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バー・テンダー道

昔、師匠に教えられた言葉の中に「バー・テンダー道」というものがある。

これは、ある有名なバー・テンダーが何かのコメントでおっしゃっていた言葉だ。

日本には古来より茶道、華道、柔道、剣道といった、それぞれに道と言う言葉が付く文化がある。

礼に始まり礼に終わる。

これからも大切にしたい日本の文化だと思う。

実は昔、僕も『道』のつくものに熱中していた頃がある。

それは、『弓道』というものです。

高校時代に、学校に行くというよりも部活に行くぐらいの気持ちで熱中していました。

弓道も、礼儀を重んじる日本古来の伝統武道の一つで部活時代もそれはもう厳しいものでした。

弓道には、射法八節と呼ばれるものがありまして、1.足踏み~2.胴造り~3.弓構え~4.打起こし~5.引き分け~6.会~7.離れ~8.残心という一つの流れがあります。

この流れをちゃんとやることで、的への的中率も変わってくると言われている重要な動作です。

これを、「バー・テンダー道」に置き換えてみますと、

足踏み:弓道=足先を的の中心線上に左右に一直線に踏み開く動作。
     :バーテンダー道=カウンターに立ち肩幅に足を開いて背筋を伸ばす。

胴造り(どうづくり):弓道=正しい姿勢を作り、身体の各部が不均等にならないように安定させ、心身の統一を図る。
           :バーテンダー道=姿勢を正し、立ち居地の確認をし心身の統一を図る。

3.弓構え(ゆがまえ):弓道=正しい姿勢を崩さないで、弓を射る動作に入る構えをする。顔を正しく的に向け、呼吸を整える。
             :バーテンダー道=無駄のない動きの中で材料、器具を準備し、正面を向き呼吸を整える。

4. 打起こし(うちおこし):弓道=弓を正面または斜面に頭上にまで持っていき、ここから弓を引き絞る動作になる
              :バーテンダー道=材料を正確にボトルからメジャー(目分量)で量り、次の動作へ移る準備をする。

5. 引き分け(ひきわけ):弓道=左右均等な力で弓と弦を引き分けて、自分の矢の長さいっぱいに引き絞る
               バーテンダー道=間合いと呼吸をとる。器具を手に取り、お出しするお客様の顔を見てその方の為に作るという気持ちで集中をする。

6. 会(かい):弓道=引き分けが完成された状態を会という。ここで心身を統一させて発射の機を熟させる。身体の縦線と腕の横線の動きを十文字にして、どこまでも伸びる気持ちで満を持す。

        バーテンダー道=シェイキング、ステア共に、出来上がる味を想像しながら精神統一をする。

7. 離れ(はなれ):弓道:葉端にたまった雫(しずく)が自然に落ちるように、十分に心身ともに伸び合った末に、気合いの発動とともに離れる。

        :バーテンダー道=出来上がったものをグラスに最後の一滴まで集中をしながら注ぐ。

8.残心:弓道=矢が放たれた後の姿勢をいう。残心は射の総決算である。残心の善し悪しで射全体の判別ができる
     
     :バーテンダー道=最後の一滴が注ぎ終わった後に、心を落ち着かせ余韻を残しつつお客様にお出しする。

この残心というものは、残心(ざんしん)とは日本の武道および芸道において用いられる言葉。残身や残芯と書くこともある。文字通り解釈すると、心が途切れないという意味。意識すること、とくに技を終えた後、力を緩めたりくつろいでいながらも注意を払っている状態を示す。また技と同時に終わって忘れてしまうのではなく、余韻を残すといった日本の美学や禅と関連する概念でもある。

僕が語るには荷が勝ちすぎているのですが、自分なりに解釈をしました。

日本のBARの文化はどこかこの日本古来からある様々な道から来ているともいわれ、その繊細さゆえに日本のカクテルのクウォリティーが世界でもトップクラスだといわれる所以だと思います。

今、もう一度弓道を始めようかと考えています。

また改めてやることにより、何か自分を成長させてくれるんではないか?と感じているからです。

道と言うものは、どんな世界にもあると思います。
サラリーマンをされている方にもきっとサラリーマン道というものがるのでは無いでしょうか?

古臭いとか、面倒くさいとか言わずに大切にすべきものを忘れてはいけないような気がします。

まだまだ足りない僕ですが、これから学んでいきたいと思います。

#バーテンダーの独り言

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