山崎白秋さんからいただいたテイスティングノートを掲載します。
モルトの会、テイスティングノート
2007.10.28 スタンドバーにて
今月のお題は、「セントマグダーレン(セントマグデラン)」である。
蒸留所の名前として非常にかっこがよろしい、がそれとは裏腹に飲んでみるとあまりパッとしない印象がある、ローランド、閉鎖というキーワードもそれを助長している。ところが今回の5本を飲み終えてそんな印象は完全に払拭されたといってよい。
私自身ノージング中においては北ハイランド、飲んでみるとスペイサイドそんな個性が感じられたが、やはり「ローランド」という言葉はメンバーの間からも出てはこなかったのである。ローランドといえば大人しく麦芽風味が強い印象があるが、今回の5本についてはまったく当て嵌まらないといえる。
とにかく香りの数が多く、香りの立ちが早く、かつ濃い香りでメンバーを楽しませてくれた5本であった。
最近はリンリスゴーと呼ばれることが多いことを付け加えておく。
さて、今回の5本を紹介しよう。
*** [No.1] SMWS 49.11 1975-2000 24年 50.1% ***
(香り) 色彩感が豊な香り。フルーティでやや酸味をともなう。その後甘い香りが立ち、さらにエステリーな熟成感が漂うようになる。
(味) フルーティーで甘い。ややぴりぴりしてスパイシー。ほのかな麦芽の香りと旨みが感じられる。
*** [No.2] ハートブラザーズ セントマグダーレン 1982-2003 21年 56.5% ***
(香り) トップノートはまったりとキャラメル。次に酸味が立ちバランスする。ツンと硬質でシャープな香りは北ハイランドのものであろうか。
しばらくすると軽いタクアンの香りも感じられる。 奥にはざらざらとした香りがあるが、軽いピートの香りかもしれない。
(味) やや柑橘系のあじわい。やはり香りと同じように、硬く鼻に抜ける含み香がある。ハーブも何種類か感じられる。ここでも軽いピートを意識する。
*** [No.3] ウイスキーエクスチェンジ リンリスゴー 1982-2006 23年 60.0% ***
(香り) とにかく香りの立ちが早く、香りは濃くてまったりとしたものだ。キャラメル香が心地よい、バーボン樽由来のものか。
奥には軽いタクアンもあるがマイナスイメージのものでは無い。さらに時間がたてば深くエステリーで、香水のような香りも感じられ非常に複雑である。
(味) スパイシーではあるが、酸味、甘味とバランスしている。加水すると綺麗にフルーティーである。
*** [No.4]マキロップチョイス リンリスゴー 1982-1999 17年 61.2% ***
(香り) トップノートではややひねた香りもあるが、すぐさま上質なエステリーで満たされる。香水のような綺麗で鮮やかな香りである。香りの数が非常に多い。
(味) ドライでスパイシー。加水すればフルーティーとなる。やや塩っぽいが旨みも十分に感じられる。
押し出しの強い樽香がなくても上質の熟成が感じられる大人のモルトといえる。
*** [No.5]ダンカンテイラー レアレストオブザレア リンリスゴー 1982-2004 21年 63.5% ***
(香り) トップノートはエステリー、しだいに甘く濃い香りでみたされる。一方酸味が弱く、しゃっきりしない。味の数は多い方ではない。
(味) スパイシーでシャープ。甘味と旨みをともなうが、やや単調。
#Tasting Note