山崎白秋さんからいただいたテイスティングノートを掲載します。
モルトの会、テイスティングノート
2012.1.22 スタンドバーにて
今月のお題は、「グレンエルギン」である。
一度ならずとも聞いたことがある蒸留所であろう、ホワイトホースのキーモルトで有名でもある。ただモルトのバラエティとなるとたいへん寂しい。 過去にこの会で一度取り上げられているが、当時5本揃ったのは奇跡に近いのではないだろうか。
そんな数少ないグレンエルギンであるが、過去ログのテイスティングノートを見てみると、ボトラーズも様変わりしているのがわかる。
さて今回モルトであるが、悪く言ってしまえば没個性、よく言えばバランスのとれたたいへん上品な味わいである。
そんなスペイサイドのスタンダードともいえる個性を持つグレンエルギンではないだろうか。
さて、そんなモルト5本を紹介しよう。
*** [No.1] ブラッドノックフォーラム グレンエルギン ホッグスヘッド cask no.2852 1984-2010 139/219 25年 42.5% ***
(香り) トップノートはエステリー、追ってミントが立ってくる。たいへんエレガントに香る高級フルーツ。しばらくすると、微発泡を思わせる酸味が現れる。 時間とともにモルトの温度が上がってくるとキャラメルの香りも。
(味) 甘く、優しい味わい。スイートなキャラメルも心地よい。フルーティさも申し分なく甘さとバランスしている。
*** [No.2] リキッドサン グレンエルギン 1984-2009 25年 43.8% ***
(香り)エレガントに香り、さり気ない気品を感じる。ミント、ハッカの香りも酸味と共に心地よい。 しだいに深みのある熟成香が広がってくる。ウッディな樽香も申し分ない。
(味) たいへんエステリーであるが、旨み成分も多く味わい深い。軽くウッディな含み香が口に広がるが、ややドライで重厚なタイプでは無い。押し出しの強く無い熟成感は通好みのモルトである。
*** [No.3] キングスバリー ファイネスト・アンド・レアレスト グレンエルギン 1975 35年 47.2% ***
(香り) トップノートは上品なエステル香、包み込まれるような甘さも心地よい。温度が低いのにもかかわらずたいへん香りの立ちが速い。 爽やかさと酸味の個性はスペイサイドモルトか。
(味) たいへんエステリーで、フルーティ。かすかなピートが感じられる。口の中でややピリピリとする。
*** [No.4] ウイスキーエイジェンシー グレンエルギン EXバーボン 1984-2009 25年 48.7% ***
(香り) フルーティ、酸味、甘みなどが程よくバランスした香り。しかし香りの立ちは遅く、香りが弱く感じられる。 フルーツはたいへん優しい梨の香りであり、ほのかなエステリーに癒される。
(味) 味は一転してピリピリとドライである。フルーティではあるが香りは弱い、ただし旨みは強く、味わい深いタイプのモルトだ。
*** [No.5] エイコーン The 150th aniversary of the opening of Yokohama port 1859-2009 グレンエルギン 1991-2009 17年 54.5% ***
(香り) シェリー樽の個性、たいへんトースティ。焦げたゴムの一歩手前。シェリーの個性にマスキングされているが、本来はフルーティでエステリーな香りである。 しだいにえぐみ感が強くなる。
(味) 味は典型的なシェリーカスク、こげたゴムとにがみを感じさせる。
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