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そしてマルス(後編)

昨日の続きです。

見学終了後、受付兼売店の部屋に戻ってウイスキーの試飲。



もちろん私は車のため、仕込水だけいただきましたT_T

飲めないままではあまりにも悔しいので、ボトルを一本購入。



マルス モルテージ ピュアモルト 8年です。

森の薫りとやや酸味のあるフルーツのような香りで、華やかな感じがします。
味わいは、木香と糖蜜のような甘さ、かすかにスモーク。
樹液の風味が徐々に苦味に変わり、タールのような感じが舌の上に少し残ります。

ご存知の通り、信州蒸留所では20年近くの間ウイスキーの蒸留は行われていません。
なのに8年熟成とはどういうこと?という疑問が涌いてきます。
現地では質問できなかったので帰西後メールで質問すると、非常に丁寧にご対応・ご回答いただきました。

いただいた回答によると、このボトルをはじめ長期熟成でないウイスキーには、樽出ししてタンクに貯蔵されている原酒を使用しているとのこと。
モルテージは以前は信州のモルトと鹿児島のモルトをヴァッティングしていたため「ピュアモルト」と表記されているが、現在は100%信州のモルトを使用しており、熟成には国産の新樽を使用していたとのこと。

そう言われて味わってみると、新樽由来の特徴が強く出ているような気がしますし、熟成がピークを超えないうちに樽出ししたのかなという気もします。

本坊酒造のウイスキーづくりの指揮を執っていたのは、“ジャパニーズウイスキーの父”竹鶴正孝氏の摂津酒造時代の上司である、岩井喜一郎氏だそうです。
竹鶴氏がスコットランド留学で学んだことを岩井氏に報告し、それをもとに岩井氏は本坊酒造でウイスキー作りを始めたということです(このあたりは『THE Whisky World vol.22』や、『シングルモルトウイスキー大全』にも詳しく紹介されています)。



いわば本坊酒造のウイスキーは、サントリーの山崎やニッカの余市と同じ血を引く兄弟だということができると思います(従兄弟かなという気もしますが)。
このまま、時の流れの中に埋もれさせてしまうにはあまりに惜しい。
なんとかもう一度、あのポットスチルからニューポットが流れ出す日が来ることを、切に希望します。

一週間にわたって長々と続けてきましたが、このあたりで東方遠征報告を終了させていただきますmalt

#ウイスキー

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