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コニサーズクラブ(07/12/23)テーマ「山崎」

山崎山崎白秋さんからいただいたテイスティングノートを掲載します。

モルトの会、テイスティングノート

2007.12.23 スタンドバーにて

 今月のお題は、「山崎」である。

 もしこのブラインドテイティング会に、スコットランド人が参加したら、今回の5本どう評価するのであろうか。

 いきなりこんな書き出しで始めてしまったのだが、そのくらい今回の5本はかつてテイスティングした中でも極めて秀逸なモルトであった。日本人であるがゆえ、日本人のブレンダーにより世に送り出された山崎に好印象を持ってもあたりまえ、との疑問を持ったからである。もちろんテイスティングは完全なブラインドであることは言うまでも無い。

 これだけのモルトを5本揃えられるのは、ロングモーン、グレンリベット、グレンファークラス、ブローラ、ハイランドパーク、ポートエレンぐらいであろうか。NO.1のモルトにおいてピートが強いことから、ロングモーン、グレンリベット、グレンファークラスは消える。ところがこの中に正解はないという、もうそうなると考え付くところは「山崎」しかない。

 サントリー山崎の実力を十分評価している私ですら、会の終盤に至るまで、今回の5本と山崎とを結びつけることはできなかった。さあ、そんな素晴らしきモルトたち5本を紹介しよう。

*** [No.1] 山崎 オーナーズカスク BUTT/MIZUNARA 413/424 1986-2007 cask 6B0018 49% ***

(香り) トップノートは爽やかでエレガント。ミント系の香りが心地よい。しだいに熟成感が軽い酸味とともにあらわれる。
 さらに時間を経ればピート香が出てくる、軽くタクアン系のまったりした香りもある。

(味)  ピートが強い。酸味が心地よく、しっかりとしたヨードも感じるが実に爽やか。味の数も多く複雑。

*** [No.2] 山崎 オーナーズカスク SHERRY BUT 34/557 1996-2006 cask AP70041  63% ***

(香り) トップノートはキャラメル、ツンとした硬さと酸味が同居する。雑味も感じるが悪い種類のものではない。
 しだいに雑味は減っていき爽やかに変わってくる。さらに時間がたてば甘いバニラに包まれる、奥には軽いピートがあり、かなり複雑。

(味)  深々とした含み香、樽由来の苦味もあるが酸味とバランスして飲みやすい。

*** [No.3] 山崎 オーナーズカスク BUTT/MIZUNARA 71/405 1986-2006 cask 6G5029 60% ***

(香り) 上質のシェリー香、焦げた印象はないので極上のリフィルシェリーによるものか。すがすがしい酸味で実にエレガント。エステリーな香りもまたすばらしい印象としている。
 しばらくすればキャラメル香とバニラの香り、バーボン樽の個性もあり複雑。

(味)  素晴らしくウッディ、かつエステリー。さらに旨み成分もたくさん感じられる。酸味が味を引き締めている。残り香はバーボン樽。

*** [No.4] 山崎 オーナーズカスク BUTT/MIZUNARA /244 1986-2007 cask 6G5020 57% ***

(香り) 上質のシェリー香、極上のリフィルシェリーによるものか、NO.3と同系統の香りだが、より香りが濃い。中程度のピート香、酸味が爽やかで重い印象とならない。最高の熟成香と極上のエステル香。至福の時間は終わって欲しくない。

(味)  素晴らしくウッディ、それも最高の樽香である。バランスするように上質のエステル香が香る。旨み成分も複雑で味の数はたいへん多い。残り香はバニラと古木。

*** [No.5] 山崎 オーナーズカスク SHERRY BUT 335/401 1995-2007 cask 5C3009  49% ***

(香り) トシェリー香がたちこめる。まったりしているが爽やかでもある。酸味がほどよく、旨みを感じさせる香りがある。
 バニラやキャラメルの甘い香りが強い、ポート樽の個性も感じられる。

(味)  シェリー樽の個性。にがみ深みがすばらしい。典型的なシェリー樽のあじわいであるが、焦げたゴム臭はなく、雑味、湿気た含み香もない。うまくシェリー樽を使ったと思われる。

#Tasting Note

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