山崎白秋さんからいただいたテイスティングノートを掲載します。
モルトの会、テイスティングノート
2013..2 スタンドバーにて
今月のお題は、「グレンロセス」である。
今回ほどハウススタイルと、テイスティングした印象が掛け離れた蒸留所も無かったのではないだろうか。
グレンロセスといえば典型的なスペイサイドの味わい、さらにシェリー樽熟成を得意としている。そんなイメージを持っておられる方は多いと思う。
ところが今回の5本、まず北ハイランド系のシャープなフルーツを感じた。次に酸味とタクアン風味、もうこうなるとクライヌリッシュである。 他にはハイランドパークやジュラが思いつくがどれも外しているという。おまけにスペイサイドモルトであるとのこと、こうなるともう正解は出てこない。
まさにボトラーズものでは、ハウススタイルはあてにならない典型的な例といっておこう。
さて、そんなモルト5本を紹介しよう。
*** [No.1] インプレッシブカスク グレンロセス 1969 40年 42.9% ***
(香り) トップノートはエレガントで爽やかなエルテル香。シャープなフルーツ香は、香りの数が多い。しばらくグラスを回していれば熟成香も出てくる。 大げさな香りが無く、多くの香りがバランスよく香る上質なモルト。
(味) 僅かな酸味とほのかな甘み。ベリー系のフルーツの風味。味わいはやや弱い。
*** [No.2] デュワラトレー グレンロセス バーボンカスク cask no.35468 1/208 1990-2010 19年 49.9% ***
(香り) ひねた香り、わずかな硫黄の香り。ただし、しばらくすれば消えていく。奥には上質なフルーツ。 さらにグラスを回していればキャラメルの香りと酸味がでてくる。バーボン樽熟成か。
(味) ピリピリと刺す刺激が味わいを辛いものとしている。ビターな印象はわずかなピートからくるものか。
*** [No.3] ダンカンテイラー グレンロセス オーク cask no.13510 266/271 1968-2008 41年 50.9% ***
(香り) トップノートは酸味とエステリー。北国系フルーツも多く香る。奥にはタクアンの香りも見え隠れする。キャラメルの香りはバーボン樽からくるものか。
(味) まずはグレープの味が広がる。アルコール度数が高い訳ではないが、ピリピリと舌を刺す。奥には樽由来のウッディな含み香、長熟を予感させる。
*** [No.4] セレブレーションカスク グレンロセス ホッグスヘッド cask no.7002 17/294 1988-2010 51.8% ***
(香り) まずひねた香が立つがすぐに消えていく。その後エステリーな香りと甘い香りが同時に広がる、しだいにバニラ香もそれにプラスされる。旨みを連想される香りも。
(味) フルーティではあるがアルコール感が強く、ドライと感ずる時も。フルーツはグレープ系だ。注意深くすると、かすかなピート香も感じ取れる。
*** [No.5] ブラッカダー グレンロセス cask no.7471 73/252 1989-2010 54.2% ***
(香り) わずかなタクアンの香り。アルコール感が強く、フルーツの香りが弱めでドライである。 旨みを感じさせる香り。しだいに甘い香りが控えめに香る。
(味) やはりアルコール感が強い。ただし香りとは打って変わって北国系フルーツが濃く香る。味にもタクアンをイメージする含み香がある。