一緒に開けようというイベントをやったときに開栓したのでした。
異常に旨いのに飽きないという、お寿司で言うとなぜかクセのない不思議な大トロという感じでしょうか。イベントの直前に開けたのですが、持っていく前に無くなるのではないかと思うくらい杯の進むロングロウでした。
加水50%の結構なオールドということもあってか、ロングロウと言えど開栓後1か月程度で全開になったあとは、ゆっくりと抜けていくような経過です。
このボトルは、購入したものを自宅でじっくりといただきました。
#ロングロウ (LONGROW)