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バーで飲もう!“錬金術師に乾杯!”篇

ウイスキーやブランデー、ジン、ウォッカ、テキーラ、ラム・・・などの蒸留酒の歴史をするとき、必ず現れるのが錬金術師です。
時々お客様に尋ねられて説明するのですが、『鋼の錬金術師?』なんて言われますが漫画とは関係ありませんよ。
この錬金術師がいつ頃現れたのかといいますと・・・いくつか記述を調べた結果、8世紀~13世紀間で情報が交錯しており、ハッキリと断定するにいたりませんでしたので中世としておきます。

一般によく知られた錬金術とは、物質をより完全な存在に変える賢者の石を創る技術のことを言い、この賢者の石を用いれば、卑金属を金などの貴金属に変える事ができるということですが、さらに高度な錬金術師は、霊魂の錬金術を行い、神と一体化すると考えられたので、宗教や神秘思想の趣きが強くなったらしく、これ以上の検索は本文とはかけ離れた崇高な世界にいってしまいます。
錬金術師の発見は蒸留酒のみではなく、ヨーロッパで磁器を生産する方法を発見したり、中国での火薬の発明に関わったりと多方面にも偉大な業績を残しているのです。

その錬金術師たちが、気まぐれに自分達が飲んでいた既存の醸造酒(白ワインらしいです)を彼らの仕事道具である蒸留器に入れてみると、それまで味わったことのない、素晴らしい味の液体ができあがったのです。(ワインであればブランデーの原型?)
錬金術師はこの蒸留酒のことをラテン語で「生命の水」という意味のアクア・ヴィテ(Aqua Vitae)と呼び、生命維持のための薬酒として用いていました。
この『生命の水』の製法は、中世ヨーロッパの各地に伝えられ、土地ごとに入手が容易な原料を使って酒の蒸留が行われます。
これら各地の蒸留酒は改良されて ウォッカ、ブランデー、ウィスキー、アクアビットとして今日も飲み継がれているのです。

錬金術師の発見が無ければ、今日の私たちは『生命の水』を口にすることがなかったのでしょうか? 『生命の水』がなかったら、今日の私達(バーテンダー)も存在しなかったのでしょうか?(大袈裟ですみません。)
『生命の水』・・・いい言葉ですねぇ。『今日は生命の水を飲みに行こうよ!』と言えば、聞こえはいいですよねぇ。(使えますよ!)
錬金術師達の発見に感謝しながら、今夜も『生命の水』をいただきましょう。乾杯!

#BAR

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