長熟といえる要素を持った優しいボウモアでした。
ボウモア BOWMORE 1990-2017 27yo THE WHISKY HOOP #185080 48.2%
one of 323 bottles, First Fill Sherry Hogshead
香りは華やかだが落ち着いている。パッションフルーツとオイル、パイナップル、穏やかなフローラル、バニラとじわりと凝縮したモルティ、淡くふきのとうのような草っぽさ、優しいヨードと強いスモーク。
飲むとスムーズな口当たり、香り同様にパッションフルーツ系のフルーティ、薄めたシロップや果汁を感じる甘味と酸味、少し染み込むようなモルトの旨味、後半にオークやオイル、穏やかなボディ、主張はあるがフルーツを遮らないこなれたピート。
【Good/Very Good, Interesting】
ウイスキーフープから今年3月にリリースされたボウモア1990、27年熟成です。
このボトルは高額ということもあり、頒布とは別に希望者のみが購入する形になりました。
セスタンテのベンリネスや、アメリカ向けのダッシーズのような高級感のある文字のみの和紙ラベルで、これからウイスキーフープの高級レンジはこのラベルで良いのではないかと思える素敵さでした。
蒸留所が樽売りしなくなっている現状で、人気のあるボウモアがボトラーズからのボトリング候補のリストに挙がってくることはほとんどなく、私がフープの方々とスコットランドに同行した際には1樽もでてきませんでした。
そんな中、継続的にボトリングを続けていることが功を奏したのかボトリングできた今回のボウモアは、1990ヴィンテージの27年熟成でした。
90年代蒸留のボウモアは、一時期ボトラーズから乱発といえるほどたくさん出回っていた時期があり、パフューム期も抜けて比較的安価で美味しかったためかなりたくさん飲みました。
しかしある時期からパタリと出てこなくなり、熟成が長くなったものを飲む機会はほとんどありませんでした。
27年熟成で度数も下がっており、アイラモルトとしては長期熟成といえるようなスペックですが、オフィシャルだったら買おうとも思わない値段でしょうね。
さて、肝心の中身ですが、簡潔に言うなら確かに長熟で優しくなった90年代ボウモアの姿を感じました。
炸裂するほどではありませんがしっかりとらしいパッションフルーツやパイナップルのようなトロピカルフルーツが感じられ、ピートはしっかりありますがこなれており、フルーツの邪魔をしません。
度数が下がったことも影響してか、想像以上にしっかりとした熟成感があるボウモアで、90年代のくっきりはっきりとした強い香味から熟成を経て変化したことがしみじみと感じられました。
ウイスキーフープのボトリングは、ハウススタイルに加えて強い酒質を持つものが選ばれる傾向にあると感じており、飲み頃のピークはボトリング後しばらく先にあると感じるものもしばしばあります。
今回のボウモアには強さがなくすでに飲み頃という印象だったので、正直言って最初に味見した時には想像よりもだいぶ弱いことが気になったのですが、今回改めてしっかり飲んでみて、90年代の熟成の長くなったボウモアがどんな香味なのかという提示だけでも日本向けにボトリングする価値のある樽だと改めて感じました。
今後もボトリングから感じられる様々な提案を楽しみにしています。
#ボウモア (BOWMORE)