このスペックでこの硬さ、信じがたいです。
トマーティン TOMATIN 1962-1989 27yo CADENHEAD 46%
BLACK DUMPY BOTTLE
香りは最初こもっており、瓶内変化のニュアンスがなくスペックのわりに驚くほど硬い。いわゆるトロピカルフルーツ感もあるがまだ奥にいて、時間とともに前にも出てくるがこれからもっと出てきそうな感じ。そのかわり前面にいるのはタールやインクのようなピート。昔の東ハイランドモルトに感じがちな内陸系のピート感で、トマーティンに露骨に感じたのは初めてかもしれない。
飲んでもらしいフルーティさは奥まっており、甘味もやや控えめでドライ。ボディは意外なほど保たれている、香り同様のタールやインクのようなピーティさの残る余韻。
【Good/Very Good, Interesting】
黒ケイデンのトマーティン1962、27年熟成です。
新宿三丁目のカルーソーさんで、ベンリアック1966の前にいただきました。
アウェーでのテイスティングですので、ややいつもとノートのスタイルが異なりますのでご了承ください。
上記のとおり、まだ本来のハウスタイルのフルーツ感が十分に発揮されていないようですが、非常に興味深い香味でした。
ちなみにマスターが開けた同じボトルの1本目は、もっとあからさまな黄色いフルーツのニュアンスがあったそうです。
熟成が長めで46%加水ですから、加水量はそこまで多くないのかもしれませんが、それにしても驚くほど劣化が感じられません。というより明らかに昔のピート味がするのに、瓶内変化によるオールドボトル的な要素に恐ろしく乏しい不思議な香味でした。
ボトリング後30年近く経っている加水のボトル、しかも劣化の多いイメージの黒ケイデンにあって、まるで60年代蒸留80年代ボトリングの詰めたてを飲んでいるような気持ちになりました。
マスターが状態の良いボトルを、眠ったまま起こさないように大事に保存されていたのだと思います。
おかげで非常に貴重な体験をさせていただきました。
なくなる前にもう一度飲みたいですね。
#トマーティン (TOMATIN)