想定外の仕上がりでした。
スプリングバンク SPRINGBANK 11yo OB "Local Barley" 53.1%
香りはオレンジとオイル、パイナップルやグァバ、バニラ、うっすらとフリーズドライのヘタ付きイチゴ、バタースコッチ、少しココナッツ、干し草、滋味深い麦感があるが未熟感はあまりない、貝殻のミネラル、タールっぽいピート。
飲むと度数より穏やかな口あたりから広がる、香り同様にオレンジオイルとパイナップルやグァバ、噛み応えのある麦の旨味、まったりとした甘味にコクあり、ミネラル、強い塩気、しっとりとタールの効いたピート。
【Very Good, Interesting】
ニューリリースのスプリングバンクのローカルバーレイ、11年熟成です。
昨年の16年に続き、今年リリースされたローカルバーレイは、近隣で栽培された原料でフロアモルティング100%なのはもちろん、古代品種「ベアバーレイ」を原料として仕込んでいます。
大麦品種以外はほぼ昔と同じ作りを続けているスプリングバンクですから、昔の味がそのまま再現されるかもしれないという意味でも非常に興味深いリリースです。
熟成もそれほど長くありませんし、若く太く荒々しく麦々しいモルトをイメージしていたのですが、予想は見事に外れました。
最初から華やかなフルーツ感がしっかりと感じられ、ちょっとボウモアやラフロイグのフルーティなタイプと共通するようなトロピカル要素を含んでいました。
熟成年数のわりに不思議なくらい麦感に未熟な要素が少なかったのが印象的で、貝のようなミネラルと近年のスプリングバンクらしいタールっぽさを伴うピートも感じられました。
飲むと想定外に穏やかな口当たりで、香り同様に華やかなフルーティさがあり、噛み応えを感じるような濃縮感もありました。旨みも濃く、まったりした甘味と一緒に強い塩気も感じました。
後半から余韻にタールを伴うピートもやはり主張してきましたが前面にでてくるわけではなく、一要素として深みを出しているような感じでした。
とても美味しく、何杯でも飲めてしまうようなモルトでしたが、特筆すべきはこのフルーティさと仕上がり感でしょうか。
上にも書きましたが、荒々しく麦々しいモルトで、寝かしてからポテンシャルを発揮してくるようなものを想像していたのが見事に裏切られました。
これだけこだわって作った原酒ですので相当良い樽で熟成させたことも予測され、その影響も考えられるのですが、スプリングバンクとしては珍しいほど、ニューリリースの開栓早々に仕上がっている印象でした。
度数も11年熟成のわりには下がっており、飲んでみるとその度数よりもさらに低く感じる口当たりで刺々しさがありませんでした。
フロアモルティングのみならず、大麦も昔に戻して完全に昔の作りになってどうなのかという点において、このリリースだけでものを言うのは難しいとは思いますが、通常のものと比較して感じる点は、独特のトロピカル感を帯びており、熟成年数のわりに多彩な香味で刺々しさがなく仕上がりが早かったという感じでしょうか。
確かに昔のモルトは今のものより短熟でも仕上がったといいますし、スプリングバンクも含めて実際短熟でボトリングされて美味しいものも多いイメージがあります。
今回のものはすでにかなり仕上がっている感がありましたが、これが今後どう変化していくのか、そして現時点ではちょっと雰囲気が違う気もしますが、昔のリリースにどれだけ近いものになるのか、非常に楽しみです。
#スプリングバンク (SPRINGBANK)