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バーで飲もう!“酒屋叙情”篇

バーテンダー(一部)の習性として、気になる酒屋があると必ずと言っていいほど入ってしまいます。 『何か掘り出し物のウイスキーやワインなどの洋酒類が残ってはいないだろうか』と酒棚の奥を探っては見るのです。そこで、意外な物があったりすると、まるで宝物を探し当てたかのごとく嬉しくなり、つい友人(同じくバーテンダー)に見つけた酒の自慢をしたくなるのです。
しかし、酒屋の店主いわく『そりゃ、20年も前ん酒で!そげなもん買うちどげぇするんな!?』・・・酒屋のくせ(失礼!)に無粋なことを言う店主もいます。“古い”からいいのであって、ワインやアルコール度数の高い酒じゃなければ、20年も経てば飲めなくなっている可能性が高いのは承知のうえです。苦労して見つけた、貴重な骨董品を実際には使えないのと同じようなものなのです。

昔の洋酒やそのボトルには遊び心が詰まっているものが沢山あって、我々のように酒を扱う物を愉しませてくれたものです。
その頃の酒屋さんも多種多様な洋酒を取り揃えていて、私どもが入っても選択肢が多くて、どれを買おうか悩んだものです。
しかし、最近の洋酒は遊び心が少なくなったばかりか、焼酎や日本酒に陳列棚の場所を奪われ、酒屋の隅で肩身の狭い思いをしているのです。
そればかりか、私たちバーテンダーがよく通っていた酒屋さんは次々と姿を消しているではないですか。 スーパーやコンビニ、薬局など、どこでも酒が買える時代です。小さな酒屋さんにとっては大変な時代でしょう。

焼酎&日本酒ブームは酒屋だけでなく、陶磁器(グラス類)を扱っているお店の棚にもその影響があります。昔は豊富に並んでいたカクテルグラスやロックグラス(オールドファッションド)にショットグラス。
今では焼酎サーバーや冷酒、日本酒の容器に取って代わられているようです。そればかりか、カクテルグラスの製造を止めてしまったメーカーもあるくらいです。(バーにとっては深刻な問題です)

確かに我々は日本人でありますから、日本の酒文化は大事にしなければならないし、焼酎や日本酒を過小評価はしません。(実際、美味しいですから)
ましてや今のブームに乗り遅れまいと、酒屋さんが必死なのもわかります。
しかし、あちこちの酒屋さんに入ってみるものの、焼酎&日本酒が幅を利かせて所狭しと並んでいるばかりで、その知識のない私には威圧感さえ感じてしまうのです。ましてや希少品にはプレミア価格がついていて、その値段にはビックリしてしまいます。

近い将来、またカクテルなどの洋酒ブームがやってきて、我々の扱う洋酒が酒屋の棚を彩るようになれば幸いに思います。
焼酎&日本酒に興味はありますが、当店のバックバーにはまだ並んでいません。

#バーテンダー

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