山崎白秋さんからいただいたテイスティングノートを掲載します。
モルトの会、テイスティングノート 2007.01.28 スタンドバーにて
今月のお題は、「ブルイックラディ」である。
ブルイックラディ、アイラモルトの中にありながら、ピートを感じない蒸留所として印象深い。
かつてオフィシャルボトルを飲んだ時の記憶によると、若いモルトはあまり良い出来栄えではないが、21年オーバーになると熟成感がすばらしいモルトに仕上がっている、そんな印象であった。
今回どんな印象を持ったかといえば、よく出来た北ハイランドものだったり、ピートを無理につけたスペイサイドものだったり、ウッディーですばらしい熟成モルトだったり、まるっきり掴み所の無い個性で、会が中盤にさしかかってもなかなか蒸留所の地区を絞れない状態であった。
さて、今回の5本を紹介しよう。
***[NO.1] SMWS 23.34 ブルイックラディ 1970-2000 48.9% ***
(香り)フルーティかつフルーティ。さわやかにエステリーではあるが、奥にいがいがと軽いピートを感じる。
しだいに熟成感がひろがり、酸味もほどよく香る。さらにクリームやバニラも感じられ、香りの数が非常に多い。
香りの立ちが早く、最初と最後で印象が変わらない。
(味)エステリーかつウッディーで熟成感がすばらしい。甘味と酸味のバランスもよく、秀逸なモルトである。
***[NO.2] オフィシャルボトル ブルイックラディ 3D-second Edition 50% ***
(香り)トップノートは酸味である。注意深く香りをかいでいると、酸味ではなく酸化なのかもしれない。
すぐさまピートが感じられるが、「アイラもの」のようなヨードを伴う薬臭いものではない。ややジャーキー。
(味)味はピートが強い、甘味もあるがやや単調である。
***[NO.3] ザ ゴールデンカスク ブルイックラディ 1991-2004 50% ***
(香り)軽くモルティに感じる。香りの立ちが遅い。しだいに熟成感が香るが、すごく遠いところにある。香りの数が少ない。
しだいにエステリーな印象が開いてくるが爽やかさを感じるものではない。
(味) ライトでドライ。しかしドライでありながら甘味が強い。やはり味も単調である。
***[NO.4] SMWS 23.48 ブルイックラディ 1989-2005 16年 50.8% ***
(香り)酸味が心地よくエステリーである。軽いピートが感じられるが隠し味(香り)程度である。わずかにタクアンの香りが感じられる。
しばらくすれば軽い熟成感がでてくる。さらにバニラも香るのでバーボン樽熟成かもしれない。
(味)口に含むと化粧品を連想するパフューミーな味。ボウモアやエドラダワーとは異なる軽いものである。わずかな甘味を感じる。
***[NO.5] ブラッカダー ロウカスク ブルイックラディ 1970-2002 32年 53.8% ***
(香り)シェリー香が素晴らしい、熟成感も十分である。軽くピートが香る。明るい酸味がひろがり、思い切り香りを吸い込むと、ほんとに幸せな気分にさせられる。
エステリーなそよ風と、まったりしたバニラも追って香ってくる。
(味)フルーティをベースに素敵な甘味。軽い酸味とピリピリ感が心地よい。熟成からくるものなのか、ほろ苦さがアクセントになっている。たいへん充実したモルトである。
#Tasting Note