山崎白秋さんからいただいたテイスティングノートを掲載します。
モルトの会、テイスティングノート
2011.6.26 スタンドバーにて
今月のお題は、「ミルバーン」である。
いわずと知れた、インバネス閉鎖蒸留所のひとつである。 閉鎖蒸留所といえば、個性がなく美味いモルトで無いことが多い、しかしインバネスの蒸留所はどれも閉鎖されてしまうには惜しいモルトをたくさん作っていたのである。
大都会とは言えないが、インバネスの街の中に蒸留所を稼動させるのはたいへん難しいことなのであろう。
ミルバーンは閉鎖されて25年以上経つので、おのづと長熟モルトばかりではあるが、ウッディで深みのある味わいは悪くないものばかりであった。
さて、そんなモルト5本を紹介しよう。
*** [No.1] オールドモルトカスク ミルバーン 1969-2005 1/299 36年 50% ***
(香り) トップノートはややヌカっぽい香り、軽いピートなのかもしれない。すぐさまフルーティな香りに満たされる。 しばらくすれば、エレガントな香りに変化してくる。金属を思わせる香りも感じ取れる。キャラメルの香りもあり、たいへん深みがある。
(味) 味わいはウッディで熟成を感じる。ただし複雑な含み香ではなく、比較的ドライな印象である。 枯れた美味さというか、時間を掛けて飲んでいると美味さが増してくるモルトといえよう。
*** [No.2]マキロップチョイス ミルバーン cask no.748 1982-2001 53% ***
(香り) タクアンの香りのトップノート、くさいと表現しておこう。奥にはキャラメルの香りも感じられる。 しばらくするとエレガントなフルーティさも現れるが、再度、臭みも出現する。
(味) 口に含めば、かすかにパフュームを感じる。おおむねフルーティで、酸味が心地よい。トースティな味わいも感じられる。
*** [No.3] シグナトリー ミルバーン リフィルバット cask no.26 435/531 1979-2005 26年 58.1% ***
(香り) トップノートはたいへん高貴な香り、それに実に爽やかだ。甘さを感じさせる香りもいくつか感じられる。 しばらくグラスを回していれば、まったりとウッディな香りも出てくる。香りの数はたいへん多く、すばらしい香りである。
(味) 一転して、味はドライで意外に単純。辛い味わいでフィニッシュも長くない。
*** [No.4] カレドニアン コレクション ミルバーン 1974-2000 25年 58.5% ***
(香り) トップノートは薄い、軽い、そんな印象だ。香りの立ちが遅いのかもしれないが、夏のテイスティングであることを考えると、そうとう立ち方は遅いといえる。 しだいに酸味をともなうエレガントでフルーティな香りが出てくるが、香りはやや単調である。フルーティーさは、ジュースに使う香料の香り。
(味) 味わいではかすかにパヒューム。ウッディを感じるときはあるが、ドライで味の数は多くは無い。
*** [No.5] レアモルト ミルバーン 1975-2001 25年 1975-2001 61.9% ***
(香り) ややくさみを感じるがすぐに消えていく。甘さを感じさせる優しい香り。しだいに明るく爽やかな香りへと変わってくる、酸味がアクセントとなっている。 かすかにキャラメルの香りも見え隠れする。
(味) たいへん濃いフルーツである、さまざまなフルーツの競演。さらに良い意味での苦味のアクセントがあり、古い年代の蒸留であることを感じさせる。 加水をすれば、フルーティーフルーティー。
#Connoisseurs Club #Tasting Note