私にとっての覚醒の酒です。
ロングモーン LONGMORN 1969-2000 30yo ARRAN JAPAN(WHISK-E) "THE SINGLE CASK COLLECTION" #4251 53%
one of 143 bottles, BOURBON HOGSHEAD
・香り:
強い発香でうっとりするような陶酔感あり,しっかりエステリー,フレッシュ感も熟した感じもあるフルーツ香,しっかりとライチ,パッションフルーツ,桃,高級な長熟コニャックのようなブドウ感、少し熟したマスカットや生ハムメロン、有機溶剤やセメダイン,バニラ,クリーム,黄色い花,フレッシュミント,奥に淡い麦感,裏打ちするような淡いピートとダシっぽさ,妖艶なニュアンスもある。
・味わい:
香りを裏切らない強く多彩なフルーツ,ライチ,パッションフルーツ、長熟コニャック,滴るようなフルーツの果汁感がしっかり,若干のケミカル感,舌にまとわりつくようなオイル,ねっとりと濃い果実の甘味と酸味,味を深めて引き締める心地良いオーク,妖艶さと陶酔感がありボディは厚め。
・余韻:
ライチやコニャックのようなブドウ感,そして少しピュアポットスチル様のオイリーでトロピカルなニュアンス,そして裏打ちするような淡いオールドピート,これらが少しスパイシーさを伴い長く残る。
・加水:
陶酔感もそのままに崩れない。
・総評:
1969ロングモーンらしいセメダイン感を伴う非常に陶酔感のあるフルーツ感が印象的。
ブドウやトロピカルフルーツを含んだ滴るような果汁感が魅力的で,妖艶でセクシーなニュアンスもあり,ボトリングから15年を経た今飲んでも活き活きとしている。
同じころのベンリアックのようなケミカルなニュアンスも見え隠れするがナチュラルな果汁や果実感のほうが明らかに優位に感じられ,セクシーなニュアンスもあって素晴らしい香味を堪能できる。
【Very Good/Excellent】
アラン・ジャパン(現ウィスク・イー)さんのシングルカスクコレクションから2000年にボトリングされたロングモーン1969,30年熟成です。
樽を選定した土屋守さんもシリーズナンバーワンとおっしゃっていたボトルで,私にとって覚醒のモルトです。
上記のとおり,多彩で突き抜けたフルーツ感と妖艶なニュアンスがある素晴らしいボトルです。
正直,今あらためて飲むと若干のケミカル感や麦感の薄さなども気になるところではあるのですが,初めて飲んだ時の感覚がありありと蘇ってきて,今の冷静な分析を蹴散らしてしまいます。
先ほど覚醒のモルトと書きましたが,それまで自宅で何年も、まさにオタクのように買ったボトルをコツコツとテイスティングし続けるだけだった頃に、勇気を出して行ってみたスコ文研のイベントで土屋さんに勧められて飲んだのがこのボトルでした。
井戸に住んでいた私が海を見たような世界の広がりを感じました。どんどん湧いてくる香りや味わいを探さずとも感じ取れる快感。人生を変えたと言っても過言ではない特別なボトルです。
その後、ロングモーンは1969も含めたくさん飲みましたし、このボトルと近いニュアンスがあるものにもたくさん出会いました。そして客観的に評価すればこれを凌駕するボトルとも出会いました。
しかし,このボトルは特別です。
想い入れなしでは評価できません。
#ロングモーン (LONGMORN)