山崎白秋さんからいただいたテイスティングノートを掲載します。
モルトの会、テイスティングノート
2011.11.20 スタンドバーにて
今月のお題は、「グレンマレイ」である。
なんともマイナーな蒸留所ではないか、そのくせオフィシャルボトルはたくさんリリースされている。そんなボトルを飲んだ事が無いというのがマイナーたる所以ではないだろうか。
オフィシャルボトルはずいぶん前に何種類かテイスティングしたことがあるが、どれもドライかつアルコール感が強く、香りの数が少ないことから、これと言った印象が無い。
そんなグレンマレイではあるが、ボトラーズものとなると、また話が変わってくるからおもしろい。今回の色の濃いモルトには、ジャパニーズ・モルトを彷彿とさせる香りを感じた。
またスペルが良く似たグレンモーレンジと、オーナーが同じなのも興味深いところである。
さて、そんなモルト5本を紹介しよう。
*** [No.1] SMWS No.35.24 1998-2008 10年 59.5% ***
(香り) まず、ミントの香りが立ってくる、ただし香りの立ちは遅く、そのほかの香りが出てこない。しばらくすると南国フルーツがほのかに香ってくる。奥にはほんの僅かな熟成香も。
(味) ミントの含み香が口に広がる、古い樽の香りも。やはり南国フルーツが広がり、明るい雰囲気である。旨み成分も多い。
さて、2008年3月のSMWSの試飲会で同じモルトをテイスティングしているので、ここに紹介しておく。ラベルを見てテイスティングしたせいか、直前に飲んだモルトに影響されているのか、なんともまあ印象が違うものである。ご参考にされたい。
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(香り) シャープな香り、スパイシー。香りの数は少ない。アルコール感が強い。
(味) ニューポットの香り、非常に若い香りだ。砂糖水の個性。
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*** [No.2]ゴールデンカスク グレンマレイ 1990-2004 cask no.4561 34/128 61.3% ***
(香り) ミントとハッカのトップノート、そしてさわやかフルーツ。いっけんライトな感じに思われるが、キャラメル系のまったりした香りもある。
(味) 甘さがしっかり感じられる、主役はこってりとしたフルーツだ。ただしそれほどフルーツの数は多くない。うまみ成分が多い。
*** [No.3] SMWS No.35.34 1/281 13年 57.0% ***
(香り) きわめてエステリー、バーボン樽の個性か。しばらくするとキャラメルの甘い香りが立ちこめる。かすかにハッカが感じられ、アクセントが付いてバランスしている。 しばらくすればウッディな熟成香が立ってきて、たいへん深みのある香りとなる。
(味) 渋味や苦味が強いがけっしてマイナスイメージでは無い。ウッディな樽香も心地よい、ピートもわずかに感じられる。 しばらく飲んでいると、さすがに渋味と苦味がつらくなってくる。
*** [No.4] ダンカンテイラー ピアレス グレンマレイ cask no.64 9/214 1975-2010 35年 52.7% ***
(香り) エステリーかつまったりとした香り、バーボン樽熟成か。わずかにミントやハッカの香りも。 エステリーにマスキングされて、他の香りがマスキングされているようにも感じる。
(味) フルーティー・アンド・エステリー。こってりとした含み香としっかりした旨み。フルーツは南国系で、いく種類かのミックスである。
*** [No.5] ウイスキーエイジェンシー グレンマレイ exバーボン 1/301 1973-2010 36年 53.1% ***
(香り) こってり感と濃いエステル香。ただし、たいへんエレガントである。バランスするように適度のピートを感ずる。もっとたくさんの香りを期待したが、意外と単調である。
(味) 渋味が強い。こってりとした味わいが強く、ざらざら感もある。旨み成分も多い。渋味は、熟成由来のものと感じられる。
#Connoisseurs Club #Tasting Note