山崎白秋さんからいただいたテイスティングノートを掲載します。
今月のお題は、「クライネリッシュ」である。
クライネリッシュの印象といえば、ヌカ、まったり、麦芽風味、私の中ではここ最近あまり好印象は無かった。
今回テイスティングを進めていくと、上質のフルーツ、スィートといったあじわいが強く、上記のようなイメージのメモはほとんど見当たらないのだ、そんなことで最後まで蒸留所の名前は浮かばなかった。会の終盤にオフィシャルボトルを出されて初めてクライネリッシュの名前が出てきたのである。
ところが、2005年12月のテイスティングノートの書き出しにはこう記されていた。
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結論からいえば、クライネヌッシュ好きにはちょっとショックだったと思う。ブラインドでテイスティングを進めていくと、上品、高貴、爽やかとおよそクライネヌッシュらしくないメモが書き連ねられていくのである。
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なんと今回と同じような印象のコメントを残していた。
まったく、頭の中に出来上がるハウススタイルなんぞ、当てにならないものである。
さてクラブメンバーの中でも人気の蒸留所ではあるが、過去ログを見ると実に5年ぶりの登場だ。そんなことから満を持してサーブされた5本であるといっておこう。
さて、今月のモルト5本を紹介しよう。
*** [No.1] オールドモルトカスク クライネリッシュ one/145 1971-2009 38年 47.9% ***
(香り) 甘く爽やかな香り、たいへんやさしい香りである。バランスがとれて優等生的な印象である。 上質な果実香、わずかにメロン風味。しだいに酸味のアクセントがついてくる。奥には控えめな熟成香。
(味) 最上のフルーツがいくつも現れる。もも、リンゴ、レイチ、葡萄、名前を出したらきりが無い。心地よい苦味もある。
*** [No.2] ジョンミルロイ クライネリッシュ リフィル ホッグスヘッド cask no.5886 1982-2010 27年 52.6% ***
(香り) ややまったり、しだいにスィートに変わる。わずかにミント。奥には軽いピートが感じられる。じっくりと香りを嗅いでいると上質なフルーツ香が現れる。 さらに時間をおけば、こってりとしたキャラメル香も出てくる。
(味) たいへん濃いフルーツの味わい、それも上質で素晴らしいフルーツだ。濃い味わいは長く続く。
*** [No.3] ウイスキーエージェンシー クライネリッシュ one/166 1989-2010 21年 54% ***
(香り) トップノートはミントの香りで、かつスィート。しだいに素晴らしいフルーツが湧き出てくる。
(味) エステリーな味わい、バーボン樽由来のものか。奥にはさりげない熟成感がある。味に旨みを感じさせる。
*** [No.4] オールドアンドレア クライネリッシュ ラムフィニッシュ 6months one/254 1983-2006 23年 55.3% ***
(香り) さわやかなフルーツ香。たいへん明るいイメージ。しだいにバニラの香りが見え隠れするようになる。上質な砂糖菓子の香り。
(味) たいへん濃い味わいで、ウッディな熟成香が素晴らしい。また程よい苦味が長期熟成を感じさせる。 いつまでも味わっていたいモルトである。もちろんフィニッシュは長い。
*** [No.5] SMWS No.26.34 クライネリッシュ one/238 1972-2004 31年 57.8% ***
(香り) たいへん濃い香りだ。香りの立ちが早く、分かり易い香り。上質なシェリー樽の印象、それはファーストフィルではなく、セカンドフィルかサードフィルで長く寝かした印象だ。 ややヌカの香りがある。香りの数はたいへん多く、フィニッシュは長い。
(味) 甘さと酸味が程よくバランスしている。たいへん濃い味わいであるが、アルコール感も強い。 しだいにアルコールに慣れてくると、多数のフルーツを味わうことができるだろう。
以下に2004.12.12のSMWS試飲会における、No.26.34 クライネリッシュのテイスティングノートを記しておく。
(香り) さまざまなフルーツが香り、さわやかにみたされる。軽いピート香。
(味) フルーツの競演。さわやかな酸味とともに幸せな気分になる。
#Tasting Note