山崎白秋さんからいただいたテイスティングノートを掲載します。
モルトの会、テイスティングノート
2011.13.2 スタンドバーにて
今月のお題は、「ボウモア」である。 独特の化粧品香、パフューミーな個性でハウススタイルを確立していたボウモアであるが、1990年代サントリーの資本が入るようになり、それ以降に蒸留されたものは、その特徴的な個性が無くなった。
モルト自体のレベルでいえば、今日のボウモアの方が上といえるかもしれないが、あの独特の個性は残しておいて欲しかったのも事実である。
ずいぶん昔の話になるが、このモルトの会である有名な事件があった。その夜のお題は「ボウモア」で、一本目がオフィシャルボトルの12年だった。 会が始まってまもなく、ある人物が一本目のモルトを「ボウモア」と言い切ってしまったのである。ブラインドテイスティングで行われる会なので、その後の進行が台無しになったのは言うまでも無い。
その人物は私なのだが、ボウモアに敏感な私をいつか騙してみようという企画がずいぶん昔から画策されており、今回ついにその日を迎えたのだった。 結果をいってしまえば私の完敗であった。そのくらい現在のボウモアには、かつての個性であるパフューミーさは無いと言い切れる。
また昨今、ボウモアといえばトロピカルフルーツといわれているが、ブラインドテイスティングする限りそんな印象も無かったことを報告しておく さて、
そんなモルト5本を紹介しよう。
*** [No.1] オールドモルトカスク ボウモア one/150 1990-2010 20年 52.0% ***
(香り) エレガントな香り、程よく酸味が香る。しだいにミントの香りも立ってくる。やや薄い香りといえる。
(味) 酸味を感じる味わい、その後軽いピートが出てくる。程よい甘さが心地よい。ピートだけに終わらないモルトと言える。
*** [No.2] ザ・パーフェクトドラム ボウモア one/222 1993-2010 16年 53.8% ***
(香り) 香りの立ちが遅い。ややヌカの香りが感じられるが、しばらくすると消えていく。酸味を感じさせる香り。湿気っぽい香りも見え隠れする。
(味) まずはピートだ、ただしヨードは感じない。ほどよい甘さ、わずかにフルーティー。
*** [No.3] デュワ・ラトレー カスクコレクション ボウモア バーボン 1990-2007 17年 54.1% ***
(香り) まず感じるのは埃臭い香り、独特な香りだ。しだいにキャラメル香が立ってくる、軽い熟成香なのかもしれない。わずかなピート香。
(味) 強いピート、しかしヨード、クレオソートは無い。ウッディな個性、熟成を感じる。しぶみが心地よい。
*** [No.4] ザ・パーフェクトドラム ボウモア one/226 1993-2010 17年 54.6% ***
(香り) たいへん鮮やかな香り、透き通る酸味。スィートでフルーティー。よく香ってみると、いがいがした香りがある、ピート由来のものか。
(味) 中程度のピートと甘み。しだいにフルーティーな含み香が感じられるようになる、酸味も心地よい。複雑な味わいがありそうだが、ピートにマスキングされてほとんど感じることができない。
*** [No.5] ベリーブラザーズ・アンド・ラッド ボウモア cask no.1701 1994-2010 55.3% ***
(香り) 甘さを感じさせる香り。良い意味で麦芽風味。奥には金属っぽい香りがする。ややヌカの香りがあるが、酸味があるのでそれほど嫌味にならない。
(味) まず甘さが感じられる、その後中程度のピートが広がる。かすかに熟成が感じられるが、かなり弱いものだ。ややトースティー。
#Tasting Note