MENU

【提言】ウイスキーブロガーにとって最低限のマナー

 

【提言】ウイスキーブロガーにとって最低限のマナー


私は間違いなくBARにとって聞くに耐えない論調で文章を綴ってきた人間としての自覚がございます。

経営方針を盾に反論をされても全く意に介さずさらに反論してまいりました。

ただ正直に思うところは、費やしたエネルギーを違う方法で使っていればよかったのかなと、今ではそう感じています。

最近は徐々に飲み手の方の中にも自己表現をし始める方が増えてきています。

さらに日本のウイスキー自体も近年、国際的に最先端の技量と評価されるまでになりました。

なにかこう日本人とウイスキーの関係をもっとオープンにできないものか。内紛ではなく、共感に変えることはできないのかと。

それがずっと悩みの種でした。

こんな話を多くの重鎮の方々にも相談してみました。

結果そこには飲み手もプロも利害関係が交錯しているのだから、一般報道と同じようにある程度のルールが必要ではないかと。

たしかに私に言う資格もないとは思うのですが、まずこのタイミングで自分の考えを明らかにしておきたいと思います。

①ウイスキーについて評論するときには、最低限1ショット=30ML~以上テイスティングしていること。

②グラスへの配慮ならびに体温程度に温めるなどウイスキーのポテンシャルを最大限引き出す努力をしていること。

③市場価格を上回るレベルで酒の価格を論じないこと。(特にオールドボトル)

④よほどのことがない限り酒の悪口を言わないこと。

どれも大事なことなのですがまず①番について、

オンスでもジガーでも良いのですが、ハーフショットのテイスティングをもってウイスキーを語り何がわかるのかと申し上げたいのです。

ボトルも増えてたくさん飲みたいのは山々でしょうが、感想を公にするのならば最低1ショットは飲まなければエタノール分量の勝負、濃度の勝負となってしまい繊細な強度の評価は不可能に近いと思われます。

よく言われるのがブレンデッドのレシピを決める際のテイスティング。この時代は多種多様の蒸溜所のたくさんの樽を材料に高品質かつ均一な味を作成しようと試みた結果、最終的に香りが近ければ合格とするようになった慣習のようなものもあったと思われますし、ずば抜けた経験を持ってこそ可能な芸当だったと思われます。日々たくさんの樽を選別する職業と楽しんでテイスティングする我々では大きなスキルギャップが有ると思われます。

成分をノージングで当てることは揮発しないものはどうなのかという観点からも化学的に不可能なことであり、またある程度の量をもってこそ得られる繊細なフレーバーこそが持ち味であるウイスキーは多数存在します。

やはりハーフショット、試飲レベルで酒の良し悪しを語ることは生産者に対しても(特に悪い評価は)大きな失望を与える結果になると思うのです。

次に②番です。(最初にUPした②、③を一つにまとめました)

標準的なテイスティンググラスならば時に問題はないと思うのですが、お店の特色を出すためなのか内容積の大きいグラスで、遠い距離からノージングしても加水タイプなどポテンシャルは引き出せないと思いますし、ウイスキー自体の温度が低いときにはブランデーのように温めろとは言いませんが「グラスと握手をするように包み込む」ことで体温程度まで加温していくことが可能です。これによってエントロピーを大きくすることができます。

ぜひこういった潜在能力を引き出す努力をはらった結果を論じていきたいと(自戒を込めて)思います。

③番は特にオールドボトルなど値段のつり上げを目的に具体的な金額を述べるのはやめようということです。「このボトルは○○円でもいい~」というのが殊更主張されるような感じですか。価格が主眼であれば市場価格まででないとアンフェアです。

④番。以前から申しあげている通り、たとえばまったく口にしたことのない食べ物を初めて食べたとします。味をどう表現するでしょうか?

かなりの比率で「○○(食べ物)に似ているかな~」と言う方がいらっしゃることと思います。それだけ飲食と記憶は密接にリンクしていて経験との比較によって表現されるもことが多いのです。

ですのでミシュランガイドではないですが、素晴らしいということはいいと思います。

これはダメだ、大したことない、高すぎる。などというのは自分だけではなく他の方へのマイナスな記憶を植え付け記憶誘導になってしまうと思うのです。

ですので、自身のため閲覧者のためによほどのことがない限りは「褒める」方向で感想を綴っていったほうがいいのではないかと思います。悪い記憶を公にするのは飲食については嗜好がありますからいかがかなと。

そんな自戒をこめての四項目でした。

***決してみなさんそうしましょうということではなく、私自身はこういう視点で今後記事を書いていきたいと思いますし、ぜひ至らない表現などは上記の項目に多少引っかかっているのかなと思っていただければ幸いです。やっぱり記事にするのは褒めるに値するボトルだけにしようと思います。

(加筆・訂正済)

#理想のBAR

この記事を書いた人