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バーで飲もう!“取扱い注意酒”篇

先日、福島で飲料用アルコールが凶器となる障害致死事件がありました。
ホテルで宴会中のことらしいのですが、アルコール度数が96度の酒を男性にかけ、火を点けたというのです。 
アルコール度数が96度の酒といえばポーランドのウォッカ“スピリタス”です。 このスピリタスが何故、ホテルの宴会場にあったのか?
とにかく、酒がこのような事件に使われるというのは我々バーテンダーとって辛い事件です。

みなさんが知っている洋酒はいったいどれくらいのアルコール度数があると思いますか?
各スピリッツのアルコール度数は以下の通りです。

ウイスキー
通常は40度~46度です。 モルトウイスキーの樽出し原酒には60度前後の強いものもあります。
ブランデー
40度のものがほとんどです。 グラッパ(粕取りブランデー)には50度を超えるものもあります。
ジン
強い酒のイメージがあるようですが、37.5度~47度のものが多く使われています。(バーでは47度のジンが多く使われています)
中には57度や60度のジンもあります。
ウォッカ
37.5度~50度のものが多く使われていますが一般的にバーで使うのは40度のものが多く使われています。 上記の96度(スピリタス)や88度(バルカン)といった物は販売はされているものの、一般的に使用する酒ではありません。
テキーラ
“ストレートで飲む酒”という印象があるからでしょうか?テキーラも強い酒のイメージがあるようですが、40度のものがほとんどです。 
ラム
50度を超えるものもいくつかありますが、カクテルには40度前後のものが一般的に使われています。 しかし、151プルーフ(プルーフは数字を二分の一にするとアルコール度数)、つまり75.5度のラムも市販されています。
ロンリコやレモンハートの151プルーフのラムを口にしたことのある方も少なくないと思います。

酒はどれくらいのアルコール度数があれば瞬間的に火がつくと思いますか? 酒にあまり知識のない方が『すぐ火がつく』と思っているウォッカは通常アルコール度数が40度のものが殆んどですが、アルコール度数が40度の場合は少々暖めないと火は点きません。
50度を超えるとチョット温めるだけで火が点きます。
しかし、75.5度のラムやスピリタスでは瞬間的に火が点くのです。
勿論飲料用の酒ではありますが、扱いを誤ると飲み物としてもまさに凶器となり、大変な事故に繋がることになりかねません。
タバコの火も要注意です。

よく宴会の罰ゲームでこういった強い酒が使われることを耳にしますが、想像しただけでもゾッとします。非常に危険であり、度の過ぎた“アルハラ”です。
しかも今回はその非常に強い酒を人間ににかけて火をつけ、死に追いやってしまったというのですから・・・言葉をなくしてしまいます。

“生命の水”として古来より飲み継がれ、人生や文化を豊かにするための酒がこういった犯罪や事件事故に使われなくなる日本に早くなってほしいものです。

#酒

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